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夢オチメタストーリーは執筆完了するの?

サブタイトルの通りです。

はっきり言って、設定オチだと思っています。

ただ、書き続けたいとも思うのです。

なぜなら、「シシューポスの岩」の業にも価値を与えてみたいのです。

「最初に言っておきますけど、この物語(げんじつ)、夢オチですよ?」

ミステリーファンならずとも、物語が好きな人なら怒りそうなことをこともなげに彼女は言う。我が副官、牧野いずみである。彼女にしてみれば、この小説の地の文は誰の視点なのかってことすら、どうでもいいくらいわかっているのだ。

「夢オチってわかっててそれでも書くの? 俺?」

そして、全然わかってないのが俺、長瀬綱紀である。(読者の皆様、どうぞよろしくお願いします)。この連山南高校2年生にして生徒会長を務めている。

俺にわかっていることは、この小説の主人公が俺で、ヒロインの一人が牧野いずみだということだ。だが、一方のいずみはと言えば、

「ええ、その返答もわかってましたし、私がこういうのも決まってましたけど、書くんです。ぜんぶ、最後は夢だったで終わるのです。それでも書くのです。」

考えてみたら小説を読み終わって、現実に戻ってみたら小説の内容なんて夢と何ら変わりないには違いない。それと同じことか。いや、でも。

「読むだけならともかく、ことが書くってなると徒労としか言いようがないと思うのだ。シーシュポスか、俺は。」

「あら、それでも綱紀はラストシーンの手前で、この小説書いてよかったって振り返ってますよ。」

読者の皆様すみません。わかる。絶対におかしい、この会話。わかるわけがない。この小説の世界をわかりやすく説明するのは、俺の仕事なんだが、もうこの会話をどう説明したらいいか。

重複するのを承知で、かつ拙いながら整理すると、この小説を書いているのは俺、長瀬綱紀だ。(ペンネームはせる せろりです)。地の文も会話文もすべて俺が入力している。電子記述でリアルタイムと言っていい。この仕組みを説明できれば面白いのだが、いつかこの設定が伏線になることもあるかもしれないから、今は黙っておく。

「そうそう、それは賢い選択なのよ。」

そして地の文なのに、こうやって会話を成立させてくる牧野いずみは、はっきり言えば異能者だ。なにせ、この小説に書かれていることは、すべて知っているのだ。何が書かれるかも、どんなシーンがあるかも、だれがどんな背景を持っているかも、あらゆる知識を彼女は持っている。俺だったら、そんな状況にあったら気が狂う。一体、この子はどうやって正気を保っていられるんだろう。せっかくかわいいのに。

「でしょう、でしょう。私、かわいいよね。そしてなんと、彼氏募集中! 読者のあなた? いかがかしら?」

この都合のいいところだけピックアップできる性格のおかげで、発狂しないですんでいるのだろうか。どうせ、いずみは知っているだろうことだから、失礼ついでに書いておくけど、別に俺はいずみには惚れてない。(いずみの外見についてこれ以上の描写はしないつもりだけど、それでも彼女のどこかに読者が惚れる要素あるんかな? ん? 読者は設定に含まれるの?)

いずみの強靭な精神はともかく、俺だって、かなり状況はシビアだ。

「というか、俺が主人公になってる小説を書いてる俺が、ラストシーンを迎えるって、最後はこの現実(ものがたり)から消えるってことだよな?」

「ですよ。よかったですね。やることすべて終えて、書くことなくなるまで満足して筆を置くのです。」

いやいや、仏教の解脱じゃあるまいし。

俺はギャンブルがすごく嫌いだ。不確実なことほど厄介なことはないと思ってる。それがこの小説を舞台にして起きるあらゆる厄介ごとが、ぜんぶ、きれいに消化される結末を迎える、という保証を得られるのは、なんというかありがたいというか。もちろん、いずみの異能を信じるならばである。

ちなみにいずみは嘘つきである、というパラドックスめいた設定はオチではない。だよな?

「はい、私はいたって普通の女の子なので、自分が隠したいことは黙ってたりしますけど、ストーリーを破壊してしまうような嘘はつきませんよ。」

信じようが信じまいが、そういう設定なんだよな。いや、本当に書いているのは誰だ。


さて、賢明な読者様諸君には、この物語(げんじつ)の設定、おわかりいただけただろうか?

基本的には難しい設定は最初だけで、

あとはほのぼのと日常を哲学していけたらと思っています。

繊細に泣ける場面を作れたら最高かなぁ。

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