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31話 100点への願いごとー里川未来ー

あらすじを少し変更しました。

近いうちに最初の方を少し編集するかもしれません。

具体的には、蓮がユニークスキルを持ったのが一番のレベルアップボーナスでしたが、それが変わったり、スキルや職業の取得、職業解放条件などを見直したりです。


今回の話は里川未来が中心です。

 

 ある日ある日の小さい頃。

 初めて幼稚園にいった日に、教室で絵本を読んでいた一人の女の子に声をかけた。


「なあ! 一緒に遊ぼう!」


 それからは、一緒に砂場で遊んだり、駆けっこしたり、じゃんけんで物を取り合ってみたり、鬼ごっこのときは協力したり、楽しかった!

 遊ぶことが好きやった。

 だから運動が好きになった。

 幼稚園ではその女の子とずっと一緒に遊んでいた。

 その子は、()()()()()()()()がいるっていってた。

 そのお兄ちゃんとも仲良くなった。

 兄妹(きょうだい)で賢かった。

 腐れ縁っちゅうやつで、小学校も中学校も一緒にいた。


「私が運動できるようになったんは、未来(みく)のおかげやで」


 中学生のときにそう言われた。


「だから、勉強は私が教えたる」


 勉強の苦手なウチにわかりやすく教えてくれた。

 だから高校も同じところに行くことができた。

 凄く、凄く! 嬉しかった!

 また同じ学校で、香澄ちゃんと過ごせる。

 今度からは、食堂で一緒にご飯を食べられる。

 勉強は嫌いやけど、楽しい日々が待ってる!


 でもある日……


「香澄ちゃん。大丈夫か? 悩みがあるなら聞くで?」


 なんか、いつもとどこかが違った。

 いや、違う。

 高校に入ってから少しずつ変わってた。


「ううん。大丈夫よ。それより未来。次のテストは頑張って赤点回避するんやで。未来ならできるから」


 暗いけども、これ以上は何も聞けんかった。


「せやな!」


 だから、代わりに笑顔で返事をした。


 そして、その次の日から、香澄ちゃんは……。


 ウチは……。


 ○○○


 一人の少女がお金を取り出し賽銭箱に投げ入れた。

 静かな境内で銭の軽快な音と手を二回叩く音が聞こえる。

 この後の作戦のために安全祈願として祈りをするのだろう。

 俺もあとでやらせてもらおう。

 神社にきたのは正月以来だ。

 そして、この小さな神社だが、なぜか【眷属化】されている。

 その理由も聞いてみよう。


 柏手を打ったその人物は、目を閉じ、手を顔の前で合わせると、その姿勢のまま静止し口を開く。


「今度こそ……」


 今度こそ奪還できますように?

 あれ? でも、奪還が失敗したことはないはずだよな?

 それならあれか? 犠牲者が出ませんように、とか?

 お祈りをしている少女――里川未来は、そんな優しい願い事を予想していた俺の期待を、全く違う方向に裏切った。


「今度こそ、()()()()()()()()()()()ように!」

「学校ねぇよ!!!」


 思わずツッコミを入れてしまった。

 本来の俺はどちらかといえばボケのほうなんだが……。

 というか里川(こいつ)、テストで赤点取るのかよ。

『あの子の習慣やから』

 まさか……。


「なんや。やっぱりいたんか。作戦成功や!」


 わざとか?

