1話 庭にダンジョンができました
この作品に興味を持ってくれた方、ありがとうございます!
一部改稿しました。
修正前)ヘッドランプを装備しての記載を消しました。
描写を詳しく書きました。
「は?」
俺はリビングから庭を窓越しに見て、訳の分からない、現実には理解できないことがあって声を上げた。
その理由は……
「なんで家の庭に、こんな洞窟があるの?」
そう……庭に洞窟があるのだ。
いや、洞窟の入り口と言った方が正解なのか?
まだ寝ぼけているのかと思い、庭用のサンダルで洞窟に近づき触る。
それはちゃんとそこに存在し、俺は本物だと判断した。
「…………入るか」
少し悩んで、警察に連絡する前に入ることにした。
好奇心には逆らえなかった。
リュックにお菓子を入れ、包丁と鍋のフタを片手に持って洞窟の中に入った。
「なんか、ゲームの世界にきたみたいだ」
洞窟に入って、思った感想がこれだった。
中は薄暗いが、ライトを持っていなくても見える程度の明るさだった。
物理的な現象を完全に無視している。
(なんで家の庭にこんな洞窟が?)
そんなことを考えながら進んでいると、目の前に水色のうねうねした物体が現れた。
「えっ? なんで、スライムが……」
それはゲームなどでよく見るスライムだった。
スライムはうねうねと動いている。
目があるのかわからないため、俺が見えているのかもわからない。
少し様子を見ていると攻撃も何もしてこないので少しだけ可愛く見えてきた。
(これに包丁刺すの? 小説とかだと、スライムってよく仲間になってるよね? お菓子あげたら、仲間になってくれないかな?)
俺はリュックからキャラメルを取り出し、スライムにあげてみた。
スライムの上から落としたのだが、ぴょんぴょんと跳ねられ、なんだか嬉しい反応をされた。
《スライムが仲間になりたそうです。仲間にしますか? YES/NO》
突然、声が聞こえてきた。
いや、頭の中に響いたと言った方が正しいのか……。
YES /NOの選択は目の前にパネルが出てきた。
「YESで」
YESの方を押す。
《スライムが仲間になりました》
ピロン!
《レベルが上がりました。これより適合を開始します。ファース、ファース、ファース、ススススス………………個体名『一宮蓮』を確認。個体のスキャンを開始。ハイダーボーナスとして、ユニークスキル――【全取得数値倍化】が贈られます》
「え?」
なんだ?
今の……。
《ステータスオープンと唱えると自分のステータスが表示されます》
「ステータスオープン」
そう言うと、目の前に透明なパネルが出てきた。
名前:一宮蓮
年齢:17
レベル:1
体力:20/20
魔力:10/10
攻撃力:5
防御力:4
器用さ:5
敏捷性:5
魔攻力:3
魔防力:3
職業:←点滅
スキル:←点滅
ユニークスキル:全取得数値倍化
職業の部分が点滅しているので押してみると――
《職業を選択してください》
<冒険者・魔法使い・内職者・使役者・働き者>
(どれを選ぶべきだろうか? やっぱり、使役者かな?)
俺は、使役者を選択した。
《職業が使役者になりました。スキル【眷属化】【眷属伝心】【眷属召喚】【眷属倉庫】【眷属強化】を獲得しました》
職業:使役者LV1
スキル:【眷属化LV1】【眷属伝心】【眷属召喚LV1】【眷属倉庫LV1】【眷属強化LV1】
CP:1
SP:2
CPはクラスポイントで、SPはスキルポイントか。
最初の職業選択で、CPは1減ったようだ。
「SPは2。何のスキルを取ろうかな?」
スキルの部分も点滅しているので押してみると、凄い数のスキルが出てきた。
「とりあえず、【短剣術】のスキルを取っておこう」
【短剣術】のスキルを押すとSPが2から1に減った。
スキル:【眷属化LV1】【眷属伝心】【眷属召喚LV1】【眷属倉庫LV1】【眷属強化LV1】【短剣術LV1】
「……奥に進んでみるか」
スライムを【眷属倉庫】にはしまわずに、頭の上に乗せて進んだ。
実は少しだけ、この先が楽しみだったりする。
バクンッ!
