ワ~プ
俺の自慢は最新のスーツ型ワ~プ装置、思い切ってローンで買った。
支払いは少々きついが何とかなるだろう。
この装置、装着には少し時間が掛かる、初めてだから尚更だ。
(がしごしぺし、ごしがし…。)
あっ、間違えた…、え~と…。
(ぎしごしがしごし…。)
何とか装着完了。
まずは上空へ。
(ひゅ~ん。)
かなりの高度まで上がっておかないと危険が伴うから一気に上がる。
(ひゅ~ん。)
十分な高度に達したところでワープアウト地点の確認をする。
ワープアウト時、その地点の小さいデブリは問題なく排除されるシステムになっている。
だが、万が一操作ミスをして、見知らぬ誰かさんの鞄の中に頭だけワープアウトしたら…。
そうだな、第三者的に考えると、鞄によって切断された状態の体と頭部と言うのは笑えるかも知れない。
いや、当事者となったら洒落では済まされないレベルでシュールだ。
まあ、ミスっても何とかなると、思いっきり分厚いマニュアルの三ページ目ぐらいに書いてあったと思うから大丈夫だろう。
マニュアルは熟読したのかって?
流石に五ページぐらいは読んださ、装着が難しくてな。
心配には及ばないぞ、扇風機だって殆どマニュアルを読まずに使いこなして来た俺だ、少し複雑な装置でも問題ない。
おっと、グリーンランプが点灯した、ワープアウト地点に問題はないみたいだ、たぶん…。
さあ、ワープスイッチ、オン。
(ぺちっ!)
≪しゅわ~ん、ふぉんふぉんふぉんふぉん…、きゅ~ん。≫
光が渦となり俺を取り巻き揺さぶる、ちょっと眩暈がする。
≪ふお~ん、ふぉんふぉん…、びゅわ~ん、す~。≫
あっという間に、目的地の上空に着いた。
ゆっくり降下する。
≪ふ、わ~ん。≫
目的地到着。
「おばちゃん、たこ焼き一人前たのむわ。」
「あいよ。」