02 結局追放されるんかい。
「もう一度聞こう。俺達をいきなり呼び出して置いて戦争に参加しろと言われても、此方に一切メリットは無い筈だ。図々しいとは思わないのか?」
そんな俺の真っ当なはずの意見に対し、王様はゆっくり頷いた。
「うむ。その通りでございます。勿論、褒美や支援は用意させて頂いております」
やべ、先走ったかな……と、後悔しつつも、その褒美とやらを聞く為傾聴する。
「初めに……この国を旅立つ際、我々が集めた冒険者の内数名を勇者様達に仕えさせます。最低限の武具も用意させてますので、存分にお使い下さい」
優しげな微笑みを浮かべる王様に対し、先程高圧的な態度を取ってしまったことに対し更に悔悟を覚えた。
……一応謝っておこう。
「そうか。すまない。試すような真似をして」
さりげなく分かってましたよアピールをしながら謝ると、王の後ろからそれは可憐な美少女が姿を現した。
艶やかでストレートな金髪に、長い睫毛から覗く空のように透き通った青い瞳。桜色の唇から想像出来る甘美な声。
一挙手一投足に淑やかさが感じられる、男なら誰もが惚れそうな、そんな女性……。
「いえいえ。……そして、ちょうど良い所に来てくれた彼女は、私の娘ジャンヌです。魔王を討ち、真の勇者に成られた方には、ジャンヌと婚約し、王の名を受け継ぐ権利を与えましょう」
王様のその言葉に、一瞬辺りの空気がピリつく。
どうやら全員がこの政策に乗り気なワケではないらしい。
「では、話が逸れてしまいましたので戻しましょう。皆さん、人差し指を立て、左から右へ横に指を振ってみてくだされ」
成程。それがステータス表示の為のアクションなのか。と、俺はなんの疑いもなく言われた動作を行う。
すると、目の前にパソコンのスクリーンを切り取った様なものが眼前に浮かび上がった。
その様子を見た二人も見たようにこなす。
「えっと、これがレベルか? 俺のレベルは36だったぜー!」
左の少年の言葉に、会場がザワつく。
36レベといえば、もう少し進めれば中ボスかなー、位の感覚だが、それはあくまでゲーム内での話だ。
色んなラノベの設定で見たが、ゲームオーバーが出来ないこの世界では、無理なレベリングが出来ないため平均レベルも低いのだろう。
「えっとそれから……えすてぃーあーる? ってのが236で……」
STRとは確かstrengthの略で、ゲームではそれが高ければダメージ量が増える値だ。
他にも防御力は148だとか、知力は59だとか聞こえて来るが、来たばかりのこの世界の基準なんて知らないので、それが高いのかどうか判断出来ない。
右の陰湿そうな男もステータスをぼそぼそと喋り、いよいよ俺の番だ。
前髪男のレベルも左の男とそう変わらなかったし、今回は追放枠とか無いのだろう。
「ふん、やっと俺の出番か……えっとまず、レベルは……」
ステータス画面に目を向けて、固まる。
「……おや? どうしたのですか?」
暫く口が開けず、やっと言葉が出てきてくれたが……。
「……あのー……俺のレベル、“0”なんですけど…………」
その一言により、会場は静まり返る。
レベル0。
小説サイトで検索すればいくつかヒットしそうなワードであるが、今はそんな事はどうでもいい。
瞬きしても0。何度見直しても0。圧倒的0。
「……えっと、この世界のレベルって、0から始まるんですか?」
意外な事に右隣の前髪の長い少年が代わりに聞いてくれると、その場の何人かが首を左右に振る。
「……………………」
この時、俺の脳裏に浮かぶ王様の残影。そして言われる……
はい、君追放。
「いやぁあああああああああああッ!!」