13話 人間だよね?
いつもこの作品を楽しみにしてくださりありがとうございます。
朝5時。
全てのやるべき事を終え、キーパーの家に帰宅した。
「ただいま〜」
寝ているであろう先生が起きないようにそっと玄関のドアを開ける。
リビングに行くと先生はソファで寝ていた。
俺は自分の部屋に行き、ショッピングモールの電化製品屋で手に入れた小型スピーカーをセットした。
「キーパー。これでこの部屋でも会話できる?」
「おぉ、できるぞ。……朝帰りなのにあまり疲れてなさそうじゃの?」
「うん……たぶんスキルが関係してると思うんだ。とりあえず、数時間寝させてくれ。何かあったら教えてくれ」
俺はキーパーにそう言ってベッドに寝転ぶ。
「数時間デヨロシイノデスカ?」
今度はフォンがそう言ってきた。
「うん。たぶん大丈夫。2時間も寝れば全回復するかもしれない」
俺のユニークスキル【全取得数値倍化】と【働き者】のスキル【超回復】があるからだと思うが……。
「マスターッテ人間デスカ?」
不意にそんな質問がきた。
寝ずに一晩、あれだれ働いたのにあまり疲れていない。
「…………ステータスオープン」
名前:一宮蓮
年齢:17
レベル:14→76
体力:126/126→374
魔力:110/110→358
攻撃力:179→487
防御力:182→490
器用さ:185→493
敏捷性:195→503
魔攻力:193→501
魔防力:177→485
第1職業:纏い者LV10(固定)
第2職業:(選択)
第3職業:(選択)
第4職業:(選択)
第5職業:(選択)
職業スキル:【使役者スキルLV10】【働き者スキルLV10】【纏い者スキルLV10】【医者スキル】
【統括者スキル】【冒険者LV10】【魔法使いLV10】【内職者LV1】【建築家】【生物学者】【技術者】【養殖者】【農家】【教師】【将軍LV1】【陰陽師LV1】【魔法戦士LV1】
術スキル:【短剣術LV1】【盾術LV1】【体術LV10】【鎌術LV10】【回避術LV3】
魔法スキル:【火魔法LV5】【異空間倉庫改LV1→5up】【スリープLV5】【回復魔法LV5】
パッシブスキル:【肉体強化LV8】【魔力増量LV1】【魔力回復量増加LV1】【体力増量LV1】【全状態異常耐性LV7】【精神強化LV8】【気配隠蔽LV10】【気配察知LV10】【スタミナ回復速度上昇LV7】【魔力回復速度上昇LV6】【スタミナ強化LV8】【体力回復速度上昇LV3】【臭香制御LV5】【聴力強化LV5】【高速思考LV5】【並列思考LV5】
ユニークスキル:【全取得数値倍化】【転移】【神眼】
CP:7→131+84+20(パレード報酬)→235→221
SP:6→130+84+20→234→210
『パレード報酬』
倒した数÷10が報酬。
蓮は425倒したので42の報酬。
パレードボスはCP、SP共に10プラス。
「随分とレベルが上がったな。他の人たちはレベル0〜5くらいだろう」
一晩でかなりのレベルが上がり、職業も多く獲得できた。
どうやら専門的な職業はいくらでも取れるみたいだ。
逆に【冒険者】【魔法使い】【使役者】などの戦闘職業は一度取った進化先からは戻れないみたいだ。
それから、職業は条件が満たされると解放されるらしい。
【教師】【将軍】【陰陽師】【魔法戦士】が取れた。
そして問題の種族だが……
「大丈夫。たとえ、高層ビルの屋上から音もなく地面に着地しても、ステータスに書いてなければ人族だ!」
「……マスター……寝マショウ」
「……そうだな。急に疲れてきたよ。おやすみ〜」
本当に疲れを感じてきた俺は、目を閉じて休むことにした。
数時間後――
「マスター。ホープカラ連絡ガ入リマシタ。ドウヤラ、子供タチガオ腹ガ空イタト騒イデイルヨウデス」
「食料のこと、忘れてた……」
「昨晩モ、アノ娘タチガ手伝ッテクレナカッタラ布団モ何モ無イ部屋デ放置デシタヨ。ホープニ感謝スルノデスネ」
そういえば、男女で部屋を分けたりとかしなかったな。
今思うとそこら辺も配慮しないとまずかったかな。
「そうだな。すぐに向かおう。でもその前に……」
「『謎の店』ニ行クノデスか?」
「惜しいフォン。行くのはコンビニだ。今回の魔物行進。魔物側の目的は、俺たち人間側の生活基盤の破壊。それは間違いない。なら、無事だった所はどうなるのか興味ないか?」
そういう理由で俺たちはコンビニに【転移】した。
「性格悪いなぁ〜。まぁ、今は好都合だな」
俺の家から自転車で30分ほどのコンビニは『謎の店』に変わっていた。
中に入って魔石を現金に換金する。
「おぉ! やったぞフォン! 300万戻ってきたー!」
「ヨカッタデスネー。デハ、ソノオ金デ必要ナ物ヲ買イマショウ」
「……そうだね〜」
日持ちの良さそうな食料や子供受けするお菓子などを買い、更には以前から気になっていた情報誌を100冊程買った。
