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20話奮い立て

月野明梨ちゃん視点となっています。


感想に通常オークがボスのクリア報酬に神の名の付くスキルはやりすぎな感じがする。

との意見をもらいましたので、作者なりに考えて、第2話を改稿しました。

まだ読んでいない人は読んでみてください。


 

「あ! 汐田先生。ここに来てたんですね。いつから居たんですか? ここ、それなりに人が多いので知ってる人を全員見つけるのは大変なんですよ」

 私は担任の汐田先生を通路で見つけ、声をかけた。

「おはよう月野。さっきここに来たんだ。服飾店の掲示板を見てな。あの店は凄いな。別の店もあるようだから行ってみたいな」

 ……大人になると表情って変わり難くなるのかな?

 それとも先生がそういう性格なの?

「そうですね……。先生、まだ泊まるテナント(部屋)が決まってないなら、私のところに来ませんか? 高校生の女子が集まってるところなんですけど、大人の女性たちが集まってるところもありますが……」

 もちろん、男女で住む区画は分けている。

 何かあれば、ホープさんが直接名指しして吊るし上げることになっているので、忍び込もうとする男はまずいない。

【眷属化】された建物の中では、隠密行動はほぼ不可能とされている。

 と聞かされた。本当のところは分からないが……。

「わかった。そこにお邪魔しよう」


 先生を連れて部屋に行くと、先生は「ジャージに着替える」と言って、カーテンを囲んだだけの着替え室に入った。

 そして先生が出てきた瞬間……私は現実を思い知らされた。


 ――ボイーン――


 今の私の目は光があるだろうか?

 ジャージってそんな風に膨らんだっけ?

 Mサイズのジャージなのかな?

 別に私の胸が小さいわけじゃなくて、先生の胸が大きいだけなんだよね?


「あの……先生。そのジャージ、小さくないですか? 一応ここにも大きいジャージはありますよ?」

「いや、一番大きなサイズの物を買ったんだ。胸の部分がきついからな」


 ――グサッ――


 胸の部分がきついからな……胸の部分がきついからな……胸の部分がきついからな。


「やはり、こういったことを話すのは女子がいいな。さすがに男子に自分の身体のことについては、話せないからな……どうした月野?」

「いえ、なんでもありません」

 先生、女子同士でもきつい話ってあるんですよ……。

「明梨。妹、連れてきたよ。迷子になってた。……あれ? 汐田先生。おはようございます」

 私の後ろから彩香ちゃんが来ました。

 6歳の妹が迷子になっていたようです。

 弟の年齢は11歳です。

 名倉さんの部下だったという女性から聞いた話によると、10歳の男の子が魔物を撃退したようです。

 それからユニークスキルというものがあるのだとか……私も、守りたいものがあるのでいつか欲しいです。

「ありがとう彩香ちゃん。『ひかり』お礼を言ってね」

「ありがとーございます」

 ひかりは頭をぺこりと下げます。

 私の妹は何をしても可愛いのです。

「そういえば、どうしてひかりは迷子になってたの?」

「読書の本とりに行きたかった」

 どうやら本屋に行こうとして迷子になったようです。

「それじゃあ、本屋さんに行こうか」

「私も行くぞ」

「あっ、じゃあ私も行く。無事な漫画もあるだろうし、なんか暇なんだよねー。ダンジョン攻略っていつからやるんだろう?」

 そういえば、ダンジョン攻略(そんな)話もあったんですよね。

 何人かでパーティーを組んでダンジョン攻略と資金の確保をしたり、攻略できそうにない人たちは【内職者】や【働き者】の職業を選んでサポートをするという話もありました。

 ちなみに、私は彩香ちゃんと弟とパーティーを組むつもりです。

 弟にはやめてと言ったのですが、聞いてくれないのです。

 私と弟は職業を【冒険者】にしました。

 彩香ちゃんは【魔法使い】です。

 そして貴重なSPですが、最初は【肉体強化】に使ってくれということで、【肉体強化】に使いました。


「今日の午後からかな? ここのダンジョン、結構大きいから最初はレベルの高い人たちで行くかもね。そういえば、彩香ちゃんと先生ってレベルいくつなの? 私は1だけど……」

「私は6だよ。後方から魔法バンバン撃ってやったら、経験値がそれなりに入ったんだよねー。あと4回レベルが上がれば第2職業が解放されて、何にしようか考え中」

「へぇ〜。先生はいくつなんですか?」


 この時、汐田澪はとても困っていた。

 職業が【内職者】である自分が、レベル37というのはおかしいのではないかと……。

 しかし、生徒に対して嘘はつきたくない。

 出した結論は……


「実はある人に【眷属化】されたままでな。レベルが37あるんだ。秘密で頼む」


 一宮蓮のことを秘密にしたまま話す、ということにした。


「さん……じゅう……」

 言葉が出なかった。

 というか、ある人って絶対『しにがみ』さんだよね。

 あれ?

