表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/41

23話 闘志

春野弥生視点となっております。

よろしくお願いします。

 

「第三部隊。準備はいいね! じゃあ、行くよ!」


 今回の作戦の第三部隊の隊長、朝倉玲奈(れいな)さんが、私たち第三部隊の隊員に、不敵な笑みを浮かべながら、やる気に満ちた声で突入の合図を出した。


 近接戦闘の人たち10人が前に出て進む。この部隊には30人いる。全員女性で構成されていて、残りの20人が職業【魔法使い】を選択している。


 そして、私と玲奈さんはしにがみ(あいつ)に【眷属化】されている。

 数分前に、レベルが大幅に上がって第ニ職業に【使役者】を選択した。

 ステータスも大幅に上がって、スキルも魔法を中心にいくつか習得した。


「ストップ」


 若干のバラつきはあるけど、全員玲奈さんの指示で動きを止める。


「【気配察知】に反応があった。この先に敵がいる」


 静かな声量でそう言い、建物の陰から顔を少し出して先を見た。


「敵はゴブリンだね。確認できる数は……20。いちおう、倍の40とおもっていて。それじゃあ、作戦通りに魔法組はグループになって魔法と矢が当たる位置に待機。近接組はアタシときな」


 私は【魔法使い】で弓矢を装備してるから、なるべく高いところに向かう。

 あまり高いところに行くと、魔法と矢が当たらなくて、建物も倒壊の危険があるからそんなに高いところにはいかない。


「あそこにある物。ちょうど良さそうな感じね」


 見つけたのは横転したトラック。踏み台代わりになりそうな物もある。

 他の3人も連れて、まずは物の陰に潜む。

 ここからなら、敵の攻撃は届かないだろうし、壊れる危険もなさそう。【気配察知】は私も習得しているので奇襲の心配はない。

 あと少しで玲奈さんたち近接の人たちが、魔物を引きつけてくる。



 ――『闘えるか?』――



 思い出したのは、しにがみ(あいつ)に言われたその言葉。


「ふふふ。やってやろうじゃない」


 もう覚悟は決めた。何があっても諦めない……。経験を積んで、絶対に強くなってやる。



 ――出撃前、ショッピングモール(ホープ)にて――


『以上のメンバーで救出作戦を決行する。なお、これからのことも踏まえて10歳以上の子供を参加させている。()()()()()は、この後3階西側の部屋まで来るように……以上』


 何かある者は……ね……あるわ!

 なんで鉄たちがメンバーに入ってて、私だけ入ってないのよ!


「鉄。私、ちょっと行ってくるわ」

「お、おう。あ〜一緒に行くぞ。な?」

「えっ? あっ、はいっす!」


 あれ? 私、怒った表情じゃなかったよね? 笑顔だったよね?



「3階西側の部屋……ここね。――バン!――ちょっと! 救出メンバーに私が入ってないって、どういうことよ!」


 勢いよくドアを開け中に入ると、仮面をつけた男がいた。


(こいつが『しにがみ』。私たちのリーダー……いや、それよりも……)


 目につくのはやはり、うさぎのような仮面。


(なんで目の穴から瞳が見えないんだろう? というか、もっと可愛くできなかったの?)


 そんなことを思っていると――ニヤ――


「ひゃぁっ!」


 か……仮面が、笑った……?


「ねぇ! あんたたち、い……いまの、見たよね? 仮面が……笑って」


 後ろにいる鉄たちに確認が……


「いや、弥生。さすがに仮面は、表情を変えないだろう?(笑った(動いた)。たしかに動いたが、言わぬがなんとかってやつだな)」

「そうっすよ弥生さん。見間違いっすよ。(鉄さんが言わないなら、俺からは何も言わなくていいや)」


 気のせい……なの……?


「……モ。い…………はダ……ボソボソ」


(ひ……1人で、喋ってる……鳥肌が〜)


 私は腕を組んで擦っていた。


「(わざわざ3人で来たのか……)春野弥生以外、部屋から出てくれないか? 彼女と話がある」


(はぁ⁉︎ えっ⁉︎ こいつと二人? 鉄……えっ‼︎ もういない!)


