六話「魔法の練習」
明日から本格的な仕事開始ー。
まあ、ちょっとは休めたし、気分転換出来ました!
ペースでいうと三日に一回くらいの更新頻度で頑張ります!
『••••••ふわあぁぁ、もう朝かぁ』
燦々とした太陽が昇り、深く暗い森に、朝陽が差し込んでいく。私は妖魔樹の姿で、大きく伸びをして、その恵みの陽を全身に浴びる。
これこれこれー!めっちゃ気持ち良いんだよなぁ!
転生前は、深夜まで次の日の資料作成や編集をして、早朝はゆとり時間もなく、カロリーメイト片手に出社する。休日はラノベやアニメ三昧で、下手したら外出や食事すらせず、推し活の世界に浸る。まったくもって不健康極まりない生活をしていた私は、樹木精霊になってから、すっかり健康的なライフスタイルを手に入れた。
樹木精霊にも睡眠という概念は存在する。陽が落ち始めると、自動的に眠たくなるのだが、地中に根を張るまでは完全に就寝が出来ない。どうやら根っこから大地のエネルギー的な何かを摂取しているらしく、これが私の原動力の一つとなっており、夜間に地中からエネルギーを蓄えている様だ。まるで携帯電話の充電をしてるみたい。また、日中は太陽光を目一杯に浴びて光合成をしているらしく、これもまたエネルギーを摂取出来ている。人間で言う所の食事なのかもしれない。
仮の身体である妖魔樹は、自由に動けるという点では、動けない私本体よりは便利。とはいえ、この着ぐるみ着てる感じが、なんだか居心地があまり良くない。
(あ、おはようございます!神樹様)
『おはよー、ルーシュ!』
掛けられた声に振り返ると、ルーシュが手を振り、近付いて来た。
(••••••それにしても申し訳ありません。こんな場所で夜を明かしていただくなど••••••)
『いやいや気にしてないから大丈夫だよ!』
この身体では屋内に入れないから仕方ない。
集落の野外集会所の隅を使わせて貰っているし、気にしなくても良いのに。
それに、地面に根っこを張らないといけないし、どちらにせよ屋外が必須なんだよね。
(••••••そうですか?)
ルーシュは、心配そうに私の顔を覗き込んでくる。
こういう所が、可愛い過ぎ!
気にしなくても良いのに。
『そう言えば、今日から魔法の基礎、教えてくれるんだよね!』
(もちろんです!よろしくお願いします!)
◇◇◇
魔法はこの世界で誰でも使えるチカラだという。
エルフ族は特に魔法に優れているそうだ。
何でも大昔のエルフの女神様が、この世界に魔法を導いた祖なのだとか。その女神様の血を引いているエルフは、魔法の素質を高く持つという事だ。
ルーシュは、集落の中で最年少でありながら、長老であるクレアより魔法適性は強いらしい。
ただ容姿だけは勇ましいエルフの青年でも、中身は純真無垢な少年、まだまだ魔法制御は未熟だそうだ。
あのイビルガムとかいう魔獣にも、成す術は無かったみたいだもんね。
というより••••••。
『こ、ここで魔法の練習するの?』
連れて来られたのは、エルフ族の戦士が日々鍛錬しているという修練場。弓矢の的や、剣技用の木人形、訓練用の障害物等が置かれている。
ここでイケメンエルフの戦士達が、その美しい肉体をさらに鍛えて上げていると考えたら、かなり興奮するのだけれど、
「あれが例の神樹様らしい」
「え!?妖魔樹の姿じゃないか」
「怪しい者であれば我ら戦士が討伐するだけだ」
「でも、長老様がすでにお認めになったらしいぞ!」
修練場の隅にエルフ達が溢れている。
間違いなく私の事を様子見に来たのだろう。
かなり視線を感じる。
気になって集中出来ない気がするなぁ。
(まず、魔法の基礎になりますが、魔法は我らエルフに関しては精霊を介して発動します。ですので、精霊そのものである神樹様とは、また発動条件も異なります。我らは体内にある魔力を、大気中に漂う下位精霊に分け与え、呪文を詠唱する事で、そのチカラの一端を使わせて貰う、これが一般的な魔法発動の仕組みとなります。それに対して、精霊種はそもそもが魔法そのものを産み出すエネルギー体と言えます。
つまり、魔法の発動はイメージさえしていれば簡単に発現可能かと思います)
『セイズ?』
(呪文や術式名の事ですが、神樹様は無詠唱で魔法使えるはずですので、覚える必要は無いかと!実際、私をイビルガムから救ってくださった際も使っていますし、妖魔樹に意識を移したのも、魔法の類ですよ?)
『あ、そうなの!?』
そう考えると決して難しくは無いのかな。
イメージって言っていたし、頭の中で思い描いた事が、実際に使えるって事なのかな?
たしかにルーシュをイビルガムから救った時は、とにかく何かで殴れれば追い払えるのにー、的な事は思っていたなぁ。
(それと魔法には一般魔法と固有魔法があります。一般魔法は世界共通のイメージ通りの魔法で、日常生活を支援する生活魔法と、戦闘に使う戦闘魔法に分類されます。こちらは魔法学院に通えば誰でも習得可能ですが、対して固有魔法は使い手に元来備わる独自の魔法、自分自身が想像し創造した魔法なので、あくまで個人的に使える魔法となります)
『ふーむ。色々あるんだね。ルーシュはどんな魔法が使えるの?良かったら見せて貰えると嬉しいな』
色々と知識をブッ込まれても、私はあくまで元異世界人。分からないモノは分からない!と思うんだよね。実際に見せて貰う方がイメージしやすいだろう。
(分かりました!では、私の得意魔法を!)
••••••お、あれは••••••。
ルーシュが両指を組み、祈る様にすると、その周囲が青白く発光する。キラキラしていて綺麗だ。もしかして、あれが下位精霊という存在かな?
(ーーー奏舞の風弓(ヴァン•アルク)!!)
ルーシュが呪文を唱えると、下位精霊達が弓の形を構成する。普通の弓とは違う。周りに風を纏っている。これが魔法!
風を纏った弓は、正面の的に向かって勢い良く放たれ、的中すると、弾けて消えてしまった。
『す、すごい!』
(いえいえ。今のは下級の魔法ですから)
『やっぱりあれが下位精霊なの?』
(え、あれとは••••••)
『あのルーシュの周りを漂っていた青白い光の粒だよ』
(え!?私には見えませんでしたが••••••)
ルーシュには見えてなかったの?
という事は、私にだけ見えていたのか。
やっぱり同じ精霊同士だから、とか?
『うーん!分からない!とりあえず、やってみる!』




