世界のどこを探したって、悪意を持とうと願う人はいないのです。か?
世界設定資料集が信条(大事な設定)を吐露します。
柊君はやせ形で割と背が高いイメージです。
そして綱紀くんは結構筋肉質です。
たぶん。
昼食を食べ終わって、柊のお母さんを交えて談笑する。とてもまっすぐな感性を持った魅力的な女性だなと思う。柊がどんな生い立ちなのか、興味がないこともないけど教育やしつけに屈せず、自由な考え方を維持しているのは、ご両親もこだわりがないんだろうなと思って羨ましくもなる。俺はともかく、ののかは結構苦労してたと思う。
1時間くらいして、また柊の部屋に入る。空気を入れ替えたせいで少し肌寒い。テーブルのそばに、座布団とクッションを手に取って腰掛ける。柊が持ってきたコーヒーカップを差し出してくれる。受け取って口をつける。コーヒーだ。コーヒーのうまさもそう言えばこいつに教わったんだったな。なんでも懇意にしている喫茶店があるとか言ってたしな。
どうでもいいことかも知れないが、部屋の色調は木目だ。本棚も机も木目で、フローリングもそう。机の周りに敷いたカーペットは黒だが、部屋の印象を妨げるものではない。柊自身は人間として黒だと思う。深く知れば知るほど黒だと思う。当たり障りなく交友している人たちが白だと思ってるだろう辺りまで、黒だと思う。黒だから悪い奴というわけではないんだけどな。実際にこいつの誠実さは、ある意味どんな奴に比べてもゆるぎない。ただ、その誠実さが饒舌さの中で発揮されるケースはまれだと思う。こいつは隠している。求められないことには応じない。逆に言えば、求めていれば応じてくれる。
などと、ぼんやりと思いながら、部屋を見渡す。けっこう、深刻な相談しに来たんだよな、と考えていると、柊と目が合う。
「なあ? 僕の考えなんだけど少しいいか?」
「ん?」
突然、柊が口を開く。
「言っていいか迷ったんだが、この世界には正しいことなんてない。論理命題が真というのも正しいそのものではない。予測の的中も正しいではない。合理性が正しいでもないし、実在だってそう。正しいは見かけ上はあってもその基準に万人に通じる絶対がない。そもそもが宇宙には意味しかないんだ。そして意味は善悪や正否の二元論ではない。だから、本当を求めたかったら、正しいにこだわるな。」
「はあ?」
「それに間違ってるは正しいへの導入だし、悪は善への道しるべだ。実在と非実在は存在の二面性、太極に過ぎない。だからな、確実とかそういうのもどうでもいいんだ。」
「いや、言ってることわからないし、突然何? だいたいお前が大切にしてる概念の世界の何もかも破壊しないか? それ。」
「君の現状はいったん何もかも破壊した方がいいんじゃないのか? 午前中に言ったことだってある意味、一つの解釈で正しいとは程遠いかもしれないんだよ?」
「まあ、俺のことはたしかにリセットした方がいいこともあると思うけど、お前が言ってるのは世界を舞台にしてるからな。」
「正しいがなくても、世界は壊れたりしない。だって、人間には信じるがあるからな。それはむしろこれまでもそうだった。」
「信じる?」
「詳細はわからなくていい。極端な話、わからないことがわかってればいい。そして信じるは希望でいい。こうであってほしい。こうであるべき。これが信じるの内容でいいんだ。信じるは極めて能動的な行為なんだ。信じると決めたら裏切られても信じ続けるから信じるなんだよ。信じるに足る本当というのは探すんじゃなくて、創るんだよ。」
「むー、ほんとうにめちゃくちゃだな。そもそもその前提にした、宇宙には意味しかないってのは正しくないのかよ。」
「それがあると信じるか、ないと信じるか、それだって自由信仰だ。基準が同意できず、確認できないことは正しいとか間違ってるとかは絶対に言えないし、世界には原理的に確認できないことや矛盾したことが成立することなんていくらでもある。世界は物ではなくて、概念だからな。概念、例えば物事の解釈に二元論は通用しない。」
「世界は物ではない、ってすごい信仰だな。」