 てことは先生、『しにがみ』さんの正体知ってるってこと!

 ん? でもずっと仮面をつけたままなら知らないよね? 頭の中が混乱してきた〜。

「とりあえず、わかりました」

 結局、そういう返事しかできなかった。



 本屋に辿り着いた私たちは、読めそうな本を探した。

 そして私たち以外にも本を探している人たちがいた。

 どうやら、みんな考えることは同じらしい。

 朝食を食べ終わった今は自由時間だから暇なのだ。

「あっ、明梨。トランプ見つけた。あとでやろう」

「うん」

 実はここの本屋、文房具やちょっとした遊び道具も売っていた。

 肝心の本は切り裂かれたり破られた状態で床に散乱しているのだ。

 食料品が酷かったのはもちろん。

 服なども結構酷くやられていた。

 無事だったのは電化製品や料理器具、おもちゃ、スポーツ道具などだ。

「お姉ちゃん。この本見つけた。読める?」



 そう言って妹が持ってきたのは『()()』と『()使()』のことが書かれた厚い本だった。



「うーん。ひかりにはちょっと難しいかな? でも読みたかったら読んであげるね。あっそうだ。ひかり、勉強の本ないか探そう?」

「うん!」

 書くものは無事だし、紙は破れてても使える。

 こんなことが起きなければ、来年は小学一年生だったんだけどね。


『あー、あー。今から名前を呼ばれた者は3階西側の空き部屋までくるように、………………以上だ』


 放送が聞こえた。呼ばれた人たちは、みんなリーダーシップのありそうな人たちだった。

「今の放送ってしにがみさんだよね? とうとうダンジョン攻略に向けて動くのかな?」

 彩香ちゃんがそんなことを言ってきた。

「たぶん違うぞ」

 先生は彩香ちゃんの意見を否定している。

「何か知っているんですか?」

「服飾店に行った時、掲示板を見てな。隣の地域にある内藤病院に、80人が籠城しているらしく依頼ボードに救助要請が書き込まれていた」


 内藤病院……そこって、お母さんが勤めている所だ。

 それじゃあ、今から救出に行くってこと?

 私も行きたい!


「じゃあ、さっきの放送は作戦のために招集されたってこと? 今度はこっちから攻撃を仕掛けるんだね! 色々とやられた分、何倍にもして返してやる!」

 彩香ちゃんが、燃えてる……。

「落ち着いて彩香ちゃん。私も行きたいけど、まだそうと決まったわけじゃないから」

「うん。そうだね。でも気になる〜」



 ――十分後――


『みんな聞いてくれ。今から重要な話をする』


 きた!


『隣の地域にある内藤病院にいる人から救助要請が依頼ボードに書かれた。色々と聞きたいこと、知りたいことがあるかもしれないが、今は簡単に、これだけ言う……』


 ここにいる全員が、誰も喋らずに放送に耳を傾けている。

 聞きたいこと、知りたいこと、何でこんなことになってしまったのかと、ずっと思っている。

 寂しさ、苦しさ、モヤモヤとした感情もある。


 でも……


『救出に向かうぞ!』


 見捨てられるわけがない。

 ここにいる人たちは、生きたいと願った人たちだ。


『救出のメンバー、第一陣を発表する。第一陣は魔物討伐隊だ。三方向から攻める。左翼、第1部隊。リーダーは『中村樹也』メンバーは、…………月野明梨、月野翔太、島田彩香、…………以上30名』


「明梨!」

「うん!」


――ドクン、ドクン――


鼓動が速くなってる。

鳥肌が立っている。

それなのに、恐怖と不安は感じてない。

この作戦は絶対に成功する。



私も、闘える。




読んでくださりありがとうございます。

次回の更新は7日の金曜日です。

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