100種類あったわけではなく、多くの人が読めるように何冊も買ったのだ。
何故かファッション雑誌もあったのでそれも買ったが……大体の服屋って壊されたはずだよな。
そして情報誌を100冊買ったとき……
《条件を満たしました。職業【情報屋】を獲得しました》
例のアナウンスが流れた。
「便利そうだから取っておくか」
職業【情報屋】を取る。
スキルを見ると凄く良いスキルがあった。
これでこの地区の人たちは100%困らないだろう。
そう断言できるスキルが【情報屋】の職業スキルにあった。
そして、何故ファッション雑誌があったのかも理解できた。
店の外に出たら買った物を【異空間倉庫改】――時間停止機能がある――にしまってショッピングモールの屋上に【転移】した。
「ホープ。食料を持ってきた。今から配るけど中はどうなってる?」
「マスター。アタシ超頑張ったんだよ〜。あの女の子たちも頑張ってくれたんだよ〜。早くなんとかして〜」
フォンを通してホープと話をしたが、なかなか大変な状況らしい。
休憩所付近に行くと理解できた。
2歳〜8歳くらいの子供たちが親がいない寂しさで泣き出していた。
お腹が空いているのも関係しているのだろう。
ゴブリンの被害にあった20人の女性たちと昨晩助けた10歳以上の子供たちが頑張ってあやしている。
ここにいる全員が0歳〜25歳までの男女100人。
休憩所に全員は入らないのでフードコートの椅子に座っている人もいる。
気配を探ると壊れたテナントに入っている人もいる。
これは20人のうちの誰かだろう。
たぶん使える物がないか探しているのだ。
「ホープ。放送で食料が届いたと言ってくれ。あとその場を動くなとも」
「了解〜。『みんな聞いて〜。食料が届いたよ〜。危ないからその場から動かないでね〜』」
泣き止んだりはしていないが、ちゃんと放送を聞いて動かずにいるようだ。
さっさと配ってしまおう。
「お菓子だー!」
「オレンジジュース!」
「ゼリーだー!」
この後、もう一度『謎の店』に行き、足りなかった物を購入した。
俺は早く12時にならないかなぁ、と思っていた。
その前に11時に集合した人たちに説明があるのだが……。
11時になり昨晩に紙を配った所から人がきた。
ホープに命じて、なるべく広い場所に集合させ椅子か地面に座らせる。
そして俺はというと……
「ふむふむ。ここをまとめるのはあの人がいいかな? 防衛隊長はあっちの人が良さそうなだなぁ」
上から見下ろして【統括者】のスキル【才能発掘】を使って割り振りをしていた。
「あっ、明梨。無事だったんだね」
「あやちゃんも無事で良かった〜」
中には再開を喜ぶ姿も見れた。
しかし……
「この紙を配った奴は支配者気取りかよ。気に入らねぇ」
「ほんと、俺たちがやった方がもっと上手くできたよなぁ」
と批判的な意見もあった。
というか、気に入らないなら来なくていいと書いてあったはずだが……。
俺より少し年上の20近くの男子4人グループだ。
【神眼】で少し見させてもらったが、あのグループは正直に言うと追放したいくらいだ。
過去に女性の強姦や、わざと痴漢をでっち上げて何の罪もない人を被害に遭わせている。
そしてそれを楽しんでいるのだ。
今回ここにきた理由も碌な理由じゃないだろう。
周りの人たちもこの4人グループには近づかないようにしているみたいだ。
大声で話しているし……責任感の強そうな人が注意しようと近づいている。
乱闘になられても困るし、何よりそろそろ時間だ。
俺は台の上に音も無く着地する。
【気配隠蔽】のスキルを解除すると、急に現れた俺に驚いているのかびっくりした表情の人たちが多い。
もちろん、顔は仮面を付けて隠している。
もしかして……注目されているのはこの仮面か?
やっぱり可愛いのか?
フォンに音声機能の応用をしてもらい若干声も変える。
「時間になった。説明を始めるぞ」
◇
【将軍】
冒険者LV10と使役者LV10で解放される職業
自分も戦いながら他者に最適な指示を出すことができる。
戦闘のプロ。
【陰陽師】
魔法使いLV10と使役者LV10で解放される職業。
眷属にしたモノの10分の1のステータスの式神を召喚したり、スキルの封印やお祓いなどトリッキーなことができる職業。
【魔法戦士】
冒険者LV10と魔法使いLV10で解放される職業。
【教師】
術系統か発動型スキルのレベルが10になると解放される職業。
自身のレベル10のスキルをまだ習得していない者に教えることができる。
読んでくださりありがとうございます。
次回の更新は明日です。
主人公、蓮が集まった人達に説明する回となっておりますので、その次の話も早めの更新にしたいと思います。
いつもストック無しのギリギリ状態ですので、偶に日を開けます。
今後ともよろしくお願いします。