俺はスライムに戦闘を任せて、後ろで見ている。
スライムは、スライムを捕食している。
見ている限りでは、余裕そうだ。そして不思議な光景だ。
スライムの倒した経験値は俺にも入ってくる。
ちなみに、眷属と仲間の違いは――
【眷属化】をすると、経験値が眷属化した魔物と主人にそのまま入る。
仲間の場合は、分割される。
そして、【眷属強化】は俺のステータスを上乗せできる。
まぁ、魔力を使うので、今の魔力量では回数は多く使えないが……。
「そういえば、名前を決めてなかった」
俺はスライムを手に持ち、考える。
「最近フルーツにハマってるから……よし! お前は今から、『ライム』だ。よろしくね。ライム」
「ふるふるふる(よろしく)」
うんうん。喜んでくれているようだ。
「なぁライム。ここってスライムしかいないのか? 今のところスライムしか見ていないんだが?」
「ふるふるふる(わからない)」
なるほど。わからないと……。
ライムは揺れてしかいないが、俺には【眷属伝心】があるので、何となくわかる。
便利なスキルだ。
ちなみに、ライムのステータスはこんな感じ。
名前:ライム
種族:スライム
レベル:1
体力:10/10
魔力:6/6
攻撃力:3
防御力:4
器用さ:2
敏捷性:2
魔攻力:2
魔防力:4
スキル:【捕食LV1】【溶解LV1】【打撃耐性LV1】
【眷属強化】を使うとこれに俺の全ステータスが一時的に上乗せされる。
LV1なので10秒ほどだが……。
《レベルが上がりました》
「LVが2に上がった」
どのスキルを取ろうかな……やっぱりここは【盾術】かな?
あとはパッシブスキルの【肉体強化】【魔力増量LV1】を取っておこう。
俺たちは、再び探索を行った。
スキル:【眷属化LV1】【眷属伝心】【眷属召喚LV1】【眷属倉庫LV1】【眷属強化LV1】【短剣術LV1】【盾術LV1】【肉体強化LV1】【MP増量LV1】
「キュッ、キュキュキュ」
俺は額に宝石を嵌めている、いわゆる、カーバンクルという魔物を見つけた。
何あれ! 超かわいい! ぜひ欲しい!
「ライム。あの魔物捕獲できる?」
「ふるふるふる(任せておけ)」
任せておけ、と言われた。
30秒ほど戦闘をして倒した。
「キュー」
目を回して気絶している。
目を覚ますまで待つことにする。
「キュー」
目を覚ますと俺を見て鳴いた。
助けてくれ、とでも言っているのだろうか?
「これ食べる?」
俺はカーバンクルにキャラメルを渡した。
「キュ? ……きゅー!」
目をキラキラと輝かせて、凄く喜んでくれた。
《カーバンクルが仲間になりたそうです。仲間にしますか? YES /NO》
YESの方を押して、仲間にした。
それからも、俺たちの探索は続いた。
《レベルが上がりました》
《職業【使役者】のレベルが上がりました。使役者に関するスキルのレベルが上がりました》
今のCPは5、SPは2だ。
俺はレベル3に、ライムはレベル2に、カーバンクルは元々レベル2だった。
「とりあえず、カーバンクルに名前を付けよう。実はもう考えてある。お前は『モモ』だ。よろしくね。モモ」
「きゅー!」
名前:モモ
種族:カーバンクル
レベル:2
体力:12/12
魔力:12/12
攻撃力:2
防御力:3
器用さ:6
敏捷性:6
魔攻力:4
魔防力:4
スキル:【回復魔法LV1】【強化魔法LV1】【逃げ足】
後はCPとSPだけど……。
「職業は使役者が減っただけで増えてないな。もしかして、ここからそれぞれの職業に分かれていくのかな?」
冒険者は、戦闘職
魔法使いは、魔法職
内職者は、生産職
働き者は、内政職
とか?
使役者は、何だ?
「全部取れるから取ってしまおう」
パネルの冒険者の部分を押してみるが……
「あれ? 反応しない?」
《現在のレベルでは新たに職業を選べません》
「なら、仕方ない。使役者に振ろう」
《職業【使役者】のレベルが上がりました。使役者に関するスキルのレベルが上がりました》
「後は、SPが2か……これにしよう」
名前:一宮蓮
年齢:17
レベル:3
体力:54/54
魔力:42/42
攻撃力:33
防御力:32
器用さ:39
敏捷性:35
魔攻力:35
魔防力:33
職業:使役者LV3
スキル:【眷属化LV3】【眷属伝心】【眷属召喚LV3】【眷属倉庫LV3】【眷属強化LV3】【短剣術LV1】【盾術LV1】【肉体強化LV1】【魔力増量LV1】【魔力回復量増加LV1】【体力増量LV1】
ユニークスキル:全取得数値倍化
※パッシブ系スキルはレベル1ごとに10上昇。
読んでくださりありがとうございます。




