表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/85

02 結局追放されるんかい。

「もう一度聞こう。俺達をいきなり呼び出して置いて戦争に参加しろと言われても、此方に一切メリットは無い筈だ。図々しいとは思わないのか?」


 そんな俺の真っ当なはずの意見に対し、王様はゆっくり頷いた。


「うむ。その通りでございます。勿論、褒美や支援は用意させて頂いております」


 やべ、先走ったかな……と、後悔しつつも、その褒美とやらを聞く為傾聴する。


「初めに……この国を旅立つ際、我々が集めた冒険者の内数名を勇者様達に仕えさせます。最低限の武具も用意させてますので、存分にお使い下さい」


 優しげな微笑みを浮かべる王様に対し、先程高圧的な態度を取ってしまったことに対し更に悔悟を覚えた。

 ……一応謝っておこう。


「そうか。すまない。試すような真似をして」


 さりげなく分かってましたよアピールをしながら謝ると、王の後ろからそれは可憐な美少女が姿を現した。

 艶やかでストレートな金髪に、長い睫毛から覗く空のように透き通った青い瞳。桜色の唇から想像出来る甘美な声。

 一挙手一投足に淑やかさが感じられる、男なら誰もが惚れそうな、そんな女性……。


「いえいえ。……そして、ちょうど良い所に来てくれた彼女は、私の娘ジャンヌです。魔王を討ち、真の勇者に成られた方には、ジャンヌと婚約し、王の名を受け継ぐ権利を与えましょう」


 王様のその言葉に、一瞬辺りの空気がピリつく。

 どうやら全員がこの政策に乗り気なワケではないらしい。


「では、話が逸れてしまいましたので戻しましょう。皆さん、人差し指を立て、左から右へ横に指を振ってみてくだされ」


 成程。それがステータス表示の為のアクションなのか。と、俺はなんの疑いもなく言われた動作を行う。

 すると、目の前にパソコンのスクリーンを切り取った様なものが眼前に浮かび上がった。

 その様子を見た二人も見たようにこなす。


「えっと、これがレベルか? 俺のレベルは36だったぜー!」


 左の少年の言葉に、会場がザワつく。

 36レベといえば、もう少し進めれば中ボスかなー、位の感覚だが、それはあくまでゲーム内での話だ。

 色んなラノベの設定で見たが、ゲームオーバーが出来ないこの世界では、無理なレベリングが出来ないため平均レベルも低いのだろう。


「えっとそれから……えすてぃーあーる? ってのが236で……」


 STRとは確かstrengthの略で、ゲームではそれが高ければダメージ量が増える値だ。

 他にも防御力は148だとか、知力は59だとか聞こえて来るが、来たばかりのこの世界の基準なんて知らないので、それが高いのかどうか判断出来ない。

 右の陰湿そうな男もステータスをぼそぼそと喋り、いよいよ俺の番だ。

 前髪男のレベルも左の男とそう変わらなかったし、今回は追放枠とか無いのだろう。


「ふん、やっと俺の出番か……えっとまず、レベルは……」


 ステータス画面に目を向けて、固まる。


「……おや? どうしたのですか?」


 暫く口が開けず、やっと言葉が出てきてくれたが……。



「……あのー……俺のレベル、“0”なんですけど…………」



 その一言により、会場は静まり返る。

 レベル0。

 小説サイトで検索すればいくつかヒットしそうなワードであるが、今はそんな事はどうでもいい。

 瞬きしても0。何度見直しても0。圧倒的0。


「……えっと、この世界のレベルって、0から始まるんですか?」


 意外な事に右隣の前髪の長い少年が代わりに聞いてくれると、その場の何人かが首を左右に振る。


「……………………」


 この時、俺の脳裏に浮かぶ王様の残影。そして言われる……



 はい、君追放。



「いやぁあああああああああああッ!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