「用件は救出メンバーのことか?」


 しにがみは、戸惑う私にそう聞いてきた。


「そ、そうよ。私も行くわ! どうして私は入ってないのよ!」

「(やっぱり先に言っておくか。どうせあとで分かることだしな……)春野弥生。お前は【キーパーソン】つまり、『鍵となる人間』という状態になっている。発動するのは、次の魔物行進(モンスターパレード)開始時刻の1時間前だ。どんな効果なのか分からない」


 キーパーソン?

 でもステータス画面には何も書いてなかったけど……


「……確認するぞ」

「確認? 何の?」

「どんなことになっても……闘えるか?」


 その言葉が、とても重く聞こえた。

 次の魔物行進。100%、私が狙われる。だから私を救出メンバーから外したんだ……何かあったら、どうなるか分からないから……でも……


「闘える」


 というより、選択肢がそれしかないじゃない。それに、私も結構負けず嫌い。何もしないなんて、私じゃない!


(やってやろうじゃない。かかってきなさいよ)


「そっかそっか。それは良かった〜。お前の所属部隊は、朝倉玲奈さん率いる第三部隊だ。頑張ってくれていいが、動けなくなるほどの無理はするなよ?」

「………………」


 あまりにも軽い返事に、私は何も言えなくなった。

 普通、こういう時って「何かあれば言え。助けになる」っていうセリフが出てくるんじゃない?


 もしかして、最初から私が文句を言いに来るのを予想してて、元から第三部隊に入れるつもりだったとか? 


「それじゃあ、【眷属化】するぞ」

「……なんで?」

「色々と便利だから。おい……腕を組んで体を横にするな。別に変なことは命令しない」



 ○


 ――きた!――


「みんな、【気配察知】に反応があった。5秒後に攻撃する」


 私の言葉に頷く3人。

 私も弓矢を構える。

 弓矢は素人だけど、SPを使って【弓術】を取ったから扱いには困らないはず。


「カウント4……3……2……1……攻撃!」

「「ファイアボール」」――ピュンピュン――


 私と一人が矢を放ち、残りの二人が魔法を使って攻撃する。


 私の放った矢はゴブリンの肩に刺さった。


「ふっ!」――シャリン――ゴト――


 朝倉玲奈さんが、すぐにそのゴブリンに剣を振って首を落とす。その後も、玲奈さんはダメージを負ったゴブリンを中心に、どんどん倒していく。

 私も矢と魔法を交互に撃っていく。


「ファイアカッター……よし!」


【火魔法】のファイアカッターでゴブリンの首を狙い倒す。


 近接戦闘をしている人たちが、武器で攻撃を受け止めている隙に、私たち魔法部隊は魔法使いのスキル【魔法操作】で視覚から魔法を当てる。

 逆に、魔法で攻撃している間に、態勢を整えた近接部隊が武器で攻撃する。

 型にハマればこっちのもの。


「よし。とりあえず、1回目の戦闘は無事に終えたね。武器が使い物にならなくなった人と遠距離武器の人は、ゴブリンの持っていた武器を使ってくれ。ちょっと休憩したら先に進むよ」


 矢の本数はあと4本。元々そんなに数は多くなかった。

 私は近くに落ちていた槍を手にとって隊列に並び進軍する。


 ――ピキーン――


 何か【気配察知】にかかった。

 玲奈さんが合図を出して、全員息を潜める。


「またゴブリンだ。数はさっきと同じくらい、だけど……奥に大剣を持ったデカイ奴がいる。作戦はさっきと同じでいくよ。『こちら朝倉玲奈。大剣を持ったデカイゴブリンが率いる集団と戦闘を開始する』。いちおう連絡は入れたから、無理そうなら引いて応援が来しだい撃破ね。全員深追いはしないこと。それじゃあ近接部隊、いくよ!」


 近接部隊の人たちが行き、私たち魔法部隊も素早く配置につく。


 全員、今までにないくらい緊張してる。でも、目がすごくギラギラしてる……私も同じだ。

 視覚、聴覚、感覚が鋭くなってるのが分かる……ここを乗り越えれば成長できる。

 それが、ここにいる人たち全員が思っていること……。



「カウント5秒前、4……3……2……1……攻撃!」


 ここを乗り越えれば病院まで、あと少し……!




読んでくださりありがとうございます。

前話『ケンカ』の後半を少し編集しました。


『田口鉄』を戦闘狂っぽくしました。


次回の更新は25日です。


あと4話で一区切りです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