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《2-19》

リーリエ視点になります。


ここから〈親たちの因果編〉とします。

フリージア・カヴァナーの名前と共に忘れられない、その特徴的容姿。


今よりも若かった、出会った頃の彼女はピンクゴールドのふわふわとした髪、幼げで守りたくなる可愛らしい面立ち。それなのに紫色の瞳は、知的に落ち着いていて、さらに目尻の泣きホクロが色気を出す。

すべてがアンバランスであるのに、そのアンバランスさを感じさせない、いやむしろそれが魅力的な、惹き付けるものを持った彼女。



できれば二度と会いたくなかった。


会いたくない程嫌いなの。でもその反面、あのときのことは彼女だけに非があったわけではなかった?といまだに擁護しそうになる。

だがあのとき受けた悲しみを思い出すと怒りがこみ上げてくる。



攻めぎ合う2つの感情。





あの時のようにわたくしの心は、嵐のように荒び吹き荒れていた。







彼女の話をする前に、わたくしと旦那様との出会いから話しましょう。


旦那様、ブラッドリー・レーヌと出会ったのはわたくしが9歳の時。

時の王太子殿下、現在の陛下である当時10歳のアイザック様の婚約者を探すためのお茶会という名の合同お見合いの場でした。


わたくしの生家は辺境伯で、兄2人のせいでイロイロ鍛えられた気の強い令嬢でした。表面上は嫋やかで口答え一つしなさそうと言われるほど猫かぶりが上手だったわたくしは、自慢ではありませんがあの場で王太子殿下の婚約者に一番近い存在と目されていたのです。


そして、ブラッドリーはその時すでにご学友として殿下の傍に側近として侍っていた。

他にも何人か側近がいましたが、年が同じだったブラッドリーと殿下は本当に仲が良く、常に一緒にいた記憶がありました。

殿下たちが会場に入ると、侍従たちの案内に沿って挨拶に少人数のグループで殿下たちのいるテーブルに行くのですが、そこで事件が起こったのです。


わたくしと他数人と、確か3人だったのを覚えています、それと示された席に座ったとたん熱い視線に気が付いたのです。

その強い視線の先を辿れば殿下の横にいた、ブラッドリーだったのです。


目が合った瞬間、真っ赤になったブラッドリーは徐に立ちあがりわたくしの席に近づき、目の前で片膝をつき、わたくしの手を掬うように持ち上げると、その手を愛おしそうに唇で触れたのです。


「ああ、美しい人、どうかその名前を僕に教えてくれませんか?

あっ、失礼した僕はレーヌ侯爵の長子、ブラッドリーと申します。」


突然のことで、驚き言葉を出すまで時間を要してしまいましわ。


「・・・・・・・・・、はじめまして、わたくし、プラント辺境伯の長女のリーリエと申します・・・。えっと、あの?」


わたくしが名前を告げましたが、あの時のブラッドリーはまるで夢をみているかのように頬を染め、蕩けた瞳をしていました。

お茶会に参加していた面々も、なにが始まるのかだれも何も発せず注目されていました。

しかし、わたくしときたらあまり、いえ、そのようなことははじめてで固まってしまってしまいました。

なにせあの頃のわたくしは、気が強かったもので、それはほとんどやっかみでわたくしに攻撃をしてくる方々の相手をしていたからなのです。

わたくしのお兄様方は、まあぁ見目は大変よろしく、騎士のように屈強な肉体と貴公子然とした甘い顔。それはそれはおモテになりましたのよ。そのお兄様はわたくしを、大変かわいがってくださいました。それはもう、困ったくらいに・・・

他家のお茶会にお呼ばれした際、令嬢に囲まれても、「君よりも妹の方がかわいい」「妹の方がマナーが上手い」「妹の方がダンスが上手い」「妹のほうが・・・」「妹の方が・・・」といって相手にしていない、寧ろ冷たい態度をつらぬいていたそうです。

兄たちとの年齢差はわたくし、5歳もあるのですよ!

