9
こっそりこそこそ投稿。
魔王様は一人にしても関係ないことをよく喋る(考える)ようです。
小悪魔ちゃんが戻ってくるまで、何をするでもなく、目を瞑って待っている事にした。
別に眠っている訳ではない。
もう一度言う、眠っている訳ではない!
『魔王様、起きて下さい』
小悪魔ちゃんの声がして、身体を揺すられた。
どうやら、落ち着いて戻ってきたらしい。
そして私は、眠ってなんかいない。
ちゃんと聞こえているし、小悪魔ちゃんの事も見えている。
そう、私の意識は覚醒したままだ!
『目開けたまま、寝るなあああああ!』
「うぇっ!?」
殴られました。右頬が痛いです。最近、小悪魔ちゃんの態度がどんどん悪くなっているように感じます。今後が心配です。
あと、私は寝てなんかいなかったからなっ!
『さて、気が付いたら寝ているのも全て、魔王様の種族のせいなのですが……』
「いや、だから私は寝ていな『さっさと認めろよ! 寝坊助魔王!』……すみませんでした、私が悪かったです」
何だろう、小悪魔ちゃんの中で私の言葉を遮るのが流行ってるのかな。
え、天の声のマイブーム? 犯人はお前かっ!
『さて、種族の眠り羊についてですが、一言で言うと常時寝てるニートです』
「え?」
今、私はポカーンと口を開けたアホ面をしているに違いない。
ニートって、あれか? 私の世界でよく問題になっていた「働きたくないでござる」の人達か? 働く意志が無いから失業者にも数えてもらえないあいつらか? 元の英語が無駄に格好いいあのニートか!?
『そのニートです。眠り羊は普通羊の姿をしていて、周りにいる生物を強制的に眠らせる以外は、常時寝ているだけで、戦闘能力も0ですし、基本的にどうでも良い魔物として認識されています。強制的に眠らせる能力を罠に使って……とか考えた人も居ましたが、敵味方構わず眠らせてしまうのでなかなか難しいようです』
「マジか……」
いや……、待てよ?
私羊型じゃなくね?角こそ生えてたし無駄にもふもふファッションだけど、れっきとした人型じゃね?
ていうか、さっきの話だと、小悪魔ちゃんも強制的に寝てしまうんじゃ……。
『魔王様は人型ですし、人よりかなりよく寝ますが、常時では無かったのでまさかとは思いましたがそのまさかとは……、本当に信じられません! ああ、私はスキル【状態異常耐性】を持っているので強制睡眠にはならないんですよ。だからこそ、気が付かなったんですけどね!』
ほう……、まさに私の使い魔になるためだけに生まれてきたような能力じゃないか。
『当たり前じゃないですか、魔王様の一番初めの使い魔はその魔王に合わせた能力と共に魔王様と同時に誕生するんですから。魔王様をサポートするために誕生するので、必要な知識は初めから持っているんです』
成る程、つまり小悪魔ちゃんと私は同い年……と。前世の記憶があるせいか、なんか嫌だな、それ。
幼女と同い年か……うん、泣きたい。
『なんだか、やや論点がズレましたが、天の声が痺れを切らしているんで、どうにか話を進めようと思うんですが』
「だが断る」
眠いし、天の声の都合とか知らないし、眠いし、眠いし、眠いし。
『はあ……、魔王様の種族のせいで既に九話なのに説明が序盤も序盤って……。あたし、転職考えようかな……』
右も左も分からない世界でぼっちにされるフラグが立ったような気がする!
今こそ、説明を聞く時だ! 魔夜、今聞かずに何時聞く! 今だろ! さあ、立ち上がるんだ九九琉木 魔夜!
「聞きます聞きます、超聞いちゃいますよ!」
『魔王様のキャラが変わった!?』
小悪魔ちゃんが頭をカナズチで殴られたような顔をしていらっしゃる。そんなに可笑しいか、私がやる気を出すと。
そもそも、頭をカナズチで殴られたら死ぬよね、ということはこの小悪魔ちゃんは既に死んでいる? ということはアンデットか。ゾンビとか好きよ私。
「閑話休題」
『いきなり何ですか!?』
いや、うん言いたかっただけ。なんかいいよね閑話休題。
閑話休題。
『はあ、それはともかく、魔王様、どうしてそこまで、適当なんですか』
「さっき、やる気出した」
『え、はあ、そうですね』
「小悪魔ちゃん、お疲れだな」
『そうですね……、ちょっと疲れているんで、眠り羊の話だけでも終わらせてお休み頂きますね、あはは』
小悪魔ちゃんが乾いた笑いを浮かべちゃったよ、流石にやり過ぎたみたいだ。自重自重。
天の声も疲れたって? お前の事なんか知らねーよ、阿呆。
『眠り羊は戦闘能力が皆無なので、魔王様も戦闘能力が皆無です。すぐ死にます。はい、説明終わり。休ませて頂きます。』
「え、終わり?」
『終わりです、疲れました。後は、勝手に特性の説明見れば分かります。本当はもう少し説明あったんですけど、疲れましたんでまた次で。あ、【創造】は勝手に触っちゃ駄目ですからね死にますからね』
「はーい……」
そう言うと、小悪魔ちゃんはソファに倒れ込んで眠りだした。
え? ソファ? あったの? ソファ。
何故か、ちょくちょく突然見えるようになるよね。適当なのは天の声だよね。
取り敢えず、小悪魔ちゃんが言っていた通りに特性の説明でも見ますか、眠いけど。眠いけど。眠いけど。大切な事なので、三回言いました。
それにしても、どうやったら説明が読めるのか。
その辺の説明してくれなかったよね、小悪魔ちゃん。不親切。いやまあ、自業自得なんだけどさ。
まずはっと、ステータスもう一度出しますか。いつの間にか消えてたから。
「おーぷんざうぃんどう」
あ、開いた。
これ、言葉、本当何でも良いんだな。
私だけかも知れないけど。
さて、特性特性っと。
▼
種族特性/《過剰睡眠欲》《眠りへの誘い》
クラス特性/《不老》
スキル/【創造】
▲
さっき、小悪魔ちゃんがいじるなって言っていた【創造】ってこれだよな。スキルの。名前的に、何か作るんだよな。っていうか、触ったら死ぬって、危ない物でも作れるのか……。あ、魔王だから魔物創れんのか成る程。そりゃ、危ない。
さて今、用があるのは特性の方だ。《過剰睡眠欲》に《眠りへの誘い》って……。どう見ても、眠さの原因じゃないかよ!
