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私は恋する樹木精霊(ドライアド)  作者: いとしき
一章「神樹の目覚め」
8/12

七話「襲来」

表現や書き方、全てが下手くそだ、、、。

読みにくくてごめんなさい。


「あーあ、まだ寝てるの?起きなさいってばぁー」


••••••ん、誰だろう?

何だか懐かしい声だなぁ。


「アンタってば早く起きないと、色々と手遅れになっちゃうんだけど」


額をツンツンと指先で押されている。

くすぐったくて、思わず跳ね起きた。

あれ、なんだここ?やたらと真っ白い場所だな。

こんな所で寝ていた記憶は無いんだけど。


両手で両目を擦ると、寝惚け眼が少しずつクリアになっていく。ふと、目線を上げると、少女と目が遭う。

私の顔を覗き込み、悪戯な笑みを浮かべている。

普通の、女の子じゃない。

真紅に煌めく、柔らかい髪質。

ツーサイドアップにしたその髪が、ふわりと靡いた。

ただ私の目を奪ったのは、その現実味を帯びない美少女っぷりではなく、人を虜にしそうな魔性の笑みでもなく、その尖った美しい耳先だった。

つまり彼女はエルフである。


「え、エルフだぁぁぁぁ!!」


ーーーゴッ!!


「「いたッッ!??」」


勢い余ってエルフの少女に頭をぶつけてしまう。

私達は、痛みに額を押さえる。

くッ、やってしまった、興奮しすぎた。


「••••••アンタ、相変わらずね」


キッと睨んで来る赤髪エルフ少女。

•••ん?良く見ると、かなり幼いな。

見た目、中学生くらいだろうか。

泣きそうな顔してる。可愛いんだけど。

ーーーいやいや、そうじゃない!


「ご、ごめんね!?大丈夫??」

「ったく、とりあえず時間も無いから、パパッと話をするわよ」

「••••••?」

「ちょっと手を出しなさい」


言われるがままに手を出そうとして、ハッとする。

なんで?私、人間の姿だ!“樹”じゃない!?

何故か裸ではあるけれど、間違いなく人間の形だ。


「ここは魂の形を感知した世界だからね。元のアンタの姿を保っているのよ。ほら、そんな事より、手!」

「••••••あ、うん••••••」


この子は何でも知っている様で、心まで読まれているみたいだ。信頼出来そうな気もしたので、言われるがままに彼女に向けて手を差し出すと、その小さな指先で、そっと手を握ってくる。


「今のアタシには、何も協力出来ない。せめて加護の力を強化しておくわ」

「あの、言っている意味がーーー」

「いいから!とにかく受け取りなさい!」


と、軽く突き飛ばされてしまう。

すると彼女の身体が、足元から少しずつ消えていく。


「えッ!?身体、大丈夫!?」


心配で駆け寄ろうとすると、彼女はフッと笑みを溢し、寂しそうな瞳で私の方を見る。


「久々にアンタに会えて良かったわ!大変だとは思うけど、いつかまた会えるはず。その時には、兄様だってーーー」

「ま、待って!!あなたの名前はーーー?」


彼女は遠ざかっていく。

光の向こうに、光の粒となって、消えていく。

必死に手を伸ばすが、届きそうにない。


「私はーーー」


転生前と同じだ。

意識が、プツンと途切れてしまった。



◇◇◇



『どーよ!私の実は!』


集落で魔法の練習を始めて五日目。

神樹として意識を持ってからは、一週間くらい経過している。私は、ルーシュから学んだ魔法の基礎を元に、だんだんと魔法を使いこなしてきた。


その成果の一つが、これである。

私は仮の身体である妖魔樹トレントの枝から、出来たての赤い果実を、エルフ達にもぎ取って貰う。

そう!魔法の力で、リンゴに似た果物を、枝に実らせる事に成功したのだ。


(すごいなぁ!神樹様!)

(本当本当!今日もありがとう)


食糧不足である集落の危機を救う為、少しでも力になればと考えたんだけど、かなり好評になった。

魔獣の出現により迂闊に森には入れないから、果物だけだったとしても、大切な食糧として感謝される。

うんうん。エルフ達の食糧事情の助けにもなったし、集落の皆んなと仲良くなるキッカケにもなった。

やっと“樹”として活躍出来ているよ!


