第五話 対決(中編)
*今回シリアス回です。
オースがクロノスと直接対決することに…?
闘いたくないオース。
でも、カイが助けに来て…?
果たしてどうなる…!?
バトル展開あり!
*流血、怪我描写あります。苦手な方はご注意ください
*今回はバトル展開ありです!
流血表現あります。
苦手な方はご注意くださいます。
オースが一生懸命頑張ります!
ーー
ーー
ーーー未来管理局 旧警備訓練ドームーーー
オースが扉の前に立つと、扉は音もなく静かに開いた。
長らく使われていなかったようだが、中は綺麗で整っていた。
一面が白色で出来た巨大なドームの中は、
大きなエントランスホールがあり、ドーム内へ通じる廊下が、巨大なトンネルのようになっていた。
オースが歩くと、エントランスにも自然と明かりが灯っていく。
オース「…アルヴィス隊長、どこにいるんだろ…?」
オースは、カイ自作誘導ドローンの後ろをついて歩いていく。
ドームへ通じる廊下を歩き、オースは巨大扉の前に立った。
パネル部分に手をかざすと、
扉は重い音を立てて左右にゆっくり開いた。
オースが中へと入ると、そこには、、、ひどく荒れた世界が広がっていた。
乾いた風が吹く砂の大地が広がり、
崩れた建物群があちこちに散らばっている。
オースは一瞬、何処か別の場所へ来てしまったのかと錯覚した。
オース「…僕、ドームに入ったよね…?」
オースが上を向くと、天井はドーム上に丸みを帯びており、透明に透き通っている。
青い未来都市の空が確認でき、そのおかげで、
かろうじてここがドーム内なのだと分かる。
オースが中央部分に歩いていくと、急に上から声がした。
『…来たか。待ちくたびれたぞ。』
高い建物の残骸から、オースから少し離れた所へ黒い影が飛び降りてきた。
ーー管理局最上層部、クロノスだった。
黒いマントに、黒のジップスーツ、黒のロングブーツを着て、腕組みしながら余裕の笑みを浮かべてオースを見ている。
クロノスの深紅の両目が、いつもより赤く光って見える。鋭い眼光で、オースを睨みつけていた。
オースは、クロノスの威圧感がいつもよりも強力なこと、そして自身への明らかな敵意を本能的に感じ、
思わず少し後退りする。
クロノスは腕組みしたまま、オースへと語り始める。
クロノス「…この場所が何故捨てられたか分かるか?」
クロノスが、演習で使ったのであろう、
周りの建物の残骸を指差しながらオースに尋ねる。
オースが首を振ると、クロノスはさらに続ける。
クロノス「…この場所は、かつて管理局警備部隊や、未来警察の戦闘訓練に使われた場所だ。…時代が変わり、武器やアンドロイドの性能も上がり、訓練を要としなくなった。…いわば、、〝捨てられた場所〟だ。」
クロノスはオースに背をむけ、瓦礫の残骸に近づき、白手袋をした手で、壊れた建物にそっと触れる。
オース「…あの。アルヴィス隊長を見かけなかったですか?…ここで待ってるって言われt…」
オースは言い終える前に、クロノスの目を見て言葉を飲み込んだ。
オースを振り返ったクロノスの目は、冷酷な暗い光を宿していた。
クロノス「…さあな?…答える必要性もない。」
クロノスの右手には、アルヴィスの古代端末が浮かんでいた。
オース「…まさか。…あ、アルヴィス隊長に何かしたんですか…?」
オースは、心臓が早鐘を打つのを感じた。
クロノス「…。」
クロノスは答えない。ただ、オースを見ていた。
だが、動けないほどの殺気と威圧感がオースへと向けられていた。
オース「…(だ、だめだ…少しでも集中を途切らせたら、恐ろしいことになる…)。」
オースはかつてない恐怖を感じていたが、
同時にどのようにして相手に勝つかを、本能的に意識して動いていた。