 賭けだったのかもしれないな。

 まさか祈ってたのって賭けに勝てますようにじゃないよな。


「はぁ……」


 ため息をついた俺は勝ち誇ったような顔をしている里川に近づき、頭にチョップをする。


「いたぁ! あんた(じぶん)なにすんのや!」


 頭に手を当ててうずくまる里川。


「なんとなくイラッとしたから」

「しょうもな!」

「その言葉、そのまま返す」


 特に意味のない軽いやりとりをしたあと、里川は「ふぅー」と息を吐いて回廊に座った。

 向こうも話したいことがあるようだ。

 その時、回廊をゆっくりと進みこちらに向かってくるオレンジ色のスライムがいた。

 里川の眷属であるホットスライムだ。


「ポッカ。掃除お疲れさま」


 主人からの労いの言葉に、嬉しそうにぴょんぴょんと跳ねている。


 名前:ポッカ レベル82

 種族:魔物キングスライム

 スキル:【捕食LV10】【熱溶解LV10】【打撃耐性LV10】【触手LV10】【擬態】【火魔法LV8】【サイズ変更】


「ライム。遊んできていいぞ」

「ふるふる」


 ライムを召喚してやると、二匹でぴょんぴょん跳ねながら移動していった。


「青空に聞いてここにきた。ここにくるのは習慣だと聞いてな」

「しにがみはん、香澄ちゃんに会うてきたんか。そういえば、香澄ちゃんは一番やったで、彩香ちゃんも意外と大きいんやな。ウチとシャーロットちゃんで競ったけど負けたわ」


 ……ん? 何の話だ? 身長か?


「……そうか。まぁ頑張れ。高校から伸びる人もいるらしいからな」←身長

「せやな。諦めずに伸ばすわ」←胸の数値


 なんか話がズレた。


「習慣って聞いたんだが、もしかしてテストで悪い点数取るたびにお参りにきてたのか?」


 話を戻す。


「そんなわけないやろ。良い点取るには神さまに願い事するより勉強した方が正解やろ」


 まぁ、そうだな。


「せいぜい赤点回避させてくれって願うくらいや」

「うん」


 ……ん?

 あれ? 良い点数を取るのは神さま頼みじゃなくて自力で勉強することなんだろ?

 赤点って神さまにお願いすれば回避できるのか?

 里川の通っていた学校の基準が高いとか?

 あれ? 赤点って良い点数だっけ?

 良い点数を回避するために神さまに願い事をするのか?

 やばい……変に混乱した。

 とりあえず共通する解答をしておこう。


「勉強しろ」

「もう学校はないんやでぇ」


 じゃあ、なんであんな願い事をしたんだよ。


 まぁいい、本題に入ろう。


「直前会議は何時からやるんだ?」


 俺の言葉にスマホを取り出して時間を確認した里川。


「いま9時前か……じゃあ10時からで」


 そう言い終わったあと、一枚の紙を取り出した。

 里川が話したかったことはこのことか?


「思い出やねん、これ。ダンジョンが出現する前の金曜日にやった小テストや」


 どこか、懐かしむ表情。

 広げられた小テストは数学らしく。

 右上には大きな数字で11と赤字で書かれていた。

 何点満点なのか知らないが、バツばかりのところをみると、あまり点は取れていないようだ。


「もう一度受けたいのか?」

「う〜ん………………受けたい、かも」


 かなり悩んだあと出した答えはやっぱりというか何というか、予想していた通りだった。

 でもこいつって……


「勉強、嫌いなのにか?」

「違うんや」


 否定し……


「違うんや。勉強嫌いやけど、学校は嫌いじゃなかったんよ」


 俺はどうだっただろうか?

 ……特に何も思ってなかったな。

 あーでも、毎日一時間以上の登下校は面倒くさいなと思ったな。


「なんというか……香澄ちゃんと、学校行きたいねん」


 少し照れながら言う里川。

 あいつとか……。


「香澄ちゃんはすごいねん。テストはいつも一番。教えるのも上手くて運動もできる。それで容姿もスタイルも良い」


 まぁ、あいつがハイスペックなのは認めよう。

 一歩間違えれば自分が木っ端微塵になる作戦にも、怖じけずに実行する度胸もある。


「一部からはモテすぎて反感も買ってたんやで」


 それにはコメントし辛い。


「小中といつも一緒にいて、高校も同じところで嬉しかったんやけど……」

「ダンジョンができたから高校も無くなったとか?」

「いや、ダンジョンは関係ないよ。むしろ、ちょっと感謝してるな」


 ……話が読めないが、感謝してるってことは高校生になってから、青空に何かあったのか。


「それはな」――ピロロロロ! ピロロロロ!


 “それは何でだ?”と聞こうとしたら、里川の携帯が鳴った。

 画面に表示された名前は『青空香澄』。


「あっ香澄ちゃんや。噂をすればっちゅうやつやな〜。もしもし香澄ちゃん! なんかあったん?」


 通話の内容は、【聴覚強化】をもっている俺にも聞こえない。

 まだ喋っていないようだ。


『……おぼえときぃ』――ツー、ツー。

「し、しにがみはん。香澄ちゃんに何したん?」


 ぷるぷると産まれたての子鹿のように震えながら、里川が俺に問う。


「……俺じゃないかもしれないぞ。里川が服を裏に脱いだから、それの後片付けで怒っているのかもしれない」


 100%苦し紛れの嘘だが言ってみる。

 高校生にもなって、服を裏に、雑に脱ぎ捨てるやつはいな……い……


「あ……あぁ……」


 顔を青ざめてガクガクと震え出す里川。

 お前はいったい、普段からどんな生活を送っているんだよ。


 俺は静かに回廊を立って賽銭箱の前にいきお金を投げ入れる。

 パンパン!


