おいしいお店のコックさん
二本目の童話となります。
おそらく冬の童話祭りの間で投稿する作品は、これで最後になるかと思いますが、少しでも興味を持ってくれれば幸いです。
それでは、よろしくお願いします。
ある町に、おいしい料理を作る、おいしいお店のコックさんがいました。
コックさんは、お客さん達が喜んでくれるよう、毎日おいしい料理を作りました。
その料理を食べたお客さん達は、みんな喜びました。コックさんも、とても喜びました。
ある日、同じ町に、とてもおいしいお店ができました。
とてもおいしいお店の料理は、とてもおいしくて、お客さんは、みんなそのお店に行きました。
そのお店で料理を食べたお客さんは、みんな喜んでいました。
おいしいお店のコックさんも、みんなが喜んでくれるよう、料理をもっとおいしく作りました。
そして、おいしいお店は、とってもおいしい料理を作る、とってもおいしいお店に変わりました。
とってもおいしいお店の料理を食べたお客さん達は、みんな喜んでくれました。
そして、お客さん達はみんな、とってもおいしいお店に来ました。
とてもおいしいお店は無くなりました。
ある日、同じ町に、すごくおいしいお店ができました。
すごくおいしいお店の料理は、すごくおいしくて、お客さんは、みんなそのお店に行きました。
そのお店で料理を食べたお客さんは、みんな喜んでいました。
とってもおいしいお店のコックさんも、みんなが喜んでくれるよう、料理をもっとおいしく作りました。
そして、とってもおいしいお店は、すっごくおいしい料理を作る、すっごくおいしいお店に変わりました。
すっごくおいしい料理を食べたお客さん達は、みんな喜んでくれました。
そして、お客さん達はみんな、すっごくおいしいお店に来ました。
すごくおいしいお店は無くなりました。
ある日、すっごくおいしいお店に、とてもおいしいお店のコックさんと、すごくおいしいお店のコックさんがやってきました。
「どうしてぼく達よりおいしい料理を作るの?」
そう聞かれたすっごくおいしいお店のコックさんは、
「みんなが喜んでくれたからです」
そう答えました。
すると、とてもおいしいお店のコックさんと、すごくおいしいお店のコックさんが言いました。
「じゃあ、ぼく達のことは喜ばせてくれないの?」
すっごくおいしいお店のコックさんは、とても不思議に感じました。
ある日、同じ町に、本当においしいお店ができました。
本当においしいお店の料理は、本当においしくて、お客さんは、みんなそのお店に行きました。
そのお店で料理を食べたお客さんは、みんな喜んでいました。
すっごくおいしいお店のコックさんも、みんなが喜んでくれるよう、料理をもっとおいしく作りました。
けれど、いつまでたっても、すっごくおいしいお店の料理は、本当においしいお店の料理より、おいしく作れませんでした。
そして、お客さん達はみんな、本当においしい料理のお店に行きました。
すっごくおいしい料理のお店は無くなりました。
すっごくおいしいお店のコックさんは、自分も喜びたくて、本当においしいお店の料理を食べました。
けれど、本当においしかったのに、コックさんは、喜ぶことができませんでした。
すっごくおいしいお店のコックさんは、とてもおいしいお店のコックさんと、すごくおいしいお店のコックさんが言ったことが分かりました。
ある日、こことは違う町に、おいしい料理を作る、おいしいお店のコックさんがいました。
その町には、とてもおいしいお店や、すごくおいしいお店もありましたが、全部のお店で、料理を食べたお客さん達は喜びました。
おいしいお店のコックさんの料理は、みんなを喜ばせました。コックさんも、とても喜びました。
まだ小さかった頃は、よく両親に喜んで欲しいからと、色々とやんちゃな行動を取っていました。
しかし、それで迷惑を掛けることもあり、そして両親は喜ぶよりも、怒っていたことの方が多かった気がします。
いくら自分にとっては楽しく、相手のことを思っていても、相手にとって、また周囲の人にとって迷惑なことなら、喜ばせることは出来ないのだと、今となっては痛感しております。
相手への思いやりが、全ての人間を幸せにしてくれるとは限らない。
そのことを伝えることが出来ればと思い、この童話を書かせて頂きました。
最後に、数ある作品の中で、『おいしいお店のコックさん』を手にとって頂き、誠にありがとうございました。




