5話 大変な事がわかりました(スキルも含め)
フォンのセリフを修正しました。
修正前)「【眷属化】されていても、嫌な命令には反抗できますよ」
修正後)「【眷属化】されていても、酷ければ反抗できる命令もありますよ」
修正前だと『個人的に嫌な命令には』という解釈もできてしまうので、指摘をいただいて修正しました。
「マスター。あさだよー! おきておきて!」
「ぅ……ん? ……今の、フォンか?」
俺はフォンから聞こえた可愛い声で、憂鬱な朝の眠りから目覚めた。
「朝飯前だからって、本当に朝飯前にやる必要はないんだぞ?」
「アレハ比喩表現デス。ソレトモ、オ嫌イデシタカ?」
「いや、次も頼む」
キリッと、若干だがキメ顏で言う。
「了解シマシタ。マスターハ、ムッツリスケベト……」
なんか失礼な言葉が聞こえたような気もするけど……うん。気のせいだな。
「きゅっ」
「ふるふるふる」
モモとライムもおはようと挨拶してきた。
「おはよう。じゃあ、朝ご飯食べるか」
「きゅっ!」
「ふるふるふる」
着替えをしてリビングに行く。
そして、いつもの習慣なのかリモコンの電源ボタンを押して、テレビをつけようとしてしまった。
映るわけがないのに……
「えっ? 映ってる?」
テレビがついた。しかし、何か変だ。
映っているのは番組ではなく、この家の周辺だった。
「おぉ、孫。起きたのか。おはよう」
「おはようキーパー。これってキーパーの能力なの?」
「そうじゃ、あと洗濯が終わっているから洗濯機から服を出してくれ」
「あぁ、ありがとう」
キーパー……超便利。
【眷属化】してよかった〜。
教えてくれたフォンにも感謝だなぁ。
後に、建物や道具を【眷属化】する者も出てくるが、それはまだ先の話……。
「それと孫。昨日の夜、地震があった。そんなに強い揺れではなかったが、認識できるレベルじゃったな」
「へぇ〜。全然気づかなかったよ」
地震か……またダンジョンが関係してたりして。
というか、何かあると全部ダンジョンのせいにしてしまう。
これはいけない。
固定観念に囚われてはいけない。
「ふぅー。朝ご飯食べよう」
俺はライムとモモと一緒に、呑気に朝ご飯を食べていた。
まだ停電中だから、今日は学校休みだろう。
この後は、気配を消すスキルでも習得して、警察が封鎖してるダンジョンに行こう。
そこで魔石を大量にゲットして、何としてもあの情報誌を買うのだ!
ここから近いダンジョンは……どこだ?
「フォン。ここから一番近いダンジョンってどこ? 【アプリ】の地図でわかったりする?」
「スミマセン。イッタ場所シカワカリマセン。ドチラカト言ウト『マッピング』ニ近イデス」
「わかった。ありがとう。そう都合良くいかないか……そういえば、貯金があったな。あ、でもATMは使えない。銀行もダメだろうし……どうしようか?」
「マスター。機械ナラワタシノ出番デス」
「そうか! 【ウイルス】か。なら充電器持っていけばそこから【接続】して、あとは【遠隔操作】で何とかなるんだな」
「ハイ。ソノ通リデス」
「そうと決まれば、準備をして出発しよう」
朝ご飯を食べ終わり、必要なスキルの習得をする。
名前:一宮蓮
年齢:17
レベル:5
体力:68/68
魔力:50/50
攻撃力:45
防御力:42
器用さ:47
敏捷性:51
魔攻力:43
魔防力:41
職業:使役者LV5→8
スキル:【眷属化LV8】【眷属伝心】【眷属召喚LV8】【眷属倉庫LV8】【眷属強化LV8】【短剣術LV1】【盾術LV1】【肉体強化LV1】【魔力増量LV1】【魔力回復量増加LV1】【体力増量LV1】【疲労耐性LV1】【精神強化LV1】【異空間倉庫LV1】【隠密LV1】【認識阻害LV1】【気配遮断LV1】【忍び足LV1】【潜伏LV1】
ユニークスキル:【全取得数値倍化】【転移】【神眼】
CP:22→16→9→1
SP:21→16
【隠密】
移動中に気づかれにくくなる。LV上昇で効果アップ。
【認識阻害】
存在が認識されにくくなる。LV上昇で効果アップ。
【気配遮断】
気配を消すことができる。LV上昇で効果アップ。
【忍び足】
足音が小さくなる。LV上昇で効果アップ。
【潜伏】
