05 招来の剣
「……あっれぇ……?」
ひょうきんな俺の態度に対し一度は硬直する一つ目モンスター。
だが数秒後我を取り戻し、その斧を振るった。
「あっ……!」
危ない、という声をかけたかったが上手く出ず、目を瞑りそうになる。
しかし、俺が動揺しているうちに移動していた騎士は、辛くも攻撃範囲を脱し躱した。
そこまではよかったものの、モンスターのあまりの馬鹿力により、突風が吹き荒れ近くにいた騎士は吹き飛ばされた。
……俺に向かって。
「ふぐっ!」
「むがっ!」
思い切りぶつかり、抱き合いながら何度も転がる。
ほぼ生身の為全身に痛みが走るが、その次に起こる衝撃が塗り替えることになった。
「いてて……大丈夫ですか?」
これは、俺の声ではない。
だが、あの騎士のくぐもった低い声でもない……。
何かがおかしいと思った俺は、反射的に瞑っていた目をゆっくりと開ける。
「……誰?」
「えぇっ!? さっきまで一緒に居たじゃないですか!」
そんな馬鹿な。だって今目の前にいるのは……女性なのだ。髪はやや短めで、色は茶。眼は透き通ったエメラルドグリーンで、少し目つきは悪い。歳は俺と同じくらいか。
落ち着いて身なりを見てみると、確かに見覚えのある背丈に金属鎧を着ている。
頭全体をずっぽり被ったヘルムをしていたとはいえ、まさか性別を間違えるとは……琢真、一生の不覚。
「グルォオオアアアッ!!」
再び聞こえる雄叫びによって我に返り、俺は目の前の女騎士に聞く。
「な、なぁ……スキルの所に召喚って項目があったんだけど、これどうやって使うんだ?」
「え、普通はスキルさえあれば後は勝手に使えるようになるハズですが……」
すると、またもモンスターの叫びが俺たちの会話を邪魔する。
「と、とにかく今は逃げながら話そう!」
彼女を立ち上がらせながらそういい、懸命に走る。
しかし、運動嫌いな俺よりも女騎士の方が遅れを取った。
無理もない。あんなに重い鎧を着ているのだから、いくらヘルムが外れて多少身軽になったとはいえ、素早く移動するなんて不可能だ。
俺は恥じらう心を無理やり底に押し込め、騎士の手を取って走る。これなら多少彼女の負担を軽減できる為、速く移動できる。
「き、君はいつも、どうやってスキルを発動させてるの?」
喘鳴混じりの声で問うと、こちらも苦しそうな声色で答える。
「す、スキルをスロットに入れた時に、頭に入ってくるやり方をやってるだけ、ですが……」
「スロット!? なにそれ!」
俺が驚くと、騎士も驚く。なんでそんな事も知らんのだ、とでも言いたそうに。
だって、しょうがないじゃないか。この世界来たばっかなんだから、基礎的なことすら知らないのだ。
「ど、どうやるの、それ?」
「え、えっと……」
俺は言われる通りに画面を弄り、スロット欄を出す。
そこからも不慣れな手つきで進めていき……。
「よし! セットかん……」
完了。と言いかけたその時、脳にガツンと衝撃が伸し掛る。
吹き飛びそうな意識を何とか保つと、頭に詠唱方法等様々な情報が染み渡ってくる。なるほど、これがさっき彼女が言っていた、“頭に入ってくる”という感覚か。
だが、これなら……!
「……よし、あのモンスターは、俺が倒す」
足を止め、振り向きながら宣言する。
「なっ……無茶です!」
「大丈夫! 多分チート能力だから! ってかそうであってくれ!」
「ほら、何かもう祈っちゃってる感じじゃないですか!」
確かに、ぶっつけ本番でスキルを使って、仮に全く効果の無いものだった場合、俺の命はかなり危険になる。
しかし、ここで止めなければ、このモンスターは破壊の限りを尽くすだろう。そう成れば、どの道生き残れる可能性は薄い。
だったらここで信じるしかないだろう。
きっとチートであろう、俺の能力を!
「グォオオオオオオオァァッ!」
ヤバい、いつの間にか二メートル近くまでモンスターが肉迫している。
俺は焦りを見せつつも振り下ろされる斧に向かい、右手を突き出した。
間に合え……ッ!
「剣招来!」
頭に浮かぶ呪文を唱えると、手の先端より禍々しく光り輝く魔法陣がぶあっ、と空に浮かび上がった。
そして、そこから剣の切っ先が飛びい出て……。
サイクロプスの斧をぶった斬った。
こんばんは。ワーム系の虫が滅茶苦茶苦手な作者です。
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いよいよ無双が始まりそうな予感がする次回もよろしくお願い致します。
え?無双するのが遅いって?
すみません!!!