「そう考えられる余地がある以上、そう信じたってかまわない。」
「いやいや、根拠なく信じるって危険だろ?」
「いや、信じるは不変ではない。信じ続けるためには知って、洞察して、働きかけて、求める必要がある。そうでないと裏切られたときに信じるは終わってしまう。裏切られても信じる強度が信じるの条件だし覚悟だ。」
「それだと、結局、正しいことを求めることになるじゃないか?」
「信じる根拠として、正しいを求めるのは人間の持つ性癖だ。別に信じる理由は正しいでなくてもいい。多くの人が無自覚にそうしているように役に立つかどうかでもいい。ただ、役に立つかどうかだと役に立たないと感じたときに裏切られたになるからな。覚悟といったからには、裏切りなんて結論に逃げたらダメだ。信じるのは自由であるからこそ、そこには負うべき責任がある。」
こいつが言ってることは、いつもながらだけど、破天荒すぎる。一体、どんな経験をするとこんな常識破りの考えになるんだ? いや、それよりもそういう考えを表現してしまえるところがめちゃくちゃなのか? 常識のわかる俺には、実際に怖い考えだなと思う。確かめる気はないが、冷汗が流れていてもおかしくない。
「お前さ、いつか世界を破壊するつもりか?」
「ご明察。」
いや、ご明察ってな。こいつ、自分の狂気や危険性は知ってるからな。たぶん、半分以上は売り言葉に買い言葉的な冗談だろうが。ただ、多少は本気ということでもあるけど。どっちにしてもわかってるやつに忠告するまでもないだろう。とすると、確認するのは…。
「いずみのこともそういうことか?」
「うん。いずみさんが本当はどうであるかとかはわからなくて当たり前だ。たぶん、どう考えても正しいし間違ってるともいえる。そこを追求するのは無駄だし、益がない。だから、あとは信じるだ。人間に対しては特に信じるは大事だからな。」
「俺がいずみを信じるのは、ちゃんと自分をわかってる気がするからだ。都合に流されそうになった時にも、それが悪いことだと思えば、踏みとどまる力があると思うからだ。そして、その力は無根拠だが強いと感じる。」
「うん、信じるのに理由があるのはとてもいい。ただ、その理由が裏切られても信じ続けること、そこまでして初めて信じるだからな。何があっても彼女のせいにするなよ?」
これが柊の思いやりの正体なんだろうか? いずみのことにしても、根源はわからないと認めるのは寂しいことだなと少し思ったが、信じることが希望そのものだなと感じてもいた。うーん、最近、柊の意見に流されすぎだろうか、俺は。こいつの思考が読めてくると妙に説得力があって困る。ああ、そういえば思い当たるケースがあった。
「関係ないかもしれないけど、利己的な遺伝子のドーキンス博士が信仰を破壊するのに苦労している理由がわかるよ。」
「彼も彼なりの人類の有用性とか、まさに信じているっぽいところが面白いけどな。だから彼の行動エネルギーも信仰なんだよ、きっと。それほど信じるは強いし、他者から見ると厄介で怖い。そして、裏切りに脆く、時に切ない。だから、信仰を崩せるのは内側に入りこめた時だけだな。相手を理解できることが、自分の正しさを認めさせるための必要条件になるともいえるかな。卑怯な人間は相手の恐怖の原理を理解して使うかな。だから、思惑通りに恐怖してやらなければ、理解が遮断出来て信仰は保てるんだよ。その辺も、この小説で起こるいろいろな事件を通して考え続けることになるんじゃないか?」
柊はほんとうによくわかってるな。ここが物語の世界だなんて普通は受け入れがたい現実なのに。もっとも柊には受け入れる必要はないともいえるけどな。この物語はサブタイトルの通り思考実験的要素が売りだ。どうせ起きる事件だって、ストーリー的な面白さとか、会話の精妙さとかはきっとない。作者の書き方次第ではあるけどな。それでも基本的に水平方向に展開する面白さではなくて、垂直方向に飛ぶところが見世物になるんだと思う。どっちにしても、俺自身がなにもわかっちゃいないからこそ、とことん考え続ける羽目になるだろう。
