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出会いと別れの異世界召喚  作者: ゼロカムイ
7/8

第五話 シャルとさーやと特訓の約束


「ローズはなんか能力を持っているのか?例えば、人の良さを見抜く能力とか」


 気になるので聞いてみる。


「・・・え、なんで分かるの心矢お兄ちゃん!?」


 驚いた顔をしてローズが言う。

 オレも驚いている。まさか当たるとは思ってなかった。


「いや何となくそう思っただけだがあっているのか」

「う、うん」


 これで、ローズの直感で人を選ぶ理由がわかった。

 ローズはそもそも人に出会った時にわかるんだ、その人の良さが。


「正確には違う能力ですけどね」

「違う能力?」


 流石に全く同じではないか。


「姫様は人の悪い心を感じることができる能力を持っています。なのでその心が少ないのが私達なんでしょう」


 なるほどそれでこのメンバーか。これはあと一人がどんなやつか楽しみだな。

 でも、ちょっとそれだと当てはまらないことがある。

 まぁ確信もないし、これを調べるのはまた今度でいいか。


「・・・それだけではわたしは選んでないよ。わたしと合うのかとか、相性もちゃんと見てるもん」


 侵害だなとでも言うようにローズが訂正する。絶対相性とか見た目だけじゃわからないだろ。

 それにしても、さっきから少しローズの様子が変な気がする。能力が知られたくなかったのだろうか。


「そんな、能力があったん、ですか?」

「シャルは知らなかったのか」

「は、はい。二ヶ月、ぐらい前に従者になったばかりです、から」


 シャルはなかなか最近だな。

 

 多分、さーやは一年以上前には従者になっているだろう。

 シャルとは違って仕事に慣れている感じがする。


「あの、心矢・・・さんは」

「心矢でいいぞ」

「は、はい。心矢、は、異世界の勇者、なんですよね?」


 オレの名前を呼び、シャルは赤くなる自分の顔を抑える。

 流石に、いきなり名前呼びはきつかったか。

 まぁ今日初めて会ったばかりだし、緊張するのも仕方ない。


「ああ、そうだ」

「では、なんでこんな時間にいるの、ですか?今の時間。勇者、様は、鍛えているはず、ですが」


 この質問を答えると命を取られるかもしれない。

 だが、嘘をつくのも後々ややこしくなるので正直に答えよう。


「オレは魔族討伐の話を受けてないからな」


 答えた瞬間。空気が変わった。そして少し沈黙が続く。


「・・・・・・」

「心矢は、この国を守る気が、ないのです、か!!」


 発言するとともに剣をオレの首に近づけるシャル。

鉄の冷たい感触がする。それにさーやもなんかこわい。


「そういうわけじゃない。ただオレは集団行動が苦手なだけだ」


 何とかこの国を守ることを伝え、あいつらの誤解をときたいところだ。

 まぁ誤解って言うわけでもないがな。


「ああ、確かに心矢お兄ちゃん、昨日一人で隅っこにいた」


 オレに三回ぐらい剣や刀が向けられているので、完全にローズはこの首にあたっている剣をスルーする。

 だがこの二人に睨まれている状況でローズは天使だ。オレはこの天使の助けを求めるしか無い。

 

「見てたのかよ。てか、よくあんな端っこにいたオレを見つけたな」


 ホントは知っていたがここはあえて知らないふりをする。


「ふふ~ん。すごいでしょ」


 よし、きた。うまくローズを乗せれた。


「その姫様の話は置いといて、心矢様は他の勇者様とは鍛えないが、魔族からこの国を守るつもりはあると?」

「ああ」


 うまくローズの話に変えようと思ったのに置いてかれた。

 ひどいぞこのメイド。


「ねぇ、なんでわたしの話は置いとくの!?」


 だがローズが諦めない限り、まだ話を変えるチャンスは有るぞ。頑張れローズ。

 だがそんな期待はすぐに消える。


「ホントですか?ホントに信じていいのですね!?」


 あれ、なんかローズが無視されてる。


「ああ」


 まるでこの場にいないような対応をされて今でも泣きそうなローズ。

 容赦ないなさーや。

 一応、ローズはお前の主だぞ。


「ねぇ、わたしの話ーー」

「では私と特訓をしましょう」


 もう完全にとどめを刺され、その場に落ち込むローズ。


「特訓?」

「私も、心矢と特訓を、します」


 シャルが横から入ってくる。

 おい聞いてるんだから話に入ってこなくてもいいだろ。

 ややこしくなるじゃねえか。


「はい。勿論お願いします。シャルにはお願いしようと思っていましたのでちょうどよかったです」


 オレの質問はスルーですか。


「オレは能力がわからんぞ」

「大丈夫です。能力ではなく剣の特訓ですから」


 今度はスルーされなかった。だが剣の特訓とかオレに向いてないだろ。


「剣なんて扱ったこと無いぞ」


 地球では持ったことすらない。

 そりゃ当たり前か。

 ただ喧嘩はしたことはあるな。

 

