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第20話(7月)〜テスト終了〜

 祝! (ようやく)7月突入&20話突破&アクセス数2000名突破! これからも佳祐達の恋物語を、作者共々よろしくお願いします!


「……はいそこまで!」

 教師の言葉と同時に、試験時間終了を告げるチャイムが鳴った。


「ふぅ……」

 左手に握ったシャープペンを机上に転がし、凝った肩をほぐすように首をぐるりと回転させる。

 首の骨が鳴るべきべきという小気味いい音は、四日間に渡る期末試験から開放されたクラスメート達の喧騒に紛れて掻き消えた。

「おう、どうだったよ佳祐? 試験勉強とやらの成果はあったか?」

 上半身だけこちらに向けた北澤の言葉は、どこか小馬鹿にしたような響きを含んでいる。

 何度も言うが、今までそう思われても仕方の無いような素行をしてきた以上、別段腹も立たない。

「んー……まぁ少なくとも赤点どうこうってな心配はねぇかな」

 当たり障りのない返事をして、後ろからまわってきた答案用紙の束を渡す。


「…………」

 狐につままれたみたいな、なんて表現がよく似合う表情で俺の顔を見つめる北澤。

「何だよ? 俺の顔に何かついてんのか?」

「……いや、まさかお前からそんな台詞聞けるとは思わなかった。もしかしてもしかすっと、こりゃ本当に勉強してたのかもしれないな」

 北澤は笑いながら体を前に向けた。


 信用されるかは大した問題じゃない。

 別に褒められるために勉強しているわけではないし、結果で示せばいいだけなのだから。


 と、背後から両肩をがしりと掴まれた。

「けぇーいーすぅーけぇー……」

 同時に、この世に未練たっぷりなまま逝った幽霊みたいな声が背後から聞こえる。

 ──いや、こりゃ幽霊なんかよりタチ悪いかもしんねぇや。

 両肩に乗った手を振り払いながら、ため息混じりに振り返る。

「俺……今回こそは駄目かもしれん……」

 そこには予想通り、と言うか予想するまでもなく、憔悴しきった表情の上野が、縋るような目付きで俺を見ていた。

 今回の期末試験は今まで習った事項の総復習、といった意味合いも含まれていたらしく、どの教科も範囲が馬鹿みたいに広い。

 夏乃というスパルタ(?)教師のもとで勉強をしていた俺ならまだしも、相も変わらず一夜漬け派である上野に、どうこう出来るような問題達ではなかった。

「んなもん知るかよ。自業自得なんじゃねぇの?」

 しっしっ、と手で追い払うようにしながら前へ向き直ろうとする。

 生憎今の俺は、苦労しなかった奴にかける程、情けってやつを持ち合わせていないのだ。

 しかし上野は再び俺の肩をホールドして引き寄せる。

「なんだよその冷たい言い方! 俺とお前は二人で一つ! 補習常連の馬鹿コンビだろ!? 」

「今回の俺ぁいつもと違うんだよ。悪いが補習は一人で受けな」

「ぬあっ!? けっ、佳祐お前大親友の俺を裏切るのか!? 裏切ろうってのか!?」

「あーもーひっついてくんじゃねぇよ鬱陶しい!」


「全く……毎回テストの度に落ち込んでるのに、また同じ過ちを繰り返したのかしらあなたは?」


 背後から聞こえた声に完全に不意をつかれ、無意識に体がびくりと反応した。

「委員長……!」

 天敵を見るような上野の険しい視線は、俺の背後に注がれている。

 ゆっくり振り返るとそこには、無表情で腰に手をあてた美月が立っていた。

 今月のメインは佳祐と夏乃の、波乱のデート(になる予定)です(笑)

 感想、批評引き続き募集しております!

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