物陰に隠れると気づかれにくくなる。LV上昇で効果アップ。
《特定の条件を達成しました。【気配隠蔽】のスキルに統一します》
スキル:【眷属化LV8】【眷属伝心】【眷属召喚LV8】【眷属倉庫LV8】【眷属強化LV8】【短剣術LV1】【盾術LV1】【肉体強化LV1】【魔力増量LV1】【魔力回復量増加LV1】【体力増量LV1】【疲労耐性LV1】【精神強化LV2】【異空間倉庫LV1】【気配隠蔽LV2】
「マスター。何ノ犯罪ヲ犯スノデスカ? 覗キデスカ?」
「違うわ! 失礼な! でもそういうことにも使えるのか……たしかに、今なら監視カメラはついてないだろうし、仮についていてもフォンがいればやりたい放題できるよな」
「【眷属化】サレテイテモ、酷ケレバ反抗デキル命令モアリマスヨ」
「そうなのか……でもそうじゃないと、人を【眷属化】した時にやりたい放題だよな」
「グヘヘ。ネェチャンイイモン持ッテルジャネェカ、チョットナライイダロウ? ッテヤツデスネ」
なんだろう……フォンがそれを言っても、全然想像がつかない。
機械音声だからだろうか?
「まぁ……それはいいとして、もしも俺が変な行動に走ったら、みんなで全力で止めてくれよ」
「オ任セクダサイ」
「ふるふるふる」
「きゅっ!」
「コロコロコロ」
「安心しろ孫! もし外道に走ったらワシが正してやる!」
これで、もし俺がおかしくなっても、止めてくれる仲間がいる。
頼もしい……それに、今は前よりも周りが賑やかで少しだけ楽しい。
だから、しっかりしていよう。
《スキル【精神強化】のレベルが上がりました》
SPを使わなくても、スキルのレベルは上がるのか。
このタイミングで上がるなんて……まるで犯罪行為なんてさせませんと言われているみたいだな。
「よし! じゃあ、出発するぞ」
自転車に乗り、ライムは俺の頭、モモは前のカゴ、フォンは俺の胸ポケット、ラメは眷属倉庫に入り、一番近いコンビニ――30分はかかるが――に向かった。
◇
「マスター。ヤハリ、オ金ヲオロスノハ諦メタ方ガイイノデハ?」
「時間帯も関係してるかもしれない。それに、300万近くあったんだぞ! 300万だぞ300万! そう簡単に諦められるか」
コンビニに着いた俺たちは、ATMから10万円ほど下ろす予定だったが、午前中だからか、停電中でもそれなりに人がいるためコンビニで下ろすのは諦めた。
「マスター。モウイッソノコト『ギンコウ』二行ッテハドウデショウ? 確実ニイチ度デ300万手ニ入リマス」
「……わかった。そうしよう。これでダメだったら諦めるか……」
そういうわけで、俺たちは町にある銀行に向かうため、自転車を【異空間倉庫】にしまったあと、【転移】を使って学校に近い駅まできた。
「確か銀行は南口から行けたはず。それにしても、【気配系】のスキルは便利だな。これもパッシブスキルになるから魔力を使わずに、常に発動しているんだよな?」
「ソノトオリデス。今ノマスターノスキルデ魔力ヲ使ウノハ、【眷属強化】クライデス」
「そうか……何か【魔法系】のスキルも取ろうかな?」
人が誰もいない駅で、俺はフォンと呑気に喋りながら銀行を目指していた。
そして、いつもと違うという違和感に気づいたのはこのあとだった。
「あれ?」
「ドウカシマシタカ? マスター」
「ふるふるふる」
「きゅ?」
みんな俺に何かあったのか? と聞いてくる。
「いや、扉のガラスが割れてる。それに……ここの駅ってこんなにボロかったか?」
柱や壁に所々にヒビがあって、漂っている雰囲気もどこか昨日と違う気がする。
「昨日ノ地震デショウカ? マスターハ【神眼】ヲモッテイルノデ分カルカモ知レマセンガ、ワタシタチニハ分カリ辛イデス」
周りをあまり気にして見ていなかった。
【神眼】の効果で普通に見えることも忘れていた。
「ちょっと【神眼】で遠くを見てみる」
俺は駅のエントランスの中央から外を見た。
そして見えた光景は……
「煙り? ここからじゃよく分からない。屋上に行く。フォン。【アプリ】のカメラで撮影してくれ、あとマッピングもよろしく」
「カシコマリマシタ」
俺はフォンに指示を出して、階段を走って登り屋上を目指す。
ドゴンッ!