青空(保護者)さんの気が少しでも休まりますように)


 いつでも優しい俺は、誰かのためを思い祈願する。


「しにがみはん……ウチのためにありがとう!」


 俺は無言で里川の肩をポンポンと叩いてやる。

 里川の表情を見るに“気にするなよ”とか思ってそうだな。

 実際は違うんだが……。


「うん。とりあえず、時間が近いから帰ろうか」


 スマホの時間をみると結構長く喋っていたようだ。


「せやな!」


 良い笑顔で良い返事をする。

 距離もそんなに離れていないので、転移ではなく歩いて帰ることにした。



「あー、しにがみはん」


 少し歩き出すと里川が喋り出した。


「なんだ?」

「昨日の午前中、初めて会った時にあんたが言うたことやけど」


 あぁ、あのことか……。


「最初は何言ってんのやろ? こいつアホちゃうか?って思っとった。二重の意味で……」


 酷い言われようだな。

 たしかにこんな時に「京都に観光客を案内してくれ」と言った俺もどうかと思ったが……。


「でも、乗るで……。あんたの提案(ワガママ)、ウチもやる!」


 拳を前に出してくる里川。


里川(こいつ)も、俺と同じ。いや、本当はみんな同じなんだ)


 俺も拳を前に出す。


「そうか。それじゃあ、改めてよろしくな!」


 真の同盟の結成だ。


「礼は、全部終わってから言う」

「お互いさまやな」


 俺と里川は再び歩き出す。


「そうだ。お前、なんでここを眷属化してるの?」

「よく来るから」

「それだけ?」

「充分な理由やろ。それに……」


 少し間をあけて……


「ここは、ウチの始まりやねん」

「そうか」


 それは、充分すぎる理由だな。


 ○○○


 しにがみ――蓮と並びながら拠点である城に戻る里川は、昨日のことを思い出していた。


「はぁ〜」

「大丈夫か? 嬢ちゃん」


 部屋でいきなりため息を吐いたウチを心配して竹中はんが声をかけてくれた。

 竹中文雄はんは肩幅がごっつ広くて体育系のおっさんや。

 グラサンかけたら怖そうやな。

 そんでウチのことを嬢ちゃんと呼ぶ。

 香澄ちゃんは普通やのに……。


「いやな。だいぶ余裕は出てきたけど、やっぱり被害はでるんやねと思ってな」

「まぁ(いくさ)をしている以上。死は付き物やで」

「それはわかっとるけど、こう……なんかモヤモヤするねん!」


 ダンジョンができて魔物が溢れてから、ウチも香澄ちゃんも、竹中はんも、ここにいてくれているみんなも、よくやってる。

 でも、やっぱり犠牲者はでる。

 腕をなくした者、足をなくした者、目を斬られた者、命を落とした者。


「結構頑張ってるんやけどな……勇者の、結城誠の余裕ができたは嘘やな」

「でも、勇者――結城誠の存在は注目された。それも世界に……そしてユニークスキルの存在もな」


 まぁ、いつかはバレるんや。

 問い詰められた時、素直に「はい」と答えられるかわからんかったし、それは感謝やな。

 でも、それで色んなデマがデマ回るとはなぁ。

 デマだけに予想はできたけど、発信したやつはわかってるんやろか?

 掲示板に本名がっつり載ってること……。


「自分が手に入れることができても、今度狙われるのは自分なのになぁ」

「面白半分と人を混乱させるのが好きっちゅうヤツやろな」

「ほんまいい迷惑や……」


 得するのは狂人だけやないか……。


「嬢ちゃん。毎度言うてるが、あまり気にしないことや。もたんで……」

「ありがとう竹中はん。でも頑張らんとな」


 ウチはここのリーダーや。

 まぁ、指示とかはほとんど竹中はんに任せてるけど、でもウチにしかできないこともある。

 だから、やるんや。


「それは、何に対してや?」


 何に対してか……安定? 復興?


