第2話 破壊神との出会い
俺の名はリンネ・レイシキ。
転生した数なんて、とっくに忘れた。
けど――あいつとの出会いだけは、今でも忘れられない。
それはいつの転生だったか、三日月が浮かぶ静かな夜だった。
少女が現れた。まるで、空間の裂け目からすり抜けてきたように。
「そっくりな顔だな。これが……ドッペルゲンガーってやつか」
「君の名は?」
返事はなかった。
なんだこいつ、無言かよ――とツッコミかけた瞬間。
「転生の神を破壊する」
「は? 意味わからんこと言ってんじゃねぇ!」
そう叫んだ瞬間、彼女の蹴りが俺の腹にめり込んだ――。
目が覚めた。例の夢だ。
「ったく……何度見ても気分悪い」
朝の静けさを破る声が飛び込んでくる。
「朝ごはんですよ〜!」
リシアとリディ。今日も相変わらずうるせぇ。
「わかってるって! そんな大声出さなくてもな!」
「リンネって言葉遣いおじさんだよね〜……ていうか、もうおじいちゃん?」
(そりゃあ……長く転生してりゃそうもなるわ)
「父さんと母さんは?」
リディが肩をすくめて答える。
「リシアがいるからって、旅行行ってくるってさ」
(あのバカップルめ……)
俺は魔法の勉強でもしようかと思っていたのに――。
「旅行に行きましょう!」リシアが突然言い出す。
「どこに?」
「ダンジョンです!」
「お前、ネジ1〜2本外れてないか……?」
「外れてません!」
「いや絶対外れてるよね?」
「外れて……ま」
「もういいわ! 行きゃいいんだろ、行きゃ!」
**MC:ダンジョン解説**
ダンジョンのモグラです。王道冒険者とよく会います。アイマスク必須です!
ダンジョン内は暗すぎた。
「見えねぇ……」
リシアが魔法で辺りを照らす。
「リンネ……なんか気分が悪い……」
リディが顔をしかめる。
そのとき、前方に立つ一人の男が見えた。呪術師のような服装。だがどこか見覚えがある。
「よくぞここまで辿り着いた!」
「お前誰!?」
男は片目だけを布から覗かせ、名乗った。
「私の名は――六条悟」
「え!? あ、どっかで見たことあるナルシストイケメン!」
「失礼なヤツめ! えい! くらいたまえ!
ザッ・レボリューション領域転回!!」
男がくるくると回転し、謎の結界が発生する。
「……なにこれ」
リンネは無表情でただ立っていた。
「我が結界で……死にたまえ!!」
――だが、結界は崩れた。
リンネが投げた剣が、男の胸を貫いていた。
六条は死んだ。
「殺してよかったの?!」
リディは嘔吐した。
「現実は命と隣り合わせです。先に殺さなきゃ死にますよ」
リシアが冷静に言った。