「神は死んだ、とか、あれ、裏切られなかったら言わないよね。」
普段から、思ってることをここぞとばかりに吐露する。柊という話し相手は貴重だ。ま、ののかも十分わかるやつだし、あいつの感性も面白いんだが。
「ああ、うん。ご丁寧に道徳信仰は力なき者の強者へのひがみ、とかまで貶めるのは、裏切りのショックだろうと、僕も思ってたりする。実際には理由なんてない可能性もあるけど、あの表現への情熱や、力への意志とか超人とかいう概念には、それこそある種のルサンチマンを感じるよ、僕はね。」
うん。ニーチェの言葉はかっこいいけど、とても後ろ向きだ。前向きに後ろ向きなのだろう。まあ、だからかっこいいんだと思うけど。かっこいいと信じる理由になるんかな。自分が形で判断しない、内容を吟味する疑い深い人間でよかったと思うわ。そうそう俺は後ろ向きな前向きさの方が好きなんだよな。
「だいたい、防衛機制って立派な人生のツールだと思うんだよね。ルサンチマンって効果的な防衛機制だろ。解釈するのはいいけど、必要以上にかっこよく表現されてもなぁ。ニーチェが自分が支持されることに汲々としてなかったとは思うから、彼の誠実さは感じるんだけどね。」
「そもそもが信じるというはとても個人的な儀式なんだよね。何を信じるかがその人の個性だともいえるんじゃないかな。だから、個々人の人格を大切にするなら、他者に信じろとは言えないし、信じるなとも言えない。それをわかってないから危険なんだろう。正しいを安易に持ち出して、押し付けようとする人にはその辺の機微がわかってない。」
「そうなると学問とか言論活動は全て無駄なのか?」
「客観性も実在性も合理性も論理性も信ぴょう性も、決定打にはなり得ないと知りながら、提出された資料を意味のあるものとして参考にするのは、信じることの内容の更新やそれに基づいた言動への自信にもつながると思うんだよね。だいたい、信じることが単純に守られ続けるよりは、大小の裏切りに見舞われた方が信仰は高まるんだよ。そういう意味では、正しさに準ずるものを主張して論破されるなんてのは、自分にとっては何よりも得難い経験になる。信じることがより明確になって補強されると思うよ。だいたいが論破されたときに腹が立つのは、自分の優秀さを信じていることが土台にあって、自分のその信念を現実が裏切ってる証拠なんだよ。それも含めて信念は少し見直して改訂すれば、そのままもっと汎用的で強い信じるになるはずだよ。」
柊の言葉は実にわかりにくい。できるだけ厳密に言おうとしているのかどうかわからないけど、響いてこないときは何度聞いてもわからないのが柊の言葉だ。わかるときは妙にわかっちゃうというのもある。基本的に受け入れがたい前提があって、それを受け入れた上でしか成り立たない話法なのだ。わかりたくないことはわからないように人間はできている、と柊は前に言っていた。俺の実感としては、わかりたいようにわかるとも言えるかと。どちらにしても、身も蓋もあったもんじゃない。
人間には優劣があるなんて、なんて素敵で傲慢で幼稚な幻想だろうと、俺もよく考える。柊が普段からの言動の端々でいつも破壊しようとするのが、その幻想だというのを俺は気がついている。だから…、
「俺は、その辺の事情が分かってるから、柊の言ってること、だいたい理解できるんだが、わからん人にはとことんわからん気がするな。」
「それこそ、わかりたくない、今の自分の都合を否定されたら事態は悪化するに決まってる、と信じてるんだろ? さらにそれを自覚してないから厄介なんじゃないかな。そういう人が無意識下にある信仰を守るために犠牲にするのは、いつだって自分より弱いと信じる他者の人格というのが相場だ。結果、その人の人間性も将来の安全性も損なわれるんだから、誰も得してない。」
