第5話:初めての共同作業 ―絆の火が灯る丘―
霧の丘に朝日が差し込み、瓦や倒木に反射する光がまぶしく輝く。四人の影が、廃屋や空き地の間を行き交う。
「まずは瓦の修復からだな」翼が声をかける。
「了解、材料はこっちにあります」凛花が整理した資材を指さす。
「古屋の柱もチェックします」天音が手帳を開きながら指示する。
「じゃあ俺は瓦を固定する」拓海が軽やかに動き出す。
作業は順調に思えた。しかし、廃屋の屋根は長年の風雨で脆く、瓦を動かすたびに軋む音が響く。翼が慎重に足場を確認していると、突然、瓦の一部がずれ落ちた。
「危ないっ!」拓海がすばやく手を伸ばして瓦を支える。天音と凛花も駆け寄り、四人の手で瓦を安定させた。
小さなハプニングだったが、互いの反応速度と信頼を確かめる出来事となった。
「ふう……危なかった」翼は肩で息をつく。
「でも、チームでやれば怖くないですね」天音が笑う。
「面白い……なんか、やれる気がする」拓海も微笑む。
凛花は手を拭きながら頷く。「少しずつでも、形になるって嬉しいですね」
丘の上、瓦修復の作業を終えた四人は、空を見上げる。霧が徐々に晴れ、遠くの山並みが姿を現す。初めての共同作業は小さな成功に終わったが、確かにチームの絆が芽生えた瞬間だった。
「ここから始まるんだ……」翼が静かに呟く。
「ええ、これが私たちの廃村国家の最初の一歩」天音が続ける。
瓦の軋み、風に揺れる草、遠くで鳥が羽ばたく音――すべてが小さな希望の火を灯していた。




