七話「襲来」
表現や書き方、全てが下手くそだ、、、。
読みにくくてごめんなさい。
「あーあ、まだ寝てるの?起きなさいってばぁー」
••••••ん、誰だろう?
何だか懐かしい声だなぁ。
「アンタってば早く起きないと、色々と手遅れになっちゃうんだけど」
額をツンツンと指先で押されている。
くすぐったくて、思わず跳ね起きた。
あれ、なんだここ?やたらと真っ白い場所だな。
こんな所で寝ていた記憶は無いんだけど。
両手で両目を擦ると、寝惚け眼が少しずつクリアになっていく。ふと、目線を上げると、少女と目が遭う。
私の顔を覗き込み、悪戯な笑みを浮かべている。
普通の、女の子じゃない。
真紅に煌めく、柔らかい髪質。
ツーサイドアップにしたその髪が、ふわりと靡いた。
ただ私の目を奪ったのは、その現実味を帯びない美少女っぷりではなく、人を虜にしそうな魔性の笑みでもなく、その尖った美しい耳先だった。
つまり彼女はエルフである。
「え、エルフだぁぁぁぁ!!」
ーーーゴッ!!
「「痛ッッ!??」」
勢い余ってエルフの少女に頭をぶつけてしまう。
私達は、痛みに額を押さえる。
くッ、やってしまった、興奮しすぎた。
「••••••アンタ、相変わらずね」
キッと睨んで来る赤髪エルフ少女。
•••ん?良く見ると、かなり幼いな。
見た目、中学生くらいだろうか。
泣きそうな顔してる。可愛いんだけど。
ーーーいやいや、そうじゃない!
「ご、ごめんね!?大丈夫??」
「ったく、とりあえず時間も無いから、パパッと話をするわよ」
「••••••?」
「ちょっと手を出しなさい」
言われるがままに手を出そうとして、ハッとする。
なんで?私、人間の姿だ!“樹”じゃない!?
何故か裸ではあるけれど、間違いなく人間の形だ。
「ここは魂の形を感知した世界だからね。元のアンタの姿を保っているのよ。ほら、そんな事より、手!」
「••••••あ、うん••••••」
この子は何でも知っている様で、心まで読まれているみたいだ。信頼出来そうな気もしたので、言われるがままに彼女に向けて手を差し出すと、その小さな指先で、そっと手を握ってくる。
「今のアタシには、何も協力出来ない。せめて加護の力を強化しておくわ」
「あの、言っている意味がーーー」
「いいから!とにかく受け取りなさい!」
と、軽く突き飛ばされてしまう。
すると彼女の身体が、足元から少しずつ消えていく。
「えッ!?身体、大丈夫!?」
心配で駆け寄ろうとすると、彼女はフッと笑みを溢し、寂しそうな瞳で私の方を見る。
「久々にアンタに会えて良かったわ!大変だとは思うけど、いつかまた会えるはず。その時には、兄様だってーーー」
「ま、待って!!あなたの名前はーーー?」
彼女は遠ざかっていく。
光の向こうに、光の粒となって、消えていく。
必死に手を伸ばすが、届きそうにない。
「私はーーー」
転生前と同じだ。
意識が、プツンと途切れてしまった。
◇◇◇
『どーよ!私の実は!』
集落で魔法の練習を始めて五日目。
神樹として意識を持ってからは、一週間くらい経過している。私は、ルーシュから学んだ魔法の基礎を元に、だんだんと魔法を使いこなしてきた。
その成果の一つが、これである。
私は仮の身体である妖魔樹の枝から、出来たての赤い果実を、エルフ達にもぎ取って貰う。
そう!魔法の力で、リンゴに似た果物を、枝に実らせる事に成功したのだ。
(すごいなぁ!神樹様!)
(本当本当!今日もありがとう)
食糧不足である集落の危機を救う為、少しでも力になればと考えたんだけど、かなり好評になった。
魔獣の出現により迂闊に森には入れないから、果物だけだったとしても、大切な食糧として感謝される。
うんうん。エルフ達の食糧事情の助けにもなったし、集落の皆んなと仲良くなるキッカケにもなった。
やっと“樹”として活躍出来ているよ!
