表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/13

第6話「遺された都市とチートの予感」

シュウたちはついに《廃墟都市》セラントへ。

初めて目にする“外の世界”と、その矛盾に満ちた現実。

そして、イヴが導く“最初の稼ぎ”とは──?

《廃墟都市》セラントの街路を抜け、再び人通りの多い通りへと出る。マーケットと呼ばれる一帯には、金属片の看板や色とりどりの布が張られた屋台が軒を連ねていた。


 遺物を売る露店もあれば、歯車を埋め込んだアクセサリーや、再利用された武器などが並んでいる。


 食料品の屋台では、丸焼きになったネズミや大型のトカゲ、油で炒った昆虫まで揃っており、刺激的な匂いが鼻を突く。


 「うえ、《廃墟都市》セラントの人間はこんなもんばっか食ってんのかよ」


 シュウが顔をしかめると、レイジは笑いながら答えた。


 「だから俺たちが獲ったものが高く売れるんだよ。そして弓や槍や農具の材料を買って、ノエル村を維持してるんだ」


 「へー……そうだったのか」


 その会話を交わしながら通りを抜ける途中、ふとシュウは路地裏に目を留めた。


 物乞いの子供たちが、ボロを纏って肩を寄せ合っている。だがその奥、陽の差し込む石畳の広場では、数人の子どもが笑いながら鬼ごっこをしていた。


 泥だらけで、腹を空かせているはずなのに──彼らの笑顔は、なぜかまぶしかった。


 (……あとで、なんとかしてやれたらいいんだけどな)


 そんな思いが、シュウの胸の奥に静かに残る。


 宿に戻ると、イヴがすぐに音声で接続される。


 「おかえりなさい。マーケットの情報は収集済みです。次の行動を提示します」


 イヴの声はスピーカー越しに淡々としていたが、どこか得意げだった。


 「……チートじゃねぇか」


 「チートです」


 「おい、肯定すんなよ!」


 思わず突っ込んだシュウに、イヴはわずかに微笑を浮かべる。


 「安心してください。あなたたちの“初めての稼ぎ”として、成功確率92%の案件を選定済みです」


 「何すればいいんだよ?どこに行くんだ?」


 「遺物回収所“第三ヤード”です。放棄された倉庫に、未解析の遺物が放置されています。競争率は高いですが、私がいれば──問題ありません」


 「……よし、やってやろうじゃねぇか」

シュウとレイジは顔を見合わせた。


 イヴが提示する“仕事”は、あまりにも現実離れしていた。


 だが、空から降った奇跡を抱えた都市で──彼らの“最初の冒険”が、いま始まろうとしていた。



ここから舞台は大きく動きます!

セラントの雑多な空気や、貧しさの中にある小さな希望など、世界の奥行きを感じてもらえたら嬉しいです。

次回はいよいよ“第三ヤード”潜入──ご期待ください!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白かったら評価・ブクマお願いします!続きも毎日更新中です!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