「もう少し、自分に優しくなってみるんやな」


 …………。

 考えなくても、ほんまはわかってること。


『うわー!』


 その時、拠点で城の『月鷲(つきわし)』が、こっちもびっくりする悲鳴をあげた。


「なんやどないした!」

『未来はん。空から人が降ってきた! 敵しゅ――あっ、敵じゃなかったわ。なんか未来はんと同じ人みたいやで』


 ウチと同じ――ユニークスキル持ち!


「よ、用件は? なんて言ってんねん!」

『未来はんに――あっ!!』

「ウチになんや!」


 さっさと話さんかい!


『み、未来はん。どないしよう。まずい、まずいで』

「何がや!」

『それが、香澄はんが、あれをしてたのを見られて怒っていってしもうた』


 はあっ!?

 どうゆう意味やねん!

 全くわからんわ!

 あれって何!?

 香澄ちゃん何してたん!?


「二人とも落ち着きぃや。月鷲、一から説明してくれや」

『わかった。まず空から“しにがみ”いうモンがきて未来はんに面会を要求してきたんや』


 しにがみ……?

 確か、結城誠が掲示板でいってたユニークスキル持ちが、しにがみのような格好をした人っていうてたな。


「ふむ。それで……」

『それで【気配隠蔽】のスキルを――ああっ!』


 今度はなにぃ……。


「どうした?」

『香澄はんが攻撃した』

「「え?」」


 竹中はんと声が揃った。

 にしても香澄ちゃんが攻撃するって、そのしにがみはんとやらは何やらかしたんやろか。


「とりあえず観にいくで! 月鷲はん、ウチのスマホに事情を話して!」

『わかったで!』


 急いで部屋を飛び出す。


「それでどういうことや?」

『あの“しにがみ”いうモンが【気配隠蔽】のスキルを解いたんや』


 それは敵対する意思はないという証明やな。


『それでキョロキョロと見渡したんや』


 うん、まぁ、初めてくるところやとだいたいそうやな。


『それで、更衣室で着替え中の香澄はんと窓越しに目が合ったらしいんや』


 あー……。

 言葉がみつからなくて、とりあえず外に出て観戦する。

 屋根での戦闘は瓦を踏む音もあって、かなり目立っていた。


「あっ、隊長。副隊長、大丈夫やろか?」

「まぁ心配ないやろ。とりあえずステータス確認や……は? なんやこれ」


 ステータスはウチと同じくらいや。

 いや、ウチと同じであんな簡単に香澄ちゃんの剣技躱せん。

 偽装やな。

 そして一番意味分からんのがユニークスキルや。

 なんや【言えません】ってどんな効果やねん。


 ボウンッ!!


「うわー! 爆発した!」

「青空はん本気でやりおった!」


 周りの人たちが騒ぎ出した。


「上や!」


 聞こえるように大声で言う。

 でも、みんなはどこにいるかわからんみたいで探しとる。

 無理もない。

 影なかったし、【気配隠蔽】で認識をなくしてるからな。


(ん? なんやあの黒い粉。あっ香澄ちゃんにかかった)


 ――って……


「香澄ちゃん!」


 力が抜けたようにゴロゴロと屋根を転がり落ちる香澄ちゃん。

 まぁでも、そんなに心配することはなく、しにがみはんがキャッチした。

 ふぅー。助かるとわかっていても、肝冷やすな。

 とりあえず声かけるか……。


「おーい! 香澄ちゃーん! 無事ー?」


 手を振りながら二人のところまでいく。

 後ろからは救急隊の人たちが担架をもってきていた。


「途中から観とったけど、おもしろかったでぇ」


 ユニークスキルは何かわからんけど戦闘力はかなり高いねんな。

 たぶんウチも勝てんわ。


「初めまして。『しにがみ』と呼んでくれ。仮面をつけているのはこういう性格だから、気にしないでくれ」


 趣味の悪そうな仮面やな。夢に出てきたら最悪や。

 ウチの第一印象はそれやった。

 しにがみはんは自己紹介のあと香澄ちゃんを担架に乗せた。

 香澄ちゃんのあんな悔しそうな顔、初めて見たかも。

 あっ、とりあえずウチも自己紹介や。


「初めましてやね。里川未来や! 事情はわかってるから安心せぇや。よろしゅうな、しにがみはん!」


 そのあとは場所を移動してさっきまでいた部屋にいく。


「そんで? ウチに何か用があるんやろ?」


 まぁ大かた同盟や会合についてやろうけど、でもこれで向こうの拠点とこことで楽に行き来ができるな。


「あぁ、簡単に言うと、京都に観光客を案内してくれ」

「無理や」


 即答してやったわ。

 何や観光客って、アンデッドと魔物の紹介をすればいいんか?