 それに柔道の先生に柔道で圧勝したこともあった。もしかしたら剣士より格闘家とかになった方がいいんじゃないか。

 まぁならないけどな。


「それを扱えるようにするのです」


 断ると多分殺されるのでここはおとなしく特訓をするか。


「何時、どこで特訓はするんだ?」

「朝八時でローズガーデンのここにしましょう」


 なんかさーやがウキウキしている。そんなに特訓が楽しみなのだろうか。


「わかった。特訓をしよう」


 オレがそういった瞬間。シャルの剣がオレの首から離れる。


「約束、ですよ」

「約束はいいんだが、そこで落ち込んでるローズはどうするんだ?」


 オレが隅っこで縮こまっているローズを指差す。


「む、無視。む、虫?」


 ローズはわけのわからないことを言っている。相当ショックだったのだろう。


「私達がなんとかします。慣れっこなので。それより心矢様は帰って、明日以降の特訓のためにしっかり休んでください」


 確かにきつそうだもんな。特訓。


「じゃあ、そうするわぁ、またな」


 オレはそう言い、手を振る。そうするとさーやたちも手を振ってくれた。


「はいさようなら」

「明日から、よろしくお願い、します」


 そう、三人に別れを告げ、オレはローズガーデンを出た。



 すっかり暗くなり、もう夜になった。星や月?などが窓から見える。綺麗だ。

 この世界でもオレは、夜が好きなのは変わりない。

 何故なら星が見えるし、月が見える。そしてやる気が出る。


 だがこの世界の月や太陽は少し、地球とは変わっている。

 まぁ別の世界だから当たり前か。

 そう思い、オレは窓の景色を見ながら呟いた。

 

「そろそろ行くか」


 そして、オレはカーテンを閉め、男子の宿を出て女子の宿に向かった。

 当然だが女子の宿に入るには生徒の許可と証明が必要だ。なので用事がある彩を管理人さんに呼んでもらう。

 

 しばらくすると彩がやってきた。


「で、用件はなに?」

「頼んだことの話だ」

「あぁ、わかったわ」 

 

 そう言い、彩はオレの前を歩いていく。普通だったらここでついてきて、とか一声かけるのにこいつはそれもしない。

 だがすぐに彩が警戒していることがわかった。

 多分、オレと二人でいる姿を他の生徒に見られると、仲が良いと思われるから早くオレを部屋に連れていきたいのだろう。


 そして、なんとか生徒に見られないで彩の部屋についた。

 

 彩が少し待っててといったので廊下で待つ。


「メイドさん、少し外に出てもらってもいい?」

「はい、かしこまりました」


 彩はメイドさんを中に入れているようだ。

 メイドさんが出ると彩がこちらへ来た。


「はい、中にはいっていいわよ」


 そう言いドアを押さえる彩。こういうのは先に部屋の主が入るんじゃないのか。

 まぁいいか。


「お邪魔します」


 中に入ると男子部屋より豪華に見えた。ソファが三つにベットが二つ、それにどれもオレのところより、ワンランク上に見える。女子と男子の扱いが少し違いすぎるだろ。


「取り敢えず座っていいわよ」

「じゃ、遠慮なく」


 そう言い、オレはソファに座る。

 彩がここに住んでから数日しか経ってないが女の子の甘い香りがする。男の匂いとはぜんぜん違う。


「彩、早速だが聞きたいことがある」

「あ、な、何よ」


 なんか彩の顔が少し赤い。今、彩って言いかけなかったか。まぁスルーでいいか。


「オレの部屋に来た時の話したいことってなんだったんだ?」

「あ、あれは、な、なんでもないの」


 なんか動揺している彩。


「いいのか、話さなくて」

「いいの、いいの」


 ちょっとどんな話か気になるな。また今度もう一回聞いてみよう。

 絶対今日と同じ反応をするだろうがな。


「そ、それよりあんたに頼まれたことを話すわよ」


 逃げるように話を変える。本当に何の話か気になるな。


「ああ、話してくれ」

「まず能力のことだけど私の能力が七色变化」

「お前の名前が入ってるな。それで七色変化っていうのはどんな能力何だ?」


 なんか彩の体の色でも変わるのか?さっぱりわからん。


「うーん、簡単に言えばカメレオンみたいな感じかな」


 ますますわからなくなった。


「カメレオンってことは彩が黄色に変化したりするのか?」

「ううん、私の性格が色みたいに変えられるって言えばわかる?」


 なるほど、彩にピッタリの能力だな。


「ああ」

「でも実際に使ったことはないんだけどね。なんか自我がなくなるかと思うと怖くて」


 突然明るさが消えていく彩。多分能力を使い、精神を支配されるか心配なんだろう。

 だがオレはそんな彩は見たくない。


「だったら使わなくてもいいんじゃないか」

「え?」


 予想外のことだったのか間の抜けた声が聞こえる。


「だってお前の能力だろ、お前が好きに使えばいいじゃねえか」

「・・・・・・う、うん。そうだね。なんか元気出た、ありがと。じゃあ話の続きをしよっか」


 彩が笑顔を取り戻す。その笑顔はローズと同じぐらいの可愛さだった。

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