数年してわたくしがお茶会という社交の場にでれば、その比べられた令嬢たちが鼻先で笑いながら嫌味を言う始末。みなさんわたくしよりも年が上だというのに、挨拶ひとつまともにせずに、真っ先に言う言葉が「あぁら、大した事ないじゃない?」ですよ。そのうえ、小さな嫌がらせをチマチマと・・・

それに負けじとわたくしもマナーに外れない範囲で反撃して、さらにあのような小賢しい嫌味と嫌がらせに屈しない、ひれ伏すような高貴な令嬢になるためと、彼女たちを反面教師にがんばって学びました。

それでも小さなお茶会では、令嬢たちを影では苛めている野蛮な令嬢だと嫌がらせのような噂をながされ、同じ世代の子息たちからは避けられる存在になってしました。

まったくの嘘もいいところですのよ、相手のマナーの失敗を厭味ったらしくご指導してあげただけなのに・・・





だから、あのような甘い言葉と熱い視線、優しいしぐさを受けたのは初めてで柄にもなくときめいて、その後どう行動していいのかわからなくて固まってしまったのです。


「やはり、貴女の気高い美しさは百合の花ようだ。僕の女神、よかったら、あちらで二人で話しませんか。」


そう言われ取られたままになっていた手を引かれて花々が咲く方へ移動したのですわ。そのときアイザック殿下が何か言われていましたが、ブラッドリーは立ち止まることもなくズンズン進んでいって、わたくしもその手に引かれて誰もいない東屋で時間いっぱいまでお話しましたの。

その日は王都にある屋敷まで送ってもらって、別れる時まで隣で手を握っているなどそれはもう、それでわたくしもぽ~~~~~っと夢心地でしたのに、次の日には婚約の申し込みが正式にレーヌ侯爵家から来ましたのよ。

ブラッドリーの行動力の速さに目をひん剥いて驚いたものですが、わたくしもあのときにもう好きになっていたのです。

勿論、謹んで受けさせていただきましたわ。

その後すぐにブラッドリーが屋敷を訪ねてきてくれて、わたくしが飛び上がって喜んでいたところを見られて猫被りはすぐに剥がれてしまいました。


その後、王太子殿下の婚約者はロックウェル公爵のレイチェル様にお決まりになったのです。

確かわたくしと同じグループで殿下のテーブルに着いたのですが、わたくしはすぐに移動しましたのでその時のお二人の出会いがどのようなものだったか知らないのですが、ロックウェル公爵はその時の王弟殿下の臣下した公爵家でしたので家柄としても問題なく、殿下とも幼馴染で気心知れた仲。レイチェル様は殿下よりも2歳年が下でいらっしゃるので年齢も問題ないようです。とても大人しく、勤勉な方だと後で覗った次第です。


その後、ブラッドリーを通じてアイザック殿下とレイチェル様とも交流を持たせていただきましたが、良好な関係を築けているように見えていたのです。




しかし、今思えばそれは見えていただけで、事実はそういかなかったのです。


もっとお二人の距離感をしっかりと見ていればよかったと今は後悔しています。







あれから数年後、わたくしたちは貴族の子息令嬢の全員と魔力のある平民も通う学園に通いだしました。

わたくしが2年のときに入学されてきたレイチェル様とも、さらに仲を深めていきました。


他にも成績優秀な王太子殿下の側近候補たち、さらにはその婚約者たちとも交友し、気がつくと学園の小さな執務室と言われる生徒会の一員となっていました。



そして、その生徒会にいつしか入り込んでいたある女生徒。


彼女が巻き起こした事柄は、王室も巻き込む大変な事件へとなっていました。




彼女、フリージア・カヴァナー。

田舎地方の子爵令嬢が次々と、将来の有能であろうと目されていた子息たちをたぶらかしていった事件。








アイザック殿下もその一人だったのです。


書ききれなかった( >Д<;)

続き頑張って書きます。


新たにブクマや評価いただきありがとうございます!


早く、ちびシルヴィアとちびフェリクスの絡みを描きたい。拗らせを沢山、書きたいです。よし、チャッチャッと書く・・・・・・・・・書けるかな?

よし、努力しよう。

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