妖精の贈り物
洞窟から出て、森の奥に向かってしばらく歩いていた俺は、強大な気配に気づき足を止めた。
「この気配はあいつに間違いない。会いたかったぜトカゲ野郎!」
俺は武者振い起こす体を抑えつつ、その気配の方へ走り出した。
魔物のを倒せば倒すほど強くなるこの世界で
数年もかけて努力したんだ。
(今日地面に這いつくばるのはお前のほうだぜ!)
「そうだろ?トカゲ野郎!」
俺の目の前には龍の頭と人の体をもつ一体の生き物が胡座をかいて座っていた。
「5年前の雪辱をはらしに来た!ちょっと付き合ってもらうぜ!」
「・・・ここでは木が傷つく、場所を変えさせてもらうぞ人間よ」
「なんだ、お前喋れたのか。やってくるれならどこでも付き合うぜ?」
できればすぐにでもやりたかったが、再戦してもらう立場の俺は我慢してそういった。
「ついてこい、この先にいい場所がある。」
ピクリともしない表情でそう言い、トカゲ野郎は歩いていく。
俺もそれに倣いついて行く。
「人間よ、名はなんとゆう?」
「俺か?俺はカオルだ、緋山薫。お前は?」
「私はリムドブルグ。 誇り高き龍神族の戦士だ。」
「へぇ〜龍人族ね〜、そんなのもいるんだなこの世界、それよりまだ着かないのか?」
そろそろ我慢の限界だった俺は少し怒気をこめて聞く。
「もう少し待て。これだけ大きな木は育つのに何百年もかかる、だが壊れるのは・・・一瞬だ」
さっきまで無表情だった顔に、少し怒りの表情を見せたリムドブルグが言い放つ。
「まぁ…その…おっしゃる通りだな」
少し毒気の抜けた俺は、黙ってついて行く。
きまづい沈黙の中しばらく歩くとやけにだだっぴろい景色が見えてきた。
「・・・ここなら大丈夫だろう。今のお前とやるにはここくらい広くないと安心できなくてな。我慢させて悪かった、さぁ、死合ぞ!人族の戦士よ!」
「ああ、行くぞ!リムドブルグ!」