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戦闘力レベル99の薬草師〜異世界行っても採集クエストしかやりません〜  作者: 成若小意


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第三話 伝説は闇に葬られる。パフェと引き換えに

 私の魔力レベルは99だ。


 正確には測定機のカウンターがストップしてしまったので、更に上の可能性もあるけれど、確実に99はある。


「え、これって、どういう扱いになるレベルなの?」


 こちらの常識が全くわからない私は、この数字をどう受け止めればいいのか皆目見当がつかなかった。教会にいた時も、平和を重んじる教義なのか魔力関係の説明はとても少なかったのだ。


 冒険者ギルドで会員登録する際に魔力を測ってもらって初めてその数字を知った。職員に言われた通り木箱に入れられた水晶に手をかざしたとたん、光が四方八方、なんなら木箱の隙間からも溢れ出してきて驚いてしまった。光に質量があるのならきっと木箱は壊れていただろう。


「え〜、リリィわかんない。ちょっと待ってね、調べるから」


 その時対応してくれた職員というのが、今ではカフェ友達のリリィ。当時はまだギルド職員だった。


 リリィはカウンターの下から分厚い本を引っ張り出した。


「え、ここで働いてるのにわからないものなのですか?」


「私ここで働き始めたの、5日前だもの。研修も受けたけど、本がこーんなに分厚くって、全部なんて覚えきれないわよ〜」


 リリィは両手を広げて、本の厚さを大げさに教えてくれた。可愛らしいギルド職員ことリリィは、見知らぬ土地に再び放り出されたばかりの私にとっては久しぶりにお喋りができそうな相手だった。


「そうなんですね。でも大変じゃないですか? 強面の人たちも多そうな場所だし」


「えっとあなたモニカだっけ? 敬語なんてなくていいわよ。そして大変よ〜。お給料の良さだけで選んだんだけど、怒鳴られるわからかわれるわで、もう辞めようと思ってたところ!」


 リリィはカウンターにぐったりと突っ伏した。


「もう辞めるの? えっとリリィちゃん」


「リリィでいいわ。モニカこそ凄いわね。あんな荒くれどもの中で一緒に働くんでしょう? それこそ大変よ」


「そう、よね。でもしょうがないのよ。教会にいられるのは3年までって言われちゃったから」


「え、モニカは保護プログラムの人なんだ。それなら仕方ないわよね。親の紹介状なしにまともに働けるところなんて限られてるものね。まあ、ここで三年真面目に働けばギルドから紹介状書いてもらえるわよ」


「え、そうなの?」


「まあ、生きてれば、だけどね」


 リリィは悪戯っぽく片目をつぶった


「あ〜……」


 落ち込んだ私を見て、リリィは慌てて手を振った。たぶん私は泣く寸前だったと思う。


「ごめんごめん、冗談キツかった。ここは安全安心をモットーにしてる冒険者ギルドって研修の時に言ってたわ。死亡率がすごく低いんだから! それになんて言ったって、モニカはレベル99よ! この5日間、というか現場出してもらったの今日が初めてだけど、今日一日見てきた中で一番高い数値よ〜」


 明るくフォローしてくれるリリィの様子がおかしくて、涙は引っ込み、笑ってしまった。


「あの、リリィ。ちょっとお願いがあるの」


「なに?」


「ギルドに申請するレベルの数字、小さくすることはできる?」


「え。小さくするの?」


 リリィは目をぱちぱちさせた。


「そう」


「う〜ん。大きく見せるのは、違反だって習ったわ。そもそも魔力量に応じたゲートを開いたりする機会もあるから、嘘をついてもすぐバレちゃうんだって。バレたら資格剥奪だから、そんなリスクを犯す人はめったにいないみたいだけれどね。でも、小さく書くのは違反要項にはなかったわ」


「でもリリィは全部研修の本を読み切れていないのでしょう?」


「モニカが意地悪を言うわ。禁止要項は一番最初に覚えさせられたのよ。全部暗唱させられたわ!」


 リリィは胸を張ってつづける。


「だから、大丈夫。でも、小さく書く人なんて今までいなかったと思うけどね。なんでそんなことするの?」


「だって、目立ちたくないじゃない」


「そう? まあ、そうかもね。学校とかでいい成績取るならともかく、こんな荒くれ者が多い中で悪目立ちする必要ないわ!悪いことしてるわけじゃないし、レベルは小さく書いてあげる」


「ありがとう。担当してくれたのがリリィでホントに良かったわ。今度お礼をさせてね」


「お礼!? それなら、最近できたカフェで甘い物ごちそうしてもらおうかしら」


 リリィはにやりと笑った。


「カフェ? 私も行ってみたい。甘い物あまりここらへんで売っていないから、久々に思いっきり食べたいわ!」


「約束ね。で、数値はいくつにする?」


「う〜ん。標準がわからないから……リリィはいくつなの?」


「15よ! モニカに比べたら全然だけれど、ここに就職するときなかなかいい数字だって褒められたのよ」


 リリィはちょっと誇らしそうに指を立てた。


「そうなのね、じゃあ。15にするわ」


 こうして私は世間にレベルがバレずに済んだ。このときリリィに会えていて本当に良かった。後に知ったのだけど、もしほかの職員だったらこの数字は大騒動になるところだった、らしい。

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