ADHDな転生者
「メイ、メイ、メイ!」
だんだん大きくなる呼び声に、重いまぶたをちょっとだけ開けてみた。
「ん‐?」
なんか、見たことのないイケメンがいるような気がするけど、危険な感じもしないので、もうちょっと、寝ようかなっ
と思って、目をとじると、ほっぺたをムギムギされた。
「痛いっ!」
「いいかげんにしろよ。」
「んー? ここどこ? あなたは誰? 」
片目を半分開けながら、声をだした。
「ボケかますのも大概にしろよ。」
「んー? あぁーお兄ちゃん?」
「どれだけ、寝ればいいんだよ。」
んー......と、えーっと、
「なんだっけ? 何で寝てるんだっけ?」
「お前、昼間に階段から落ちて、その後、お尻が痛いから動けないって、寝てただろ。」
あーそっかそっか。
階段落ちたよね。
でも、ここは、なんだか、すごく天井の高い部屋だ。暖炉のにおいがする。
これ、どうみても、雑誌で見た、古城ホテルの中みたいな......それに、電気もなくて、ロウソクって、やりすぎじゃね?
もしかして、転生とかかな?
「お兄ちゃん。ワタシは誰?」
ベシッ!
「いったーい。」
「いいかげんにしろよ」
「えー、でも、ここどこ? ってか、お兄ちゃんって、
お兄ちゃん? お嬢様に転生なら、お兄様とかじゃないの?」
「お前が一度でも二人だけの時に、お兄様とか言ったことあるか?」
「覚えてない。」
「ボケは!やめろって、いつも言ってるだろ。」
「すみません」
なんだか分かんないけど、謝った。
考えるの面倒くさいし。
転生っぽいけど、記憶がない。でも、このお兄ちゃんの言ってるボケな女の子は間違えなく私だって気がする。
生まれ変わったけど、ショックで今までの記憶なくして、前世の記憶が出てきたってとこかな?
まーいーや。
考えても分かんなさそうだし。
あーそーだ。
お兄ちゃんがイケメンなら、私は、美少女かも。
「ねえ、鏡ある?」
「ベッドの脇に置いてあるだろう」
「あれ 鏡なの? 曇っててよく見えないよ。 部屋暗いし。」
「何言ってるんだ。ベルアンジェの最高級鏡だぞ。」
「そうだっけ?」
よく見るとベッドから半身を起こしてる髪の長い少女が映ってるよーな。 まあいいや シルエットは綺麗っぽい。 細くて、髪、 長っ!
ちょっと美人ぽい。
「ねえ 私って美人な方かな」
「そンなこと聞くか?普通。 まあまあ見かけだけは、見れるんじゃないか? お前の中身を知らない奴らがおまえを紹介しろってうるさいしな。 どうでも良いが、ディナーだよディナー。 早く降りて来い!」
「はーい 一緒に行くからちょい待ってて」
いそいで起き上がると私の身長は、130cmぐらいしかなかった。
「ねえ、私の誕生日 いつだっけ?」
「お前、いつもよりおかしいな。 やっぱり頭打ったか?」
「うん。誕生日も歳も忘れた。 教えてください。」
「からかってるだろ」
「本当に分かんない」
首を傾けるとしょうがないな〜という顔をして頭をポンポンとされた。
結局、何歳か教えてくれないのね。
兄は手を繋いでくれて、一緒に階段を降りた。
階段はホテルにあるような幅2メートルはあるそれは優雅な螺旋階段だった。
途中の踊り場だけで四帖半は、ありそうだ。
「ねえ、ウチって貴族なの?」
「おまえっ、貴族に決まってるだろう。もう300年も前に叙爵された家だ。いまでは7公爵しかないうちの一つ、サザーランド公爵家だろ。」
と、どや顔のイケメン兄。
「へぇーそーなんだ。でも公爵ならお兄ちゃんじゃなくて召使いが迎えに来るんじゃないの?」
「今時、召使いが迎えに来るのは、王家と親兄弟の仲が悪い家ぐらいなものだ。 7年前の黒死病以降、人手が足りないしな。うちのような高位の貴族でも食事に呼ぶぐらいのことは家族でするさ。」
「時代の流れだよ。自覚しろよ。おまえは、サザーランド家の9歳の長女、メアリー・ジョセフィーヌ・サザーランドなんだぞ。」
「9歳? 9歳なの? 9歳って言ったら小学校3年生ぐらいかなー。」
「ん?しょうがっこうってなんだ?お前の空想か?また」
「しょうがっこうっていうのは、こどもがみんな通う学校のことだよ。 義務教育って言って、こどもは、全員いかなきゃいけないことになってる。」
「こどもが全員か。貴族のこどもが全員っていう意味か?」
「ちがうよ。こどもなら、だれでもだよ。」
「こどもが身分に関係なく全員いかなきゃいけないことになってる学校か......おまえの空想通りになったら、収拾がつかなくなりそうだが、ある意味、壮大とも言えるな。」
そういうお兄ちゃんに、私は、また頭をポンポンされた。
階下のダイニングに入ると飴色の髪に、上品なスクエア襟のバーガンディーベルベットにベージュ色の蔦と小花の刺繍を施した長いドレスを着た女優のような栗色の長い髪の美しい女性が優雅に座っている。
こちらに、優しげな微笑みをむけている。
「早く席に付きなさい。 お料理がさめてしまうわ。」
「はーい。おかあさま?」
「なぁに?お尻はもう大丈夫?」
おかしそうに微笑んで、女性が答える。
あーやっぱ、これが母なんだ。
よかった。
優しそうで、安心する感じ。
でも、この若さで母か。美人だよなー。
とすると、わたしも美人かな?
肩から落ちる自分の飴色の髪の毛を見ながら期待が胸に。