屋上への扉は鍵がかかっていたので蹴り破った。
町が良く見える位置まで来ると……
「なんだ……これ……」
いたる所から煙が上がり、道路や建物の中を魔物が徘徊していた。
「だ……! ……た……て!」
「きゃぁぁ! こな……」
耳を澄ますと聞こえ辛いが、この町の住人の悲鳴が聞こえてくる。
魔物が出たのはいつからだ?
ダンジョンはどこにある?
そんなことを考えていたがフォンとモモの声で我に返った。
「きゅっ!」
「マスター! ウシロデス!」
……!
後ろを振り向いたと同時に右後ろから斬撃が飛んできた。
「くっ……っ!」
右の二の腕が少しだけ裂け、血が出てきた。
ヒリヒリして痛い。
そして……
《ダメージを受けました。スキル【全取得数値倍化】により、ダメージを倍にします》
「なんだって?」
突如聞こえたアナウンスに耳を疑った。
そういえば、ダンジョンボスのオークと戦った時もギリギリでダメージは受けなかった。
ここに来て初めてダメージを受けた。
体力:68→60
「きゅっ!」
すぐにモモが【回復魔法】をかけてくれたので、傷口と体力は回復した。
攻撃してきたのは、白い毛に尻尾が鎌のようになっているイタチ、俗に言う『カマイタチ』だった。
【神眼】でカマイタチのステータスを見る。
魔物:カマイタチ
レベル:7
体力:40/40
魔力:30/35
攻撃力:60
防御力:20
器用さ:40
敏捷性:55
魔攻力:60
魔防力:20
スキル:【気配察知LV2】【風魔法LV1】【飛斬LV1】【直感】
【気配察知】
パッシブスキル。
自分以外の生き物の気配がわかる。
LV1で範囲10メートル。
レベルアップで10メートルずつアップ。
【風魔法】
魔力を使って風属性の攻撃をする。
LV1は風の玉の打撃攻撃。
【飛斬】
魔力を使って無属性の斬撃を放つ。
距離が遠いとダメージ減。
LV上昇で威力アップ。
【直感】
『なんとなく』が強くなる。
稀に持つ魔物がいる。
このスキルを持っている者には『分身や幻』は通用しない。
俺を見つけられたのは【気配察知】と【直感】か、便利なスキルだな。俺も取ろう。
さっきのは斬撃だから【飛斬】か……。
俺は包丁と鍋のフタを構える。
「戦闘開始だ」
まだ俺たちにはいない純粋な戦闘タイプ。
できれば、このカマイタチを仲間にしたいと思いながら戦うのだった。
※ダメージ計算。42−60=−18。擦り傷なので÷4=4.2
四捨五入の4→倍化で8。
今回、初ダメージという事で作者なりの解釈を書きました。
読んでくださりありがとうございます。
明日も更新します。