周りの生気のない目をして働き続ける大人たちを思ってみる。教師の中にもいる。なんでこんな連想してしまったかわからないけど、無自覚に信じさせられていることと本当に思っていることとのギャップのために、処理しきれない感情を他者に投影して右往左往させる生き方って大変だろうなと思う。それって、信じる覚悟がないことを信じてるからだと表現もできるんじゃないだろうか。大人になるとは愚かになるということなのだろうか。まあ、愚かだから、自ら願いもしない悪意を発揮するんだろうけど。柊が言葉を続けている。
「何よりも問題なのは、そもそもが信じているだけってことに気がついていない。知識や事実が正しいと思ってる、これらが信じているに過ぎないとわかってない。自覚的に希望を信じるのはいいけど、変化を嫌う都合のために醜い現実を信じるのはどうかなぁと思うわけだよ。」
「現実は疑いなく信じられてるから、現実って呼ばれるんだと思うぞ?」
「多くの人間の現実に本人を含めた幸せにつながる秩序がないように見えるね。もし宇宙に真実を維持する意志があるなら、それを知らざるを得ないような出来事がその人を見舞うことになると思う。ノックの音は目覚めるまで大きくなり続ける。起きなければいけないならね。扉を蹴破られるかもしれないし、布団をはがされるかもしれないし、さらに頬を叩かれるかもしれない。それでも起きないってのもあるかもしれないけどな。でも、それって生きてるのか?」
「って、お前は信じてるのか?」
「ご明察。」
うーん、やっぱり、こいつ危ない。信じるがそうあって欲しいという希望だとしたら、なんて希望なんだろう。柊がリーダーの資質を持たないのは実感する。これだけ的確に表現するのだ、たぶん芯がブレることはないだろう。でも、現実的なのかそうでないのかが非常に怪しい。言ってみれば、恒久平和のためには永遠の戦争も辞さない、というような矛盾がある。その矛盾をとがめたら、それが世界さ、とか平然と言い放つだろう。うーむ、予想できる。とりあえず、軟着陸を試みることにするか。
「信じるがそうあって欲しい、という希望だというのはなんかわかるよ。それは確かに宇宙の法則を創造するような仕事だよな。ああ、まさに作者の仕事だ。当然、その法則はここに住む俺自身も襲うわけだが。」
「綱紀がすごいと思うのは自在に創れる秩序や法則の中に、自分もしっかり組み込めるところだな。自分だけは治外法権なんてのは誰もが望みそうなものだが、君はその辺公正だよね。」
「いや秩序や法則を考察できるというだけで十分にチートだと思うよ。人間の法じゃなくて、普通は知りえない自然の法を扱ってるわけだしな。人間の法も自然の法の支配下なんだから、それと交渉できるのは十分に特権階級だよ。それに、自分は秩序に従属しなくていいなんて不公正を認めたら、秩序そのものが信じられなくなるだろうしな。」
「そこが綱紀のいいところでもあり、限界でもある感じだな。まあ、僕が言うことじゃないと思うけど、この宇宙はいろいろな世界観をおのおの個人の資質に応じて信じるに足る神話として用意しているよ。たとえば科学もその一つだよね。この宇宙の中心を自覚できる君は、信じる世界観を自在に変えてみれば、あらゆる課題に対処できるんじゃないかな?」
「なんか、それもネタばれっぽいな。はっきり言って、俺にも意味がわからないんだが。」
「ネタばれしておかないと、解読できないような物語なんじゃないかな。ここまでの現実もいったいどれくらいの人がフォローできると思う?」
「半分以上、おまえのせいだからな!」
そういうと柊はため息をつく。
「だから、人のせいにしたら負けだって。」
「いや、それも責任回避という人のせいに通じる発言だからな。」
たぶん、お互いに正論。沈黙の冷たい空気が流れる。そしてやがて同時に笑う。俺たちはお互いにこういうのを冗談だと思えるから、けんかになることも対立することもなく、むしろ相手や世界を理解するための機会になって楽しいと感じるわけだが、そういう動機や余裕がなければ本当にまさに戦争の火種だよな、と思う。柊はわかってる。そして俺もわかってる。ここで何がわかってるかといえば、一言で言えば太極だろう。アンチノミーは理性が導き出すのだ。
「太極か。」
思わず声に出る。柊がためらいもなく応じる。
