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世界を創作する小説 -小説とは思考実験である-  作者: 長瀬 綱紀
破 -没原稿-
10/10

未来を知り逆算して現在を選択するのがほんとの生き方なんだよ

哲学が全然出せないので参ってます。

というより、話そのものが哲学なんです。

というところで目が覚めた。としてもいいかなという気がしないでもない。


俺が小説で書きたかったのは、哲学的な設定で哲学的に事件が起きていく日常だったのだが、日常の選択を生徒会にしたのは誤りだったと言える。いっそ、哲学部だったらよかったのだ。

それに実は、俺の小説のアンチテーゼのように、ご都合主義の生反対を行く小説を読んでいると、そちらの方がリアルで面白いのだ。小説という形態と哲学と言うのは、流れる時間の方向が逆だ。


この時間の流れる方向が逆だというのが、哲学的持続と物理的時間の一番大きな差であって、いずみの存在がそれを如実に示している。彼女は未来も過去も知っている。そして俺は過去を訂正できないが未来を作れる。それがこの小説の世界観なのだ。


こういう説明めいたことは隆哉の仕事だ。と思っていたら、隆哉が生徒会室に入ってきた。藤崎も俺の小説については知らないはずだが、もういっそ明らかにしてしまっていいかもしれない。


「隆哉、遅かったな。」

「はは、渡辺先生につかまってた。」

「何やらかしたんだ?」

「言いたくないからいずみさんから聞いてくれ。」

「なんで、彼女が知ってるんだ?」

「あー、まー、おっと、藤崎もいるのか?」

「こんにちは、柊先輩。」

やはりパソコンに向かったまま、藤崎が挨拶する。一応、最初の頃は目を合わせて挨拶していた彼女だったが、あまりにもフランクに溶け込んだせいでこうなってるんだと俺は信じている。

「小説のことなら、もう生徒会仲間では共有しちゃっていいぞ」

「まー、隠すの不便だからな。」

続いて藤崎が事情を聴いてきたので、あらましを話して共有してみた。藤崎にはさすがによく理解できてない様子だったが、まあ、ののかから解説を受ければ理解できない頭ではない。ののかにもはっきりは言ってなかったけど、これで隆哉と信じる信じないの話をした理由に納得いくだろう。

生徒会の運営と哲学と言うのは、ある意味プラトンの哲人政治みたいな感じもある。政治というほどの権力はないが、それでもほかの学校に比べると格段にやれることは多い。


うん、渡辺先生のことはどうでもよくなってきた。


「はっきり言えば、いずみに聞けば解決した状態を知ることができてしまう。ただし、そうなるように俺が事件を捜査知ればの話ではある。」

「先に結果があって、その過程が後からついてくるという思考には、慣れてない人にはつらいだろうな。藤崎はどうだ?」

「かなりちんぷんかんぷんですね。」

藤崎にしてみれば、理解も追いついていないだろうが、彼女のやり方は大本命を避けて、裏から手を回すのが得意なので、こういう仕事には向いていると思われる。ぜひ協力は得たい。

「野球部と剣道部で試合をやればいい。」

突然隆哉が言う。

「話が飛び過ぎだ。」

「だよな。いずみさんに頼るのはよくないと思うけど、今日は遅いな。」

「しかし、解決した状態から逆算して今すべきことを思い浮かべるというやり方は、なかなかみんなやらないからな。いい案が出るなら、そっち方面かもしれない。」

藤崎も腕を組んで、背もたれに体を預けてちょっとびっくりするような世界設定に気を落ち着けているようだ。いずみが来れば、だいぶ実感だけは得られると思うのだが。」

そして、神宮由紀奈もまだ日直の仕事が残っているのだろう。この日直が特別な仕事なのはわが校の特殊性だが、これも二度目の説明になる。


「この小説(現実)に臨場感がないとしたら、最終的には何とかなっているから、今の我々の存在があるということだ。」

「確かに未来で破滅していたら、この時点ではいずみ先輩が何か言うはずですよね」

なんとなく藤崎も事情が分かってきたらしい。


今後もいつ夢から覚めるかわからないような物語が作られていくのだが、哲学的な設定だけは明らかにした方がいいだろう。


「なあ、綱紀、未来からの情報を利用するとその時点でその未来をないものにすることができることは明らかだと思うのだが、いずみさんはそれをも踏まえた上で言葉を選んでくれるってことだよな?」

「そう、だから作者の俺より、いずみの方が何倍も大変なはずだ。ただ、何も考えずにやってるかのせいのもあって、全ての世界線を全て見通しているだけかもしれない。」



さすがに小難しい話が続いたので、藤崎があっけに取られてはいるが、この子も十分頭のいい子なんであって、哲学で生きるこの常識があまりにもかけ離れているだけなんだということである。いずみ何やってるのかな、これも伏線かなと思いつつ、当初の野球部の話がどっか行ってしまった。いずみと神宮が来たら書き加えていこう。

ここで終わりにしようと思ったのは本当なんです。

だって、他の小説では

「これは物語ではなく、俺の現実であるから、そんなに都合よくはいかなかった」

という感じの記述があって、その人の作風が意識高い系の賢い風なので、

そっちのほうが読みやすいし、時系列にも沿ってわかりやすいなと、

敗北感を感じたのです。

で、新しい物語を書き始めようかとも思ったのですが、

やれるところまではやってみます。


人とは正反対に考える人で、

稚拙な文章でも一生懸命読んでくださる読者さんを募集してます。

(いるかそんな人!(笑)

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