第6話:書類と泥まみれ ―現実の壁と挑戦―
瓦の修復作業で小さな成功を収めた四人は、次なる課題に直面していた。それは――現実の壁、行政手続きと資材管理だった。
「まずは土地登記からだ」翼が手帳を開き、書類を確認する。
「ええと……建物の面積、土地の権利書、申請用紙……」凛花が整理するが、書類は膨大で、文字が細かくて読みにくい。
「こんなに……書類が多いなんて」拓海が眉をひそめる。
「現実は想像以上ね」天音がため息をつく。
四人は廃村に広がる泥道を駆け回り、古屋や倉庫から必要な資料や資材を集める。瓦の埃、湿った土、雨でぬかるんだ地面――すべてが作業を遅らせ、手を汚していく。
「これ、全部一人でやろうとしたら無理だな」翼が呟く。
「チームでやれば、何とかなる……よね?」凛花が手元の書類を翼に差し出す。
だが、意見の衝突も起きた。
「その資材は後回しにして、先に屋根を修復した方が効率的だ」拓海。
「でも書類手続きは早めに終わらせないと、資材搬入も進まない」凛花。
「どっちも必要なんだ、優先順位をどう決める?」翼は頭を抱える。
天音が微かに笑い、二人の間に立つ。「落ち着いて。まず状況を整理すれば、効率的に進められるはず」
四人は再度、作業計画を練り直し、小さな議論を重ねながら、泥まみれになって作業を続ける。
日が傾き始め、丘の上から霧に包まれた村を見下ろす四人。泥だらけの服、手に付いた土、擦り切れた紙――すべてが現実の厳しさを物語っていた。
「……でも、これが俺たちの挑戦なんだな」翼が静かに呟く。
「ええ、この廃村をただの廃墟にしないために」天音が答える。
「少しずつでも形にしていこう」凛花が決意を込めて頷く。
「やれることを、全部やる」拓海が拳を握る。
瓦の軋み、泥の匂い、書類のインクの匂い――すべてが、四人の決意を力強く後押ししていた。