なんか、急激に説明見たくなくなった……、うん。もう一つの特性から見よう……。
クラス特性ねえ、魔王特有の特性って事か。
《不老》……《不老》って……。
いやいやいや。いや、そんなまさか。
一応、一応ね、説明をだね、うん。
開き方 が 分からなかった
しまったああああ
開き方教えてもらって無いんだったよ!
そうだ、ステータスを開くときと同じように掛け声で……
「《不老》の説明オープン!」
し か し ひ ら か な い
Oh..my god !
どうするよ、どうしたら良いんだよ。
そ、そうだ、タッチパネルみたいにタッチするんだ!
前に文字が浮かんでるんだからタッチだって出来るはずだそうだそうだ
ぽちっとな
「ひ、開いたぁあああああ」
普通に開いたよ!
ていうか、触れたよ! そっちに吃驚だよ! 何も感覚なかったけどね!
元のステータス画面(画面か?)の上に、新しく説明の画面(いやだから、画面なのか?)が出てくるのね。なんか無駄に格好いいな。
▼
《不老》
魔王の特性。
他にも、王と付くクラスはこの特性を持っている場合がある。
特性効果/老化しない。寿命によって死ぬことが無くなる。不死ではない。
▲
老けないって事ですよね! 本当にありがとうございました。
お婆ちゃんになって、子供達に見守られながら逝く事が出来ないってことか……、それはちょっと残念。
夢だったのにな……。ほら、前世は事故死らしいし?
そも、魔王は結婚出来るのだろうか。
魔王は勇者に倒される使命だから、《不老》なのかもしれないしね。
ふう、勇者かあ。居るのかな。この世界にも。
たぶん、私がこの世界に転生して、既に、一週間以上経ってるんだよな。数話前に小悪魔ちゃんが私が一週間も寝てたって言ってたから。そんでもって、小悪魔ちゃんが持ってた時計が60まで数字書いてあったから、恐らく1日60時間。かなりの時間が転生してから経っていることになる。
怖いなー。この家、この部屋から出たこと無いから分からないけど、たぶん魔王城だろうから、人間達、そろそろ魔王が誕生したこと気付いてるんじゃないかなー。それとも、私が何もしてないから気付いてないのかなー、気付いてない方が良いなー。そもそも此処は魔界で人間界とは別の世界っていうのが一番良いなー。そうしたら、小悪魔ちゃん以外に配下が居ないのは可笑しいか……。
そうしたら、ダンジョンマスターっていう方が近いのかな。寧ろダンジョンマスターそのものなのかもしれない。ということは、今更だけれど、ダンジョン経営モノ? うわ、それこそまずい。冒険者に入ってこられたら、即死じゃない、私。冒険者入れるのかな、此処。どうなのかなー。小悪魔ちゃんに聞かなきゃ。この部屋出るのも怖くなった……。
ずっと寝てたい。そう、この眠気に身を任せて……、ってそうだよ! 特性の確認してたんじゃないか!
ああ、もう、なんでこう話が脱線するのだろうか。全て、天の声が悪い、そうに決まっている。よし。
見るのを避けてた、特性を開くぞ!
▼
《過剰睡眠欲》
眠り羊の特性。
特性効果/常時[睡眠]状態になる。
備考/魔王なのでやや効果が緩和されている。
▲
▼
《眠りへの誘い》
眠り羊の特性。
特性効果/近辺にいる生物を強制的に状態異常[睡眠]にする。【状態異常耐性】などのスキルや特性を持っている生物には効かない。
▲
やっぱり、眠さの原因は《過剰睡眠欲》か!
魔王じゃなかったら常に寝てたんだな。今も常に寝てるだと? おい、誰だ今の言った奴。天の声、またお前かあああああ!
《眠りへの誘い》は、私が起きていられるってことは相手を眠らせて、自分でぼこれるって事じゃ……。私、戦闘能力皆無らしいんだった……。
まあ、小悪魔ちゃんがどうにか出来るさ、きっと!
さて、何だか、私も疲れたから寝るかな……ぐう……
早く、ダンジョン経営に入りたくて、
無理やり話を進めようとしたら、魔王様が何か悟りを開きました。
あれ?
まだ、暫くぐだぐだ進まなさそうです。いっそのこと、なろうで一番話が進まないダンジョン経営モノを目指します嘘です。