第1話 ―年末のゴルフ―
除夜の鐘まで後、数日。
今年やるべきことを全てやったとは言えない忙しさ。
今日はゴルフ仲間と、今年最後のプレイ。
いつもの景色が広がり、寒空の中のすがすがしい晴天。
ご主人にはいつものようにキラボーイがお供している。
仲間の笑顔を見るのも少し嬉しい。
第1ホール、僕がオナー、ティグランドに立つと、高ぶる気持ちと集中、集中と呼びかける声。仲間の視線もある。
ドライバーをゆっくりと振り上げ、ボールに当たる瞬間に力を込めて、軽く振り抜けたような気がした。
振り向くと、ボールが高々と舞い上がり、キラボーイが何か叫んだようだ。「ご主人。やりましたね。気持ちいいです。風も爽やかです。」
仲間の「ナイスショット」の一声にも、今日、来れた喜びを分かち合えたように思えた。
あっという間に最終グリーン、楽しかった。もう終わるのかと思うと、少し。寂しい。
ホールまで、数十㎝、この一打。打つのが惜しくなる。コロンと言う音とともに、「お疲れ様」というかけ声。
キラボーイも、ご主人の手元で静かに頷く。
同じ時間と分かりながら、楽しい時はすぐ過ぎる。今日の楽しかったことも、失うのではなく。あるべき所に置いて行く思えば良いのだが、何故か周りを見渡すと失っていくようなことが多いように感じる。
ただ、今日の仲間と過ごせた一日を、来年にも得れるようにしたい。