一歩ずつ後ろへ交代しながら、距離を取っていく。
クロノスは、オースの行動がすべて読めているようだった。
腕組みしたまま目を閉じ、少し微笑んだ。
そして、同時に小さな拍手をする。
クロノス「…そうだ。自分より遥かに格上の相手に対峙した際には、まずは〝戦闘しないこと〟。
それが第一の鉄則だ。実に理に叶う。…褒めてやる。」
クロノスは、続ける。
クロノス「…だが、実際は違う。」
クロノスが言いながら、
黒いロングブーツを履いた足を一歩、二歩とゆっくり歩ませながら、オースへ近づく。
オースは、逆にゆっくり後退する。
オースの顔には、緊張で額から汗が流れ落ちていた。
その時、クロノスが右手に持っている、
アルヴィスの古代端末に通信が入った。
どうやら、カイからのようだ。
クロノスは、端末の通信を見て、
古代端末を足元に落とすと、
黒いロングブーツで踏みつけ破壊した。
ーードゴン!!とものすごい音がして…、、
辺りに土煙が上がる。
一瞬で、古代端末はバラバラとなり、
地面にはえぐれた穴が開いていた…。
クロノス「…」
クロノスは何も言わず、視線をオースへと再び向ける。その目には、殺気が篭っていた。
オースは、本能的に身構えた。
それは、オースに組み込まれている戦闘用アンドロイドの意思ではなく、オース自身の本能だった。
クロノス「…使われなくなった兵器の俺たちが、
使われなくなった場所で戦うとは…皮肉なものだな?…オース。」
クロノスの周りに赤い炎のようなオーラが舞う。
そして瞬時に、右目に眼帯が装着された。
クロノス「…本気で来い。」
クロノスの周囲の赤いオーラから、
強い衝撃波が放たれる。
オースは、両腕でなんとかすさまじい衝撃と豪風を防いでいたが、後ろの瓦礫の壁の裏に素早く移動し、
身を潜める。
クロノス「…敵前逃亡か?感心はしないな。
…だが、判断は間違ってはいない。」
クロノスの手には、何もない空間から、
赤く光輝く巨大な十字型のレーザー大剣が握られる。
銀に輝く巨大な柄に、燃えるような赤のレーザーが禍々しく輝きを放っている。
オースは物陰に隠れているが、震えていた。
「…どうしたらいいんだろ…。」
オースは、目を閉じ必死で頭を巡らせる。
クロノス「…来ないならこちらから行くが?」
クロノスが剣を軽く振った瞬間に、
轟音と地響きが辺りに響き渡ったーー
ーー
ーー
ーーー歴史保全保管課 中央管理室ーーー
カイは、やっと終わりが見えないほどの
歴史保全保管課の業務が、少し落ち着いてきたところだった。
デスクの椅子にもたれて天井を向き、
目を閉じて、ため息をついた。
そして、なかなか戻ってこないオースが気がかりで、
隔離保管庫へ移動し、アルヴィスに渡していた古代端末へと通信を掛ける。
しかし、アルヴィスが通信に出ることはなく端末反応自体が消えた。
カイ「…?端末反応なし…?誰かが意図的に壊した…?」
カイはすぐに、オースへと渡した誘導ドローンの映像を同期する。
カイの古代端末に、映像が映し出された。
映像は乱れていて、
ーー土煙、轟音、赤の光が飛び交っている。
いや、、、正確には光ではない。行く筋もの赤い斬撃ーー
土煙が晴れ、カイが見ると、
そこには、、武器を構えたクロノスと、
腕から血が流れ、クロノスの前で片膝をついているオースの姿があった…
カイ「…っ…オース!!!!」
カイは端末をしまうと、すぐに走り出した。
ミコが、職員廊下を走り抜けるカイに声を掛ける。
ミコ「…は!?え!?カイ!!??ど、どうしたの!?」
ミコが古代地図をたくさん持ちながら、カイの後ろ姿に叫んだが、
カイは既に、
姿がどこにも見えなくなっていたーー
ーー
ーー
