表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/13

第8話「決着、そして赤き髪への導き」

都市に戻ったシュウたちの次なる行動──それは、遺物を「売る」こと。そして、稼いだ金の使い道をイヴが明かすとき、物語はまた一歩“核心”へと近づく。

イヴが追う“とある人物”とは? そして、浮かび上がる謎の赤髪の影。

「世界が終わったあと、祈りが残った」第8話、開幕です。


 第三ヤードの空に、火花が舞った。瓦礫の隙間から噴き上がった爆風は地を揺らし、男たちの足元を狂わせる。


 「うおおっ!?」


 レイジが身を低くして避け、シュウはイヴの方へと目を向けた。


 イヴは淡々と告げる。


 「次、いきます」


 第二波。遺物の残骸が再び振動し、空気を切り裂くような高周波が辺りを包む。


 「ぎゃあああっ!」  「耳が……耳がァ!」


 遺物回収ギルドの男たちが叫び、混乱に陥る中、一人だけ冷静な視線を保っていた。


 グラン=バルト。


 爆音と振動の中心を睨み、彼は言葉を呟いた。


 「これは……見せかけの攻撃だな。だが……あの端末、本物か?」


 彼の視線の先には、シュウが握るスマートフォン──《神の遺物》。


 やがて男たちは次々と戦意を失い、グラン=バルトは低く唸ると、背を向けた。


 「引け。今は時期じゃねぇ」


 撤退を始めるギルド一味。


 その背中を見送りながら、イヴが呟く。


 「……あの男だけ、怯まなかった」


 その言葉に、シュウとレイジは互いに目を見交わす。


 圧倒的なテクノロジーを目の前にしても、ひるまなかった男。その正体と背後にある何かを、彼らはまだ知らなかった。


***


 セラントの陽が傾き始めた頃、一行は都市に戻ってきた。


 イヴはホログラムを非表示にしている。


 「敵を傷つけずに戦うには、かなりの演算資源を使用します」  「じゃあ……殺す気で戦えば?」  「一瞬でぺちゃんこにできます。消し炭にでも。どちらがいいですか?」


 静かな口調に、シュウとレイジの背筋が凍る。


 「冗談に聞こえねぇ……」  「……俺も、戦えるようにならなきゃな」


 シュウの呟きに、イヴが小さくうなずいた。


***


 街の片隅、奇妙な色のランタンに照らされた遺物専門の買取屋。


 「《この世のことわり》って店名、なんだよそれ……」


 突っ込むシュウに、レイジが苦笑する。


 「この街で商売うまくやってる奴は、大体ヘンなやつなんだ」


 店内には、壊れた通信端末、空飛ぶはずの羽根型装置、謎の液体を保存したカプセルなど、訳のわからない遺物が所狭しと並んでいた。


 がっしりとした大柄な店主が現れる。


 「ほう……これはいい。しかも稼働率100%の燃料チューブ……見たのは数年ぶりだ。これは大当たりだ」


 言われるがまま、シュウたちは初めての収入を得る。


***


 帰り道。


 「で、何に使うんだよ、この金?」


 シュウが尋ねると、イヴは即答する。


 「情報を買います」


***


 情報屋の店は、セラントの路地裏にひっそりと佇んでいた。


 扉を開けると、空中に浮かぶ情報の断片、光の糸のような投影があちこちに走っていた。店主は黒い外套に身を包み、瞳にはスキャナのような虹色の模様が走っている。


 イヴはホログラムを展開し、シュウの隣に立つ少女の姿を映し出す。


 「この人物を探しています」


 赤髪に丸眼鏡、ハンチング帽、そして筒状の弓──まるで現代のライフルのような武器を背負った少女。


 情報屋は頷いた。


 「ああ、こいつか。最近噂になってるよ。凄腕のイハンターって話だ」  「見たこともない武器で、あちこちに現れては遺物を漁ってるらしい。遺物の落下が盛んな場所にいけば会えるんじゃないか?」  「最近だと、風車の丘とか、逆さの塔ってところによく降ってきてるな」


 シュウが言葉を挟む。


 「なんでそんな情報を……」


 イヴは、静かに口を開いた。






 「──シュウ、あなたには妹がいます」


 その言葉に、世界が一瞬、静まり返った気がした。







ここまで読んでくださり、ありがとうございます!


今回はシュウたちが初めて都市で「遺物を売る」というステップに進み、いよいよ次の展開へと物語が動き出します。

そしてついに、"妹ナナ"の存在が明かされました。


少しずつですが、散りばめてきた伏線がつながり始めています。

次回はナナ視点から始まる第9話──彼女が何を見て、何を選んでいるのかをお楽しみに!



---


Xもやっています!更新情報やキャラクターのビジュアル公開や世界観の補足なんかもこれからやっていきます!

アカウントは以下

https://x.com/sekaino_narou?t=Lzczn4klQUUwblDHn_F5cQ&s=09


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白かったら評価・ブクマお願いします!続きも毎日更新中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