「そうだな、実際に今の世界が理解すべきなのは、太極、それだけだとすら思うけどな。」
「そのあたりの理解が進むかどうかはひとつには表現次第だな。信仰は根拠がないから強いけど、理由があるから裏切りに耐えられる、とか、今日の話まとめるとそんな感じだろ?」
「矛盾を回避しようとした結果、全部は言い当ててないと思うけど、最低限は言ってる気はする。最低限な。」
「本当にわかってることなら、いくらでもバリエーションで表現できるはずだってのが、創作者としての信念だからな。それこそ正確さにこだわる必要ないだろ?」
思ってることそのものじゃなくて誤解が伝わってもいい。その話題がお互いの刺激になるのであれば。もちろん、別にならなくてもいいけど。誰にでも共通する正しさなんてないと認めた方が早い。俺たちにできるのは、信じていることをお互いがそれぞれに確認するきっかけを与え合うだけ。柊との交流で俺が得た人間関係の存在意義の一つはそれなのかもしれない。ただ、正しさにこだわらないのであれば、それ以上に大切なものを示唆しなければいけないとは思うのだが。
「永遠にわたって有効である機能や効果は正しいと定義できないか?」
「うん、定義に過ぎないよね。人生を有限だと考える人がそれを支持するとは思えないよ。」
「じゃあ、正しいって、多数決?」
「現実を支持する人はそう信じてるんじゃないかな。理想も美しさもあったもんじゃないから、僕は拒否するけど。」
なるほど、正しいを信じない人がいる時点で、正しいは正しいの基準にならない。笑える。信じる方が強いのか。強さが正義なら、信仰は正しさか。いやはや堂々巡りもいいところだ。
夕方になって、柊の家を後にする。柊のお母さんが夕食を薦めてくれたけど、作り始めてないことを確認して遠慮させてもらった。家に帰りつくとリビングにののかがいる。お帰り、ただいまの挨拶に続いて言い放つ。
「あー、やっぱ柊って変だわ。ののかも気をつけろ。」
「お兄ちゃんもほんとうにひどい友達だね。柊先輩、気をつけた方がいいと思う。」
「どう考えてもあいつの方が破壊力上だろ?」
「上とか下とかないでしょ。効果のほどはターゲット次第だよ。お兄ちゃんも自分の危険性は少し自覚した方がいいと思う。」
自覚ねぇ。それができたら世界の問題なんて全部解決するだろうよ? というか…、
いやいやいや、ののか、ちょっと柊の肩持ちすぎじゃないか? などと確かに友人にあるまじき謎の危惧を感じないでもない俺は、シスコンなのか?と深く思い悩んだりもするのだった。ののかのことは俺よりも柊の方が理解しそうだしな。いいと言えばこれ以上なくいいわけなんだが。
概念的には最初にネタバレしておこうという方針なのです。
もちろん書ききれるものではありませんけど。
いずみのアカシックレコード機能がどんな矛盾を引き起こすかについて、
あらかじめまとめておこうとかも思ったのですけど、
(基本線はタイムトラベルにまつわる問題と似ているのです。)
もっとメタなレベルで解消できそうな設定にしておきました。
自分でもかなり受け入れがたい概念を使っている自覚はあるので、
理解できないときは全く理解できないかもしれません。
現実世界は物理だと信じている人が多いので、
そもそも概念自体になじみないでしょうしね。
(物理を信じる理由は脳にとって当たり前すぎるので、
その信仰を止めるのは同じ人間には不可能じゃないですかね?
世界中の暴力を無効化したい人なら考察する価値はありますけどね。)
「お前が理想とする秩序を信じろ。
それがそのまま世界の法となる。」
もはや事物(現象)ではなくて、法(秩序)に関与しようとしてます。
それも人間の法ではなく、自然の法です。
というのは伝わるのかしら?
先にネタバレするってのはこの小説の核心だけど、
この手法を上手に表現することはそれだけに至難ですね。
ま、逆に言えば、あとから読み直すとわかるかもしれないです。
(A.クリスティの『ゼロ時間へ』は未読です。)
参考人物
#ニーチェ #カント #ヘーゲル