一章 妖精の贈り物
「このあたりじゃ一番強いやつだったな」
俺の名前は緋山薫、俺の目の前にはデカい虎のような生き物が転がっている。
「この世界に来てもう5年か……長かったような短かったような」
俺はプロの格闘家だったが、試合中にあたりどころが悪くそのままそのまま亡くなってしまったらしい。
そして目を覚ますと知らない森の中に一人ぽつんといたわけだ。
「この世界に来た当初はどうなることかと思ったが、意外となんとかなるもんだ」
この世界は魔物や魔法生物といったあらゆる生き物がいるいわゆるファンタジーといった世界らしい。
「とりあえずこの虎みたいなやつで飯でも食うか」
俺は目の前の虎を解体して、拠点にしている洞窟へと持って帰ることにした。
「この森で修行して5年か、そろそろ人里におりてもいいかもしれないな…」
だか俺はその前にどうしても倒さなくてはいけないやつを思い出した。
この森に来て最初の一年ころに、調子に乗って魔物を狩りまくっていた俺に絶望と死の恐怖を刻み込んでくれたやつだ。
「待ってろよあのトカゲ野郎」
そう呟き、解体した虎の魔物を手にして、拠点の洞窟へと足を向けた。