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《2-06》



「そういえば、なんであんなところにいたんだ?」


今はハーブの摘み取りをアレックスと共に行っている。

カモミールは花を摘んでそのまま摘み取る。ラベンダーは花よりも少し下を摘み取るといったことに注意しながら摘んでいた。

その最中に声をかけられた。


それに対して思わず聞いてしまったのだ。


良い行いをしたいけどわからない・・・



「善い行いねぇ・・・。それなら、教会や孤児院の慰問をしてみたら?」



それだ!!!!!




そうだ、貴族令嬢夫人の善行といえば奉仕活動。王都内にある孤児院は2つ、教会は3つある。近隣の町の孤児院も行けるところは行ってみよう!


とはいえど


そこはシルヴィアは高位の貴族令嬢。

気軽にお出かけなんてできない。ましてや町中にある孤児院に行くには警護の問題もある。

付き添いはメイドのサラに頼んでもいいとしても本来なら護衛もできる従者がいた方がいい。

兄であるアレックスにも乳母の息子が秘書兼従者として影のようにひっそりとついている。ホント、影のように影が薄いけど。見たことがあるはずなのに顔が思いだせないというほどなのだ、モブとはそんなものだろう。

今シルヴィアについているのはメイドのサラだけ。年齢は20歳になる男爵家の二女で行儀見習いとして学園卒業してからこのレーヌ家で働いている。年齢的にもいずれ結婚してメイドという仕事はやめてしまうだろう。本来シルヴィアくらいの令嬢ならばメイドは常に3人はついているはずなのに、サラ一人だけ。悪役令嬢特有の我儘のためメイドに嫌われてかと思ったけど、確かに我儘であったけどメイドに当たり散らすなんてことはしたことないんだけどなぁ。

何故?

これもあれかな?

ゲームの強制力、シナリオ通りの悪役っぷりを周囲に印象付けるため?


どちらにしても昔のことを今更どうしようもない。できる限り今よりも世間的に悪印象を付けないように行動しないとね。



「お兄様?わたくし孤児院や教会に行ってみたいです」


カモミールの香りは爽やかな林檎のような香り。甘くて爽やかでまるでお兄様の様。

最初はレモンバームのような柑橘系の香りが似合うかと思ったけど、こうして一緒にハーブを摘んで微笑んでくれるその姿はカモミールの安らぎと同じくらいほっとする。


「そうだね、ヴィーは殿下の婚約者だから将来は王太子妃になるんだからそれはとてもいいことだよ。それに孤児院や修道院は王族の管轄施設が多いから今からその経営に慣れておくのも大切だね。」


そうだった。

フェリクスルートのシルヴィアバッドエンドが修道院だったのは、王族の管轄施設だからでもあったのよね。閉じ込めるのなら修道院ほど見張りやすいものはなかったからなのよね。もちろんそれは小説になった中にあった。そういえば、シルヴィアの死亡にも小説には詳しい記載があったはずなのに・・・なんだっけ?あれだけ読み込んでいたはずなのに思いだせないなんて・・・しかも一番知りたいフェリクスルートについてなんて。困ったなぁ・・・まあ本来前世なんて覚えているものじゃないし、前世を思い出しただけでも幸運だと思わないといけない。


「わかりました・・・その、お兄様とも一緒に出掛けたいのですが?」


「うん、いいよ。日程を調整しよう。」


アレックスの言葉で、王太子の婚約者としての務めを思い出す。小説の中のシルヴィアにはそんな記述はなかった。今のシルヴィアはとにかくいい子アピールをしておかないといけない。一人で行動するのはシナリオの矯正がまた入ることを懸念してアレックスにも一緒に来てほしい。

そう思って不安な気持ちを抑えてお願いするとすぐに承諾がかえって来た。

良かった。

そうだ一緒に慰問に行けば、頑張っている健気な姿をお兄様に見せられる。

アレックスルートの定石、努力は報われる。実践できる。

よし、頑張るぞ!




一緒に摘んだハーブはラベンダー、カモミールのほかに、レモンバーム、ローズマリー、リンデン。それ等を平たい籠に広げて天日干しにする。フレッシュハーブをそのまま使うのもいいけど、乾燥することで香りがより濃厚になる。これを煮出して液体にして香りを楽しむために加工してもよい。

籠にひろげるところまで終わらせると、後は爺がやっておくと請け負われたので屋敷に戻ることになった。


「そうじゃった、来週わしの玄孫がこっちに来ることになったけえ、見かけたらよろしくしてやんさってや」


・・・・・・爺、なんかわからないけど何となくわかった気がする。

多分


お兄様と一緒に微妙な顔で頷いてから部屋に帰った。







忘れていたフェリクスとの婚約の件を思い出して少し不安がよぎる。

このままフェリクスとの仲を改善して、恋仲にならないまでもお友達として仲良くなってみたとしよう。そして、ヒロイン(マーガレット)がフェリクスルートを選ばないでほかのルート攻略の邪魔をしなかったら王妃になる可能性がある。

・・・・・・王妃かぁ


国中の注目の的で、国際親善に努めて注目を浴びて・・・

人見知りほどじゃないけど、前世からも人前でスピーチなんてしたことないし、注目の的なんてなぁ。

それに瞳のこともあるしなぁ。


心情の機微が瞳に現れるのって令嬢としても致命的なのよね。

ちょっとの時間なら感情を抑えて機微を出さないように頑張れるけど、王族となって四六時中誰かの目線を気にするような暮らしは無理じゃないのかなぁ。


婚約がまとまったばかり、貴族たちに周知されてしまったけど公にするのは15歳のデビュタントだ。その時一緒に婚約式をすることになると聞いている。


それまで何とか、解消に持っていきたいなぁ。

それが、無理ならいっそのことヒロインにはフェリクスルートに進んで貰って婚約破棄されて修道院に自らはいったほうがいいかも?


そうだ、孤児院と一緒で修道院も慰問しよう。

将来はいるところを自ら選んで、そこに入れるように地ならしをしておいたらどうだろうか?


ヒロインをいじめる気はサラサラないけど、フェリクスルートもニコラスルートも婚約破棄されるから準備をするのもいいかもしれない。



シルヴィアいい子大作戦のついでに、シルヴィア断罪後逃亡先作りもしておいたらいいかも。


これらをノートにまとめておかなくっちゃ。


前世のこと、ゲームのこと、これからの事。

思いだしたとき、気が付いたときに書き出して、定期的に見直そう。そうして死亡だけは避けて避けて、逃げて逃げて、良い子のシルヴィアちゃんを作って将来的には、穏やかに暮らせるようにしよう。

そうしよう












シルヴィアの将来的希望


アレックスルートの傍で、ひっそりと推しを眺めながら暮らしたい。










読んでくださりありがとうございます。


ブクマ・評価ありがとうございます。

誤字脱字報告助かっています。ありがとうございます。


最近夜が眠れずに、困っています。私もハーブ欲しいです。

カモミールブレンドに蜂蜜入れて飲みたいなぁ。

ハーブのことを書きすぎて話が進まない。

次回、ヒロインを出すところまで書きたいな。

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