表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/11

(5) ロイクス、承諾する

カイルが家から出てきた。


「爺ちゃんが2人にお話があるそうです」


レスターと顔を合わせ、頷き合う。

僕たちは家に入り、

「ご気分はいかがですか?」とレスターが問いかけた。


「おかげでかなり良い。でも長く喋るのは辛くてな、率直に言わせてもらう」

「カイルのことをお願いできないだろうか」「この子は世間知らずなところもある。読み書きなどは教えてきたが、ずっとここで暮らしてきたからな、教えられることにも限界がある」


「それは構いません。カイルはそれでいいのか?」

「はい。でも、爺ちゃんには最後まで付いていたい」

「引き受けます」

「ありがとう」


「それじゃ、僕たちは一度帰ろうか。カイル、済まないが送ってもらえるかな」

「はい」

レスターに呼び止められた。

「点滴がまだ残っているから、私は時間差で送ってもらえるかな。この容器をアカデミーに返さないといけないし」

ああ、それを忘れていた。

「それと、ロイクス…」

レスターにいくつかのことを頼まれた。

「カイル、一旦レーゼに戻って、またここに帰ってくることにしたよ」

「はい」


一瞬のうちにレーゼの街に到着した。

僕はカイルを連れて、まず僕たちの住処に案内した。

家の大きさに驚くカイル。

「これは母の実家が所有している家でね、借りてるんだ」

となんだか言い訳じみた説明をして、

「昼間は誰も居ないかもだけど、何かあったときはここに来てくれればいい」


次に向かったのは,アカデミーの付属病院。

ここでは調理師が作った病人介護食が買える。

それを購入して、カイルの家に戻る。

「買ってきたよ」

家に入ると、レスターは「いま眠ったところ」と小声で話す。

「とりあえず3人で食べようか」

この家の調理場は家の外にあるのはさっき見た。

「じゃあ、カイル。さっき買ってきたのを温めようか」

と言って外に出た。

僕はアイテム倉庫から介護食を6つ取り出し、3つをカイルに渡す。

「お爺さんが目を覚ましたら作ってあげて。あとの2つは夜の分。さっき買う時聞いたと思うけど今日中に食べて」

「はい。あの、ボクが温めます」

カイルは魔法で温め始めた。

あ、それもできちゃうのね。そりゃそうか、あれだけ魔法が使えるんだもの。調理場に来ることなかったな。

結局、家の中に戻って各自で温めながら食べる。

レスターはカイルに食べさせ方をレクチャーしながら食べていた。


「美味しいです。すごく」

「病院の調理師が栄養と味に徹底的にこだわって研究しているから、元気な人にもすごく体にいいんだ」


「あと、これも渡しとく。これはその食事を真空乾燥させたもの。お湯と混ぜると元に戻るんだ」「それを2日分」

「それと、これも返しておく。明日、ギルドに行けばお金が貰える。そしたら、この食事も自由に買えるぞ」

オークの買取伝票だ。

「でも……」

「僕たちはもう友達で仲間だ。仲間が困っているときにお金は取れないよ」

カイルは大粒の涙を流し、

「ありがとうございます!」


「じゃ最後に」とレスターは言い「これが最後だ」

と新しい点滴の瓶を取り出す。

「これは私たちみたいな健康な人間でも3本射ったらかなり危ない。これが最後だと思ってくれ。どうしても苦しい時に使うこと」

「それと、せこいけどこの容器は使い終わったら持ってきてくれるかな。返さないとまずいんだ」

「はい。必ず」


レスターは点滴を交換して、「点滴を始めるときはここを回して、落とす速度はなるべくゆっくりね」


そう最後の説明をして、レーゼの街に送ってもらう。

着いた場所はさっき教えたばかりの僕の家の前だった。

「自由自在だな」

「すごい子だ」

「レスター、手伝ってくれてありがとう」

「いや、こちらこそ良い経験ができたと思ってる」

そう言ってレスターはアカデミーへ戻って行った。



僕は午後から予定していた要件を復活させようかと考えたが、カイルに何かあった時には頼ってくるのはここだろうし、今日は家にいることにした。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