 頭おかしいんとちゃうん。

 京都は凄いことになってんで。

 それに……


「あんたユニークスキル持ちやろ。観光してる場合やないやろ」

「すまん。省きすぎた。海外から来た観光客を京都に案内してくれ」

「はあ?」


 海外から来た観光客?

 そういえば、一週間ほど前に日本に来るって書いてた子いたな。


「もちろんタダじゃない」


 そう言ってしにがみはんは布の袋を差し出してきた。


「これ。依頼金。しばらく世話になるだろうからかなり奮発した。ダメか?」


 なるほど読めたわ。

 要するに、観光させるために京都奪還を手伝ってくれいうことか。

 ……ふむ。どうせ全部取り返そう思うてたんや。


「いいで! こっちにもメリットがありそうやし、報せはだしておくから、今日の夜からきてええよ! なぁ竹中はん!」

「うん。問題ない」

「そうですか。あの、竹中さんて……」

「あぁ、いやへんよ。全く違うで」

「……そうですか」


 あっウチと同じこと聞いとる。


「それじゃあ、俺は戻るよ。説明しないといけないしな」

「うん。ほなまたな!」


 帰りの挨拶をしたのになぜかしにがみはんは帰ろうとせず、何か考えていた。


「なあ里川」

「なに?」

「これは同盟とは全く関係ないんだが……」

「うん」

「お前の願いってなに?」


 ウチの願い……?


「それを聞いてどうすんの?」


 純粋な疑問やった。

 言って叶うわけでもない願いごと。


「ただの、俺の提案(ワガママ)なんだが、ちょっと文句言うついでに、あの女に願いごと。叶えてもらおうと思ってな」


 あの女って誰のことや?


「あぁ、見ていないのならいい。でも、叶えられるとしたら……だから、俺のワガママに乗ってみないか?」


 叶えたいことか……。


「返事は生きてる間ならいつでもいい。考えておいてくれ。それじゃあ」


 そう言い残してしにがみはんは転移した(消えた)

 願いごと………………。


「お嬢ちゃん」


 静かに話を聞いていた竹中はんが、ウチを呼ぶ。


「お嬢ちゃんにしかできないことも確かにある。でも、もう少し楽してもええ。あの時自分がここにきたのも、ここで命、終わろうと思ってたからや」


 …………。


「でも嬢ちゃんに救われた。そして香澄はんも、他の連中も。余計なことは、自分らに任せたらええねん。それとも、自分らじゃ不満か?」

「そんなことないよ」


 首を横に振って否定する。


「それならやりなさい。自分のために、わしらのために、嬢ちゃんの願いごと。どんなんかわからんけど、叶えさせてきなさい」

「ウチに……できるかな?」

「できるやろ。嬢ちゃんはその力を持ってる。それとも自分にしかできんこと、投げ出すんか?」


 ――そうや。


「らしくないで。それとも嬢ちゃんは、香澄はんの説教が――「それは絶対いやや!」――ほんなら」


 やってやるわ!

 確かにこのままやと、うじうじしてんなって香澄ちゃんに怒られてまう。


「竹中はん! 面倒なことは全部任せるわ! ウチはこれから本気出す!」

「うん。そのいきや」


 あいつのワガママに乗ってやる!

 そんでウチの願いも叶えてもらおう!


「ウチの願いは……」



いつも読んでくださりありがとうございます。


最初はこの物語がここまで読まれるとは思っていませんでしたが、感想やレビュー、評価もいただきPV・UAも励みになり……

少しどころか結構真剣にストーリーとか言い回しとかを考えてしまっています。

リアルの都合やいいストーリーが思い付かないといった理由で、更新頻度は少ないですが、尾北ルイなりに頑張ります。


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