第8話:資材不足の罠 ―意見衝突の嵐―
水源確保に成功した四人は、次なる課題――資材搬入と補強作業に取り掛かっていた。
「瓦はもうこれ以上持ってこられない」翼が地面に置かれた資材の山を見渡す。
「足りない分はどうする?」凛花が眉を寄せる。
「少しでも補充すれば、屋根は修復できるはずだが……」天音は手帳を見つめる。
「でも、このままだと屋根の作業が遅れるぞ」拓海が不満げに呟く。
資材不足がチームの焦りを生む。互いに優先順位の意見が食い違い、険悪な空気が漂い始めた。
「先に屋根を直すべきです!」拓海が声を張る。
「でも、書類や資材の整理も必要です!順序を守らないと後で混乱します!」凛花も譲らない。
翼は両者の間で頭を抱える。
「落ち着け……まずは状況を整理しよう」
天音が静かに立ち上がり、手帳に図を描きながら指をさす。「こうやって区画を分けて作業すれば、同時進行できるはずです」
翼、凛花、拓海は天音の提案を見つめる。少しずつ険悪な空気は和らぎ、四人は再度手分けして作業を開始する。
瓦を運ぶ翼、資材を整理する凛花、岩や土砂をどける拓海、計算を続け指示を出す天音――互いの役割が明確になると、作業は驚くほどスムーズに進んだ。
丘の上、四人の背中に夕日が差し込み、長い影を落とす。泥にまみれ、手も服も汚れているが、初めて本当にチームとして機能した感覚があった。
「意見は違ったけど……やればできるんだな」拓海が微笑む。
「これがチームの力」凛花が頷く。
「次はもっと大きな課題が来ても、私たちなら乗り越えられる」天音が言い、翼も静かに頷いた。
瓦の軋み、泥の匂い、資材の重み――すべてが、廃村国家への挑戦をさらに強くする糧となっていた。




