新しい世界
あの日、俺はそのまま雫の家で何時間か泣いて家に帰った。
目は腫れていてすごいことになっていた。
あの日が今では昔に思える。
俺は今日から大学一年だ。
医学部に入った、理由は雫の母があの後亡くなったからだ。
なくなった理由は医療ミスらしい。
元々あの一家は体が弱いらしいから、俺はそういう人を救えたらと思っての事だ。
「大学……でかぃ……( ・∇・)」
高校とは比べ物にならないくらい建物がでかかった。
相変わらず笑うことだけはできないが表情豊かにはなってきた……つもりだ。
ボーッと校舎を眺めていると後ろから誰かがぶつかってきたようで、俺はそのまま吹き飛ばされて挙げ句の果て塀にぶつかり……気絶した。
「だいじょ……大丈夫か?」
誰……どこここ?
「んっ……」
「あ!起きた!大丈夫、君。」
目の前には数名の男女がいた。
しかし、誰だ?
「あの……ここ?」
「ぁあ、俺がぶつかってなんかいろいろあってこうなったんだ!女を傷つけるって最低だよな……ごめん!」
は……い?
女?傷付ける?なんの事?
もしかして、この人すごく失礼な勘違いしてない?
「俺、男ですけど。」
そういうと、あからさまに驚いている。全員口をポカーンと開けてアホ面かましてる。
失礼な連中だよ、まったく!!
俺ってそんなに女みたいなのか?
「いやいやいやいや!女でしょ!
だって八重歯可愛いし、童顔だし、背ぇちっさいし、可愛いし、小柄だし、色白だし、可愛いし、小柄だし!」
失礼すぎるだろ、死せ。
小さいって何回言う気だよ三回いってるし。
可愛いって二回言ったし、酷いよねぇ。
「失礼な奴……あたしは医学部一年の五十嵐那緒、宜しくね!」
「……俺も、医学部一年の朝比奈澪です。男ですから。」
名前も女っぽいからねぇ……。
でも男だよ。ちゃんと証明できますから。
「澪ちゃんかぁ……俺は、緒方鈴樹だよ。同じ医学部!」
まだ間違えてんのかよ、この人。
「俺は、磯部夕。同じく医学部。」
「私は、緒方柚樹。同じ医学部で鈴樹の妹だよ。双子ね!」
クールな人と元気な子。
「私は相澤桜。医学部2年、宜しくね。」
年上だけど……雫に似てる。
儚くて綺麗で雰囲気が似てる。
ボーッと見とれていると、緒方鈴樹が後ろから抱きついてくる。
何事!?
「可愛い澪ちゃん!付き合って!」
「俺は、男です!!」
言っても無駄なことはわかっていたがマジで無駄だった。
「じゃあ、証明してよ。」
「え……?」
そういった緒方(兄)が、Yシャツの中にてを入れてくる。
胸の辺りを揉むようにまさぐるのでびっくりした。
「……貧乳なだけかもしれない。下行こう下!」
「ちょっ、やめ!」
誰も止めてくれないのですが何ですかこれは。
医学部って変態の巣窟ですか?
考えていると思いっきり握るもんですから痛いっす……。
痛いですよ、確かめるだけなら普通にさわってくださいよ。
握んないで下さいよ。
「ある……ぺニスがあるーーー!??!」
叫ばないで下さい、そして普通にぺニスとか言わないで下さい。
「だから、男なんですって。てか、離れてください。」
「まぁ、俺男の方が好きだしこうつご……った!」
さらに顔を近づけてくる緒方(兄)を磯部さんがぶん殴った。
そして、一礼してみんなさっていった。
何か驚きが多いと言うか……
それより俺も行こうかなぁ教室に。
と思って医務室を出ようとしたときに鏡が目に入った。
鏡に映っているのは頭を治療されている自分の姿だった。
あいつらが……?
一応、会い方が悪かっただけで良い奴等なのかなぁ?
教室に入ると奴等が居た。
まぁどうせ、選択科目が少し違うだろ…。
今回一時間目が揃っただけで……。
ん?また一緒……
また一緒……
また一緒……
もしかして!?全部同じ!?