ーーー管理局最上層部特別プライベートラウンジーー
ーー
アルヴィスは、ゆっくりと目を開いた。
顔に違和感がある。
見ると、自身の黒い影が人の手の形になっていて、
アルヴィスの頬を思い切りギューッとつねっていた。
アルヴィス「…っつ…!!!!」
影は、けっこうな力でアルヴィスの頬を引っ張ったり、つねっていた。
アルヴィスが起き上がると、影はアルヴィス自身へと戻る。
ノクティス「…やっと起きたか。」
ノクティスは足を組んでソファに座り、
優雅に紅茶を飲んでいた。
アルヴィス「…私はどれくらい眠っていた?」
アルヴィスが額に手を当てる。…刺すような頭痛が酷い。
ノクティス「…1時間ほど。」
ノクティスがカップを持ち、口ににつけながら答えた。
アルヴィス「…不覚だ。…で、クロノスはどこへ…、、」
アルヴィスが机の上を見ると、古代端末が消えている。
アルヴィス「…っクロノス。…一体何を…
クロノスがどこに行ったか教えてくれ、ノクティス。」
ノクティス「…。」
ノクティスは、感情が読めない目でアルヴィスを見続けていたが、ノクティスの影が、手の形となって、
窓の外の遠くの果てに見える、〝旧警備訓練ドーム〟を指差ししていた。
アルヴィスは酷い頭痛を感じながらも
立ち上がり、窓から旧警備訓練ドームを見る。
そして、アルヴィスは理解した。
アルヴィス「…まさか…狙いはオースか…?!」
アルヴィスがノクティスに目をやると、
ノクティスは、目を閉じ紅茶をすする。
アルヴィス「…ノクティス。…恩に着る。」
アルヴィスは、自身の黒マントをソファから取り、
旧警備訓練ドームへと急いだ。
ーー
ーー
ドーム内には赤い斬撃と轟音が響き渡っていた。
クロノス「…防戦一方か。…隠れているだけで、反撃すらしないとはな。敵前逃亡、それ即ち最も侮蔑される行為だ。…俺はまだ我が武器、クリムゾンクロスを〝展開〟すらしていない。」
クロノスが、手にしている赤い十字型のレーザー大剣を見ながら言う。
クロノスの低すぎないよく通る声が、ドーム内に響き渡る。
オースはなんとか逃げていたが、
幾度めかの衝撃波に吹き飛ばされた際、左肩に飛んできた瓦礫の破片が深く刺さり負傷していた。
なんとか歯を食いしばって瓦礫は抜いたが、
制服の肩は破けて穴が空き、痛ましい傷から血が腕を伝って、地面にぽたぽた落ちていた。
オースは、クロノスを遠目に確認しながら
頑丈そうな建物の影に身を隠し、
左肩の傷を右手で抑え、壁に背を預けて座り込んでいた。
気が遠くなるように左肩が痛い。
自身のポケットにあった、ミコがくれたウサギ柄ハンカチでなんとか止血する。
クロノスは、目を閉じる。
クロノス「…ふっ。要は、〝隠れる場所を排除〟すれば、王手だな?」
クロノスは、クリムゾンクロスに左手を翳し目を閉じる。
クロノス「…《〝クリムゾンクロス〟展開》。」
クロノスがつぶやいた瞬間、辺りにすさまじい爆風が起こり、赤い円形のフィールドがクロノスの周囲に広がる。
クロノスが、武器を持った手で肩を回しながら、
クロノス「…幾千年ぶりの展開だが、、さて。手始めに、〝掃除〟だな。」
クロノスの身体が、そのまま空中に浮かぶ。
そして、クロノスが大量の瓦礫の建物群に向かって左手を翳すと、凄まじい衝撃波とともに、
建物群が轟音を立てて宙に浮かび上がり始めた。
クロノスが左腕を挙げて、
手のひらの拳を握り締めた瞬間、赤の閃光と炸裂音とともに、建物群は粉々に破壊される。
空中から砂塵と化した砂が、ドーム内に舞い降り注いだ。
オースは、ドームの端のほうへうつ伏せに倒れていた。ーーいまの衝撃で吹き飛ばされたのだ。
クロノスが、空中から閑散とした地面に降り立った。
クロノス「…少し力が入りすぎたか?