(でもー、そろそろ魔獣退治、お願いしたいなーとか思ってますよぉー?)

『うわぁぁ!?クレアか!吃驚した!』


後ろから抱き付いてくるクレア。

うっ、かなり酒臭い。また酔っているな?

立派なドレスを着ているのに、かなり肌けた格好をしており、顔もキリッとではなくユルッとしている。

以前は、私の前では礼儀正しくあろうとしていたみたいだけど、最近は始めに見た時の気怠るそうな感じのまま、友達感覚で話をしてくる様になった。

酒好きらしく集落で作っている赤ワイン、その酒樽一樽を平気で飲み干す酒豪。ただ、この集落全体に毎日魔獣避けの防御結界を張っているらしく、そのエネルギー消費を補うのに必要らしい。

そろそろワインも底をつくんじゃないかな?


『そろそろ魔獣を倒しに行くつもりだよ、安心して』

(ほんとぉ?ちなみに魔法はどーですかぁ?)

『うーん。ぼちぼちかなー』


生活魔法は簡単なんだよね。

難しい想像は必要ないし。

たとえば、枝木いっぱいに果実が実るイメージしてみたり、土砂降りを防げるくらい葉っぱを生い茂らせるイメージしてみたり、と頭の中で思い浮かべやすい内容が多い。しかし戦闘魔法はイメージが難しい。

だって喧嘩すらした事ないし!

魔獣と戦う方法とか想像出来る訳がない。


今出来るのは、


(あれあれ、まぁまぁ、すごいじゃなーい!)

『••••••え、そう?』


根っこを地中に巡らし、槍の様に突き出す。

名付けて『活根闘かっこんとう』じゃあ!

••••••はい、ふざけたネーミングでごめんなさい。

でも根の先端は鋭いし、割と威力はある。

しかも地中からの攻撃は予測するのは難しいだろうし、お腹を攻撃出来たら致命傷にもなるだろう。

我ながらかなり恐ろしい攻撃を想像出来たと思うよ。

何かのアニメから想像した技だけど。

弱点としては、根を伸ばせる範囲に限界がある、根を張っている間は動けない。こんな所だ。

魔法はやはり使い手のイメージが大きく反映されてしまうらしく、根はそんなに広範囲に伸びない、根を張ったら当然動けない、など現実的な弱点をイメージしてしまうと、即反映されてしまうのである。

うーむ、気を付けなくては。


(あーれー?そういえば、ルーシュはー?)

『ああ、今日は用事があるとかで、何処かに行っちゃったよー』

(そーですかぁー、まぁ、きっとまた、森に行ったのかもしれませんねー)

『え?何で??単身で森に入るのは、危なくない?』


そう言えば始めて会った時から、一人で森の中に入っていたなぁ。理由はあまり口にしたくなさそうだったから、深くは詮索しなかったけど••••••。


(それはーーー)


クレアが何かを語り始めようとした所で、


「ーーー魔獣だあァァァァ、ぐッ、ああァァァァ!?」


聞こえ来たのは叫び声だ。集落の入り口の方である。

私は地中から根っこを引っ張り出し、急いで声のした方へと向かう。後ろから酔いの覚めたのだろう、血相を変えたクレアも付いて来る。“魔獣”というワードが聞こえた。集落に危険が迫っているかもしれない!


『ちょッ、何だこれ!?』


目の前に広がっていたのは、魔獣の群れ。

少なくとも三十匹は居るだろう。

全て狼型の魔獣イビルガムである。

その内の一匹が、エルフの戦士の一人を、片脚で押さえ付けている。大きな怪我ではなさそうだが、圧迫されて苦しそうだ。ステンリーを含めた他の戦士達が、魔獣を集落に入れまいと必死に牽制しているが、相手の数が多すぎる。すぐに囲まれてしまった。


『クレア!集落の結界、大丈夫なんだよね!?』


集落はクレアの魔法で結界が張られている。

魔獣は侵入出来ないはずだ。


(本来であれば安全のはず、ですが、あれはーーー)


クレアはイビルガムの群れ、その奥に潜む禍々しいオーラを放つ怪物に指を向ける。


『あれ、何なの!?』

(おそらく群れの親玉、イビルガムの上位種••••••イビルオルガ!!)


