07 滲む感情
「あ、お前レベル0の勇者じゃねーか。無事だったかー!」
砂埃から現れた少年に、俺たち二人は目を丸くする。
「え、ちょっ……」
「そーいや名乗ってなかったなー。俺はショーゴ! 勇者同士仲良くしよーぜー」
朗らかな笑顔を浮かべながらそんな事を言うショーゴに対し、戸惑いながらも名乗り返す。
「お、俺は琢真だ」
「タクマかー。よろしくなー! そっちの君はー?」
「ゆ、ユズリです……」
思わぬ所で女性騎士の名前を知りつつ、俺はショーゴに問いた。
「こんな所で何やってんの?」
それはこっちのセリフだー。とでも言われるかなと思ったが、彼は何の迷いもなく答える。
「何って、モンスター退治さー。俺たちは待機してろって言われたけど、待ってる間に襲われちまって。もう少しでやられそうになった時、フウマがスキルを見つけてくれてそっから逆転! あの時は焦ったなー」
フウマといのはもう一人の勇者の事だろうが、それにしてもとんでもない事をサラッというショーゴに若干引く。
それにしても、何故二人は高レベル且つスキルも与えられたのに、俺だけレベル0なのだろう。それだけ特別な能力だったのだろうか。
「なーなー。なんか粗方終わったみたいだし、外行こーぜー」
ショーゴが言うように、あちこちで響いていた爆音等は聞こえなくなっていた。
確かに、ここは外へ出て色々と情報を得た方が良さそうだな。
そう判断した俺は、一度は頷くが……。
「ごめ、俺今動けないから、この子と一緒に先行っててくんない?」
「何言ってるんですか。一緒に行きましょう。私が運びますから」
ユズリがそう言ってくれたので、俺は「ごめん」とだけ呟いて、その言葉に甘えることにした。
それから彼女の案内で、王城の中庭に来てみると……。
悲惨な現状が、俺達を待ち構えていた。
「な、なんだこれ……?」
城のあちこちは崩れ、何人もの負傷者達を数人のローブを着た人達が介抱している。
所々にモンスターの死骸が放置されており、時折酷い匂いが鼻を突く。
この光景だけで、どれほど大規模な戦いが行われていたかが容易に想像出来た。
「あ、君……無事だったんだね」
「おわぁっ!?」
ぬっ、と背後から出てきたのは、三人の勇者の内の一人……確か名はフウマ。
「あ、ごめん。驚かせて」
「い、いや……」
胸をなでおろしながらそれだけ言葉にすると、何処かから温かみのある声が俺達を呼んだ。
「勇者様ー! ご無事で何よりです」
全員で向き直ると、そこには俺達を召喚した王様が、杖を突きつつこちらに歩いて来ていた。
「王様ー! あんたも無事で良かったなー!」
ショーゴが無礼な言動をするが、王様は気に止めていないようだ。寛容なのか、勇者と王は対等な立場という認識なのか……。
「いやはや皆さん。お呼び立てして直ぐにこのような事態に巻き込んでしまい、誠にすみません……魔王軍達は招いていた冒険者と騎士たちとで何とか撃退出来ましたが、御三方には多大なるご迷惑をお掛けしました事をお詫び申し上げます……」
やはり礼儀正しい……むしろ過ぎると言っていいほどの態度に、俺とフウマは違和感を覚える。
しかし、その理由はこの後に理解する事になる。
「おいおい、これはドューユー事だぁ? おい、ラッセル。みすみす王城まで敵の侵入を許すたぁドューユー言い訳するつもりだ」
突如現れたその男は、高身長で長くストレートな黒髪をたなびかせる美丈夫だった。
だが、パッと見整った顔の眉間には深い皺が寄せられている。
豪華だが派手過ぎない黒服を来た男に対し、王様は……。
「こ、皇帝陛下!」
「皇帝陛下?」
この国のトップは、ここに居る王様なんじゃないのか? という疑問から、うっかり口からそんな言葉が出てきてしまう。
「む、貴様は……」
鋭い眼で睨まれ、俺は少し萎縮する。
そして……。
「貴様。レベルが0だそうだな。弱い勇者は要らん。この国の王城に踏み入っている事実すら忌々しい……下世話な小僧よ、即刻この国から立ち去れ!」
「なっ……!?」
何かマジの悪口言われた。
こんばんは。さっきタンスの角に薬指をぶつけた作者です。
所でこの挨拶、皆さんはどうお思いでしょうか……? ムカつく、要らないと思う人は評価ボタン、面白いと思う人はブックマークボタンを押してみて下さい。この投票によって次回から続けるかどうか決めようと思います。
え?その手には乗らないって?
ケチ!!!