(でもー、そろそろ魔獣退治、お願いしたいなーとか思ってますよぉー?)
『うわぁぁ!?クレアか!吃驚した!』
後ろから抱き付いてくるクレア。
うっ、かなり酒臭い。また酔っているな?
立派なドレスを着ているのに、かなり肌けた格好をしており、顔もキリッとではなくユルッとしている。
以前は、私の前では礼儀正しくあろうとしていたみたいだけど、最近は始めに見た時の気怠るそうな感じのまま、友達感覚で話をしてくる様になった。
酒好きらしく集落で作っている赤ワイン、その酒樽一樽を平気で飲み干す酒豪。ただ、この集落全体に毎日魔獣避けの防御結界を張っているらしく、そのエネルギー消費を補うのに必要らしい。
そろそろワインも底をつくんじゃないかな?
『そろそろ魔獣を倒しに行くつもりだよ、安心して』
(ほんとぉ?ちなみに魔法はどーですかぁ?)
『うーん。ぼちぼちかなー』
生活魔法は簡単なんだよね。
難しい想像は必要ないし。
たとえば、枝木いっぱいに果実が実るイメージしてみたり、土砂降りを防げるくらい葉っぱを生い茂らせるイメージしてみたり、と頭の中で思い浮かべやすい内容が多い。しかし戦闘魔法はイメージが難しい。
だって喧嘩すらした事ないし!
魔獣と戦う方法とか想像出来る訳がない。
今出来るのは、
(あれあれ、まぁまぁ、すごいじゃなーい!)
『••••••え、そう?』
根っこを地中に巡らし、槍の様に突き出す。
名付けて『活根闘』じゃあ!
••••••はい、ふざけたネーミングでごめんなさい。
でも根の先端は鋭いし、割と威力はある。
しかも地中からの攻撃は予測するのは難しいだろうし、お腹を攻撃出来たら致命傷にもなるだろう。
我ながらかなり恐ろしい攻撃を想像出来たと思うよ。
何かのアニメから想像した技だけど。
弱点としては、根を伸ばせる範囲に限界がある、根を張っている間は動けない。こんな所だ。
魔法はやはり使い手のイメージが大きく反映されてしまうらしく、根はそんなに広範囲に伸びない、根を張ったら当然動けない、など現実的な弱点をイメージしてしまうと、即反映されてしまうのである。
うーむ、気を付けなくては。
(あーれー?そういえば、ルーシュはー?)
『ああ、今日は用事があるとかで、何処かに行っちゃったよー』
(そーですかぁー、まぁ、きっとまた、森に行ったのかもしれませんねー)
『え?何で??単身で森に入るのは、危なくない?』
そう言えば始めて会った時から、一人で森の中に入っていたなぁ。理由はあまり口にしたくなさそうだったから、深くは詮索しなかったけど••••••。
(それはーーー)
クレアが何かを語り始めようとした所で、
「ーーー魔獣だあァァァァ、ぐッ、ああァァァァ!?」
聞こえ来たのは叫び声だ。集落の入り口の方である。
私は地中から根っこを引っ張り出し、急いで声のした方へと向かう。後ろから酔いの覚めたのだろう、血相を変えたクレアも付いて来る。“魔獣”というワードが聞こえた。集落に危険が迫っているかもしれない!
『ちょッ、何だこれ!?』
目の前に広がっていたのは、魔獣の群れ。
少なくとも三十匹は居るだろう。
全て狼型の魔獣イビルガムである。
その内の一匹が、エルフの戦士の一人を、片脚で押さえ付けている。大きな怪我ではなさそうだが、圧迫されて苦しそうだ。ステンリーを含めた他の戦士達が、魔獣を集落に入れまいと必死に牽制しているが、相手の数が多すぎる。すぐに囲まれてしまった。
『クレア!集落の結界、大丈夫なんだよね!?』
集落はクレアの魔法で結界が張られている。
魔獣は侵入出来ないはずだ。
(本来であれば安全のはず、ですが、あれはーーー)
クレアはイビルガムの群れ、その奥に潜む禍々しいオーラを放つ怪物に指を向ける。
『あれ、何なの!?』
(おそらく群れの親玉、イビルガムの上位種••••••イビルオルガ!!)