だが、これで存分に戦えるだろう?」
クロノスが、倒れているオースに声を掛ける。
その声を聞き、オースはゆっくりと立ち上がった。
オースの口の端からは血が伝っていた。
左眼は、いつもより強い金色の光を放っている。
オースは、手で口の血を拭いながら言った。
オース「…僕は…戦いたくない。
でも、もしあなたがアルヴィス隊長を傷付けたとしたら…許せない!」
オースは、全身で怒りを感じていた。
その時、後ろでドームの非常扉が開き、
カイがドーム内に走り込んできた。
カイ「オース!!!!!」
カイは相当走ってきたようで、息を弾ませ汗だくだった。
カイは傷だらけで両膝をついているオースに駆け寄り、オースを守るようにして手を広げ、
クロノスに立ち向かった。
カイ「…クロノス隊長。…もうやめて下さい。」
カイは静かな声だが、明らかに嫌悪と怒りの混ざった声をしていた。
クロノス「…アルヴィスの部下か。…邪魔をするな。
…場をわきまえろ。」
カイは、一歩も引かない。
カイ「…古代、、ヴァルガリア国の英雄で、、大隊長だったあなたがこんなこと…恥ずかしくないのですか?」
カイの声はすこし震えていた。
悲しさと言うよりも、その声にはやるせなさが感じられた。
それを聞いた瞬間、
クロノスは片手を顔に当て、かすかにクロノスの肩が震えた。そして、右眼をカイへ見据えながら言った。
クロノス「…黙れ。《サイレントレイン発動。〝眠れ〟》」
その瞬間、カイは両膝をつき地面に倒れた。
クロノス「…その名を口にするな。
…貴様が触れていい過去ではない。」
オースは、目の前で意識を失って倒れたカイを見て、
自分の中で何かが切れた気がした。
途端に、辺りに衝撃が走った。
地面が割れて壁にも亀裂が入り、瓦礫がそこら中に飛散する。
クロノスは、瞬時に宙に浮かび上がり、
剣を構えて防御姿勢を取った。
一瞬でオースは、カイをドームの端の柱の影に移動させていた。
意識のないカイは、オースにより柱の影に仰向けに寝かされていた。
オース「カイ…ごめんね。僕のせいで。
…カイまで巻き込んで本当にごめん。…ここで待ってて。」
オースは、聞こえていないだろうカイへ言葉を掛けて、クロノスへ向き直った。
クロノスを見るオースの左眼は、
ーー感情を感じさせない冷ややかで無機質な瞳をしていた。いつもより輝きがない。
オースは目を閉じ、目の前の空中に手を翳す。
すると、空間が歪み、オースの右手には白く光り輝く、レーザー長剣が握られていた。
オース「…《〝ゼロブレイド〟展開。》」
剣を持つオースの身体の周りに、半透明な円形シールドが展開される。
オースの目には、もう少しも迷いはなかった。
宙に浮かぶクロノスを見上げて、覚悟を持った目で睨んでいる。
クロノスは空中から様子を見ていたが、
割れた地面に降り立ち、オースの武器を指差した。
クロノス「…やっとやる気になったか?
…来るなら本気で、、…」
クロノスが言い切る前に、光の刃が思い切りクロノスに叩きつけられる。
刃は、クロノスに当たる前に軌道が変わり、壁へと爆発音を立てて消える。
クロノス「…いい攻撃だな。当たればの話だが…。
…来い。オース。どの程度の実力か、…俺が直々に見てやろう。」
クロノスが、オースの前でクリムゾンクロスを構える。周りの地形や空間が歪み、クロノスの周りで円形の赤いフィールドが禍々しい光や赤い閃光を放ち、瓦礫や破片を巻き込んで渦を巻いている。
オース「…カイも、アルヴィス隊長も、、あなたは僕の大切な人達を傷付けた。」
オースは、美しく白く発光するレーザー長剣、〝ゼロブレイド〟の柄を両手で強く握りしめる。
剣がオースの言葉に呼応するかのように輝きを増す。
オースが歯を食いしばって、クロノスを睨みつけた。
オース「…絶対負けられません。勝ちます!!!!」
オースは、クロノスに向かって怒りの声で叫んだ。
クロノスは、深紅の両目でオースを鋭く見つめ、
そして笑った。
「…ならばオース。俺に一撃をくれたらお前の勝ちとしよう。」
クロノスが言うや否や、クロノスの周りに赤い閃光が走り、フィールドが展開される。ーー本気だ。
オース「…!(何か突破する手段を見つけないと…)」
クロノス「…左眼の力を使う以外、貴様に勝気はない、オース。」
クロノスが、武装展開しながらオースに告げる。
オース「…(え?…左眼…右目の能力は、、、分かるけれど、
左眼って…??)」
オースは、剣を構えながら考えを巡らしていたが、
クロノスは、表情を変えずにオースへ向かって、クリムゾンクロスを振り下ろしたのだったーー
ーー
ーー
ーーー哀しい兵器同士の闘いは、終わりへと向かっていく。
だが、果たしてどのような結末に落ち着くのか。
それはまだ分からない先のお話。
ーーー物語は、未来から過去。そして現在を交錯し衝突しながら周り巡っていくーーー
*長文読んでいただき感謝です。
次回、クロノスと最終決戦です。
オースと一緒にがんばりますので、応援よろしくお願いします♪
*読んでいただきありがとうございます♪
次回もオースと頑張ります!!