ぐったり……
頭も少しだけズキッとするし、医務室行こうかなぁ…
コンコンッ
「どうぞー」
中から声が聞こえてくる。
「失礼します。」
なかに入ると奴等と保健医らしき人がいた。
何故?
「あ!!澪ちゃん!」
おい、お前。頭渇割ってやろうか 緒方(兄)。
「朝比奈くんかぁ…頭どうしたの?」
「ぁあ、そこの馬鹿な緒方(兄)にやられました。」
事実だしさぁ、痛いしさぁ……
緒方(妹)がこっちに向かってくる。
そして全力で頭下げて謝ってくる。迫力があって怖い。
「まぁまぁ、とりあえず朝比奈くんはベッドに寝て。傷口とかみたいからさぁ。場合によっちゃあ病院の方来てもらうから。」
え、マジで?!
まぁとりあえずベッドに寝転がる。
無意識に雫の形見を握る。
雫の形見……雫の形をモチーフにしてあるネックレス。
常にポケットに忍ばせている。
まだ……吹っ切れてねぇなぁ。俺。
包帯が外されると、痛みがさっきよりも強くなる。
「ぁあ……ちょっとだけ傷が深いねぇ…ちょっと病院の方に行こうか。」
医学部って言うかこの大学は
『東雲保健衛生大学病院』という保健専門の大学だ。
俺は、医師の勉強をしているが、中には薬剤の勉強などをしている人もいる。
「せんせ!俺らもいく!今はさっき謝罪できなかった奴もいるし。」
良く見るとさっきより三人多い。
保健医は頷いた。
ちゃんとした治療を受けてその日は無事に帰ることができた。
寮生活なので寮まで8人と話ながら言った。
五十嵐那緒、相澤桜、緒方柚樹、緒方鈴樹、磯部夕。
そして三人の男女。
「私は、篠田錐夏。薬剤の勉強してます!」
「俺は、加西凛。栄養の勉強してます。」
「私は、雛型滴。薬剤の勉強してま……どうしたの?澪くん。」
し……ずく?
思いっきり形見を落としてしまった。あれにはロケットも着けていて写真が入っている。
さっきまで暗いし離れててわからなかったが顔も雫に似てる。
「いや……あのごめん。何でもないから。」
形見を急いで拾う。
「澪ちゃん……もしかしてさぁ、滴にあったことがある?」
緒方(兄)がそう言う。
だが違う。全く違う。わかっているが動揺を隠せない。
「ない……から。ごめん、ほっといて!!」
走り去った。
とにかくその場にはいられなかった。
あのままあの場所にいたら、涙が溢れてしまいそうだから。
寮の部屋までいって思いっきりベッドに飛び込んだ。真っ暗な部屋でただ枕に顔を埋めた。
「……んだよ……本当、俺、全然吹っ切れてねぇじゃねぇかよ!!」
ベッドを殴って頬を伝う水を止めようとした。
でも全然止まらなかった。興奮したせいで頭の傷が痛んだ。
いてぇし……
もう寝よう。
次の日になり朝日が目に染みる。
良い天気だ。
校門にいくと8人が重い空気を纏ってたっていた。
「どうしたんだ?」
話しかけるとこちらを向いた。
「澪ちゃん…ちょっと良い?」
どうしたんだ?ほんとに。
ついていくと医務室だった。
「どうした?」
ガタンッ
椅子に座らされた。
頭に響いて少し痛い。昨日と様子が違う八人を見て恐怖ににた感情が俺のなかであった。
少し沈黙があってから緒方(兄)がなにかを出す。
あれは……!?
「ごめんね、走ってったときに落ちててさ……」
「中、見たのか……?」
「開いてたからね。これ、どういうことかな?」
そんなんきくなよ……。
言えるわけがねぇだろ……そんな簡単なものじゃないし……。
「なんで、昨日あったばっかの他人に!そんなこと言わなきゃならねぇんだよ……?
何でもかんでも質問されて答えれる訳じゃねぇんだよ!!!」
……所詮そんなもんだよ。俺は結局あいつに縛られてんだよ……。
あいつがそれを望まなくても、俺はそうしてしまうんだよ!
「他人だから教えてくれないんだな?」
え……?
「じゃあ他人じゃなきゃ良いんだな。」
何をするつもり……




