24 死を貪る黒鳥
バックを解放した、翌日の明朝。
「……あんちゃん、ホントにいいのか?」
俺達はガレージキング近くの駐艇場にて、すね当てやヘルムを装着していた。
「うん。覚悟は決まってるし大丈夫」
新作のエアロマシンの最終チェックをしているバックにそう告げながら、俺は腕を伸ばす。少しでも身体を解さなければ。
「でも、俺のマシンじゃあ墜落する可能性もあらぁ……」
どこか暗い表情の彼に、俺はサムズアップした。
「ま、そんときゃそん時だよ。今は……クソデカカースベルグ討伐にだけ集中しよう」
そう、俺達は今日、異形のカースベルグを討ちに行く。
本当ならば俺一人かユズリと共に出向いて異次元送りにしてやろうと考えていたが、どうやらヤツは普段大木の頂上に作った巣に居るらしく、他の冒険者達も手を出し倦ねているようだ。
その為今までクエストは発行されても受けられた事は無いという。実際、昨日ギルドにて受注した際はその場の人々が多少ザワついていた。
だが勿論俺だけでは倒せないので、黒鳥の元までエアロマシンで届けて貰うのだった。
「……すまねぇ、あんちゃん……すまねぇ」
バックがその手に持つレンチで自身のマシンをカン、と叩きながら嗚咽を漏らす。
「ま、乗りかかった船ってヤツだよ」
これは本心だが、正直な所、モンスター討伐というのは俺にとってそこまで難易度が高い事では無いように感じていた。
何せ一度剣を振るってしまえばどんな強敵も別次元へ送れるのだ。大勢で向かわれればその限りではないが、対象が一体だけならなんて事は無い。
「そんじゃ、早速出発したいけど……すまんユズリ。このマシンは二人乗りなんだ」
「とっくに聞いてるよ。……タクマ。無茶はしないでね。危なくなったら直ぐに引き返すんだよ。バック君もね」
ユズリの言葉に、俺は深く頷きバックは片手を上げた。
「……おし、あんちゃん。コイツは俺がいつかカースベルグに挑もうと思って何年も前から造ってたマシンだ。チューニングにチューニングを重ねてある。これが今の俺に出来る最高のマシンだ」
その最高のマシンを見てみると、外装は深みのある紅色で塗装されており、ウィングは俺の世界で言うジェット機のような印象を持つくらいイカつい。
見た目は確かに琴線に触れるが、果たして俺は酔わずにいられるだろうか……。
「どうしたあんちゃん? もう乗ってくれて大丈夫だぜ」
「あっ、あぁ」
我に返りつつエアロマシンに乗り込み、安全のため留め具を確り腰に付ける。
「二人とも! ……気をつけてね」
「うん。ちょっくら無双してくる」
心配させないよう陽気な返事をし、ユズリに対し親指を立てた。
「おし、行くぜぇ……!」
バックがそう言いつつハンドルを前へ押し出すと、借りているマシンよりかなりデカ目のエンジン音が鳴り響いた。
……本当に大丈夫なのだろうか、これ。
「出撃ぃいいーッ!」
親方と同じ発進口上だが、今回に関してはこれで合ってた。
そして例に漏れず、バック最高のエアロマシンは轟速で滑走路を駆け抜け空へと舞い上がる。
因みに今回は声を上げる余裕すらなかった。
「カースベルグの巣に近付いてきたら知らせるかんな!」
エンジン音に遮られるが、何とか聞き取った俺は「わかった!」とだけ返事をし、それまで気分を保つ為にも邪推を行う。
恐らく孤児となったバックは、いつかカースベルグに復讐するためにエアロマシン技師になったのだろう。
なんなら、レビンを殺害した後はフックショットやボウガンを手に、単身カースベルグに突っ込んで自らの命を絶とうとすら考えていたかもしれない。
全て俺の妄想でしかないが、どことない確信が胸の奥で渦巻いていた。
「あんちゃん! 見えてきたぞ」
思考を一旦中断して、その巨木を目にして息が止まる。
ここらはマークリッズの森の最南端に位置する場所の筈だが、そこらの樹木でさえ六メートルはあるにも関わらず、大黒鳥の住む木は群を抜いて大きい。
その大きさは……二十メートルはあるだろうか、ビルに例えれば六階程の高さだろう。
「……やってやる」
俺の小声はエンジン音にかき消された。
覚悟新たに巨木の頂上を凝視する。しかし、巨大鳥の姿は見えない。
大きいといっても聞いた限りでは俺が最初に戦ったサイクロプスより一回り小さい位らしい。ならばここまで遠ければ見えないのも当然か。
と、思った所で、突如俺達を覆うように影が刺された。
太陽が雲にでもかかったのだろうと一瞬考えたが、今日は雲ひとつない快晴だったハズ……。
俺は恐る恐る、上を見上げた。するとそこには……。
「キョェエエエアァアァアアアアアアアーッ!」
体長六メートルはある、圧倒的な体躯の黒鳥が俺達を見下ろしていた。
こんばんは。実はデスゲームに参加していた作者です。
細かく説明させて頂くと、とあるVチューバーさんが企画して下さったデスゲーム(っぽいやつ)に僭越ながら参加させてもらいました。
結果は残念ながら死亡という形になってしまいましたが、気になった方は「幽焼け」「デスゲーム」とYouTubeで検索すればすぐ出てくると思います。
さて、この作品の今後についてですが、まず本作は企画用に執筆したものです。しかし前にも述べたように、あまりにもPV数が伸びなくなるまでは書き続けていこうと考えておりますので、その日までよろしくお願い致します。