明らかにイビルガムより巨大な躰だ。

まるでライオンの群れに紛れたゾウである。

それくらい圧倒的な存在感だ。

漆黒を纏う体毛、鋭い爪と牙、妖しく光る紅い瞳。

魔獣らしく額に生える角。

基本はイビルガムと同じ姿形だが、一つだけ異なる点があった。


『無様ナ、エルフ、ドモ!我ラニ、ヒレ伏せ!』


当たり前の様に喋る。

頭の中に直接声が聞こえるのだから、私と同じく念話を使っているのだろう。

ただ喋り方や片言の発音からして、あまり知性が高いとは思えない。


(言葉を発する魔獣など、ここ数千年、見た事はありません。強力な特殊個体かもしれません!)

『え、じゃあ、もしかしてーーー』


バリンッ!!!


集落に響き渡るガラスの砕けた様な音。

イビルオルガが前足を地面に叩きつけた瞬間、クレアの結界が破られたのだ。や、やばいんじゃないの!?


「ーーーみんな集落の奥へ行けッッ!!!」


クレアが、空気を震わせるほど力強く、声を張り上げる。ビリビリと身体中に電撃が走った様な衝動を受け、エルフ達は一斉に集落の奥に向けて走り出す。

私は一瞬ビクッとしたが、すぐに前へ向き直り、クレアに声を掛ける。


『クレアは皆んなの避難誘導と指示を続けて!!』

(ーーーし、神樹様はッ!?)

『何の為に魔法練習したの!闘うしかないでしょ!』

(••••••わ、わかりました!!ご武運を!)


集落の皆んなはクレアに任せる。

私はステンリー達戦士に加勢しないといけないし、捕まっている子も助けないと!!

ここで立ち向かわないと、いずれにせよ集落が壊滅しちゃう。それだけは絶対に阻止する!


私はステンリー達を守る様に立つ。

目の前にはイビルガムの群勢、そして上位種。

ぶっちゃけ怖いけど、皆んなを守るんだッ!!


(あ、あの••••••勝算はある、のか?)


ステンリーが震えた声で、聞いてくる。

ふと見ると、構えた弓矢を射ようとする指先が、小刻みに震えている。それは他の戦士達も同じだ。


『安心して!何とかするッ!』


まずは捕らわれている子を助ける!

私は、地中に根を這わせ、エルフの戦士を捕らえているイビルガムに向かって、活根闘かっこんとうを叩き込む。槍の如く鋭い一撃をかますと、攻撃を受けたイビルガムが、血を噴き出しながら身体を反らす。

ーーーよしッ!ヒットした!


『今の内!!』

(は、はい!!)


ステンリーに声を掛け、捕らわれていた子を救出させた。大怪我ではなかったらしく、何とか走って移動出来ている。


いきなりの攻撃に、イビルガム達は、後退りする。

どうだぁぁぁ!!やってやったわ!


(さ、さすがです!神樹様!)

『でしょでしょ?ルーシュと魔法練習してたからねッ!』


ふふーん!

さすがのステンリーも私を神樹と認めたみたい!

これもルーシュのおかげ••••••、って、あれ?

今日は用事があるとかで、ルーシュは森に••••••


『ホぅ?ドライ、アドか!グヴァハハハハハッ!!面白ロイ!!ソノチカラ、見セテミロ!』


イビルオルガは高笑いする。

ただ、そんな事は、どーでも良かった。

おい。後ろの、イビルガム、何を咥えているの?


血が滴っている。

ポタ、ポタ、ポタ、と地面に出来た真っ赤な水たまりに、雫が落ちて波紋する。

••••••ああ、そんなッ!?


『カカッテコイ!コノ、エルフ、ト同ジ、殺ス!』



『ーーールーシュ!!!!』




全ては失った記憶の先にある。

それこそが、メアにとっての、恋物語

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