明らかにイビルガムより巨大な躰だ。
まるでライオンの群れに紛れたゾウである。
それくらい圧倒的な存在感だ。
漆黒を纏う体毛、鋭い爪と牙、妖しく光る紅い瞳。
魔獣らしく額に生える角。
基本はイビルガムと同じ姿形だが、一つだけ異なる点があった。
『無様ナ、エルフ、ドモ!我ラニ、ヒレ伏せ!』
当たり前の様に喋る。
頭の中に直接声が聞こえるのだから、私と同じく念話を使っているのだろう。
ただ喋り方や片言の発音からして、あまり知性が高いとは思えない。
(言葉を発する魔獣など、ここ数千年、見た事はありません。強力な特殊個体かもしれません!)
『え、じゃあ、もしかしてーーー』
バリンッ!!!
集落に響き渡るガラスの砕けた様な音。
イビルオルガが前足を地面に叩きつけた瞬間、クレアの結界が破られたのだ。や、やばいんじゃないの!?
「ーーーみんな集落の奥へ行けッッ!!!」
クレアが、空気を震わせるほど力強く、声を張り上げる。ビリビリと身体中に電撃が走った様な衝動を受け、エルフ達は一斉に集落の奥に向けて走り出す。
私は一瞬ビクッとしたが、すぐに前へ向き直り、クレアに声を掛ける。
『クレアは皆んなの避難誘導と指示を続けて!!』
(ーーーし、神樹様はッ!?)
『何の為に魔法練習したの!闘うしかないでしょ!』
(••••••わ、わかりました!!ご武運を!)
集落の皆んなはクレアに任せる。
私はステンリー達戦士に加勢しないといけないし、捕まっている子も助けないと!!
ここで立ち向かわないと、いずれにせよ集落が壊滅しちゃう。それだけは絶対に阻止する!
私はステンリー達を守る様に立つ。
目の前にはイビルガムの群勢、そして上位種。
ぶっちゃけ怖いけど、皆んなを守るんだッ!!
(あ、あの••••••勝算はある、のか?)
ステンリーが震えた声で、聞いてくる。
ふと見ると、構えた弓矢を射ようとする指先が、小刻みに震えている。それは他の戦士達も同じだ。
『安心して!何とかするッ!』
まずは捕らわれている子を助ける!
私は、地中に根を這わせ、エルフの戦士を捕らえているイビルガムに向かって、活根闘を叩き込む。槍の如く鋭い一撃をかますと、攻撃を受けたイビルガムが、血を噴き出しながら身体を反らす。
ーーーよしッ!ヒットした!
『今の内!!』
(は、はい!!)
ステンリーに声を掛け、捕らわれていた子を救出させた。大怪我ではなかったらしく、何とか走って移動出来ている。
いきなりの攻撃に、イビルガム達は、後退りする。
どうだぁぁぁ!!やってやったわ!
(さ、さすがです!神樹様!)
『でしょでしょ?ルーシュと魔法練習してたからねッ!』
ふふーん!
さすがのステンリーも私を神樹と認めたみたい!
これもルーシュのおかげ••••••、って、あれ?
今日は用事があるとかで、ルーシュは森に••••••
『ホぅ?ドライ、アドか!グヴァハハハハハッ!!面白ロイ!!ソノチカラ、見セテミロ!』
イビルオルガは高笑いする。
ただ、そんな事は、どーでも良かった。
おい。後ろの、イビルガム、何を咥えているの?
血が滴っている。
ポタ、ポタ、ポタ、と地面に出来た真っ赤な水たまりに、雫が落ちて波紋する。
••••••ああ、そんなッ!?
『カカッテコイ!コノ、エルフ、ト同ジ、殺ス!』
『ーーールーシュ!!!!』
全ては失った記憶の先にある。
それこそが、メアにとっての、恋物語




