第28話:装置の暴走 ―国家の危機
夜が深まり、廃村は静寂に包まれていた。瓦の軋み、水路のせせらぎ、風のざわめき――すべてが普段よりも不規則に響く。天音は装置の前で眉をひそめる。
「歯車の振動が…想定外のパターンを示している」天音の声に、翼と拓海、凛花も駆け寄る。
「どういうことだ?」翼が問う。
「装置が自律的に反応している…力が暴走し始めている」天音が深刻な表情で答える。
青白い光が激しく瞬き、瓦や水路に微細な振動が伝わる。倒木が予想外に動き、建物の一部が傾き始める。廃村全体が装置の制御下から逸脱しつつあった。
「撤退は許されない…制御するしかない!」翼が号令をかける。
拓海は瓦や資材を支え、凛花はデータと資料で制御手順を確認。天音は装置の内部に手を入れ、封印の歯車の微調整を試みる。
瓦の軋み、風のざわめき、水路のせせらぎ、装置の光――すべてが予測不能に絡み合い、四人の全神経が集中する。
「歯車を逆回転させて…光を安定させる!」天音が指示を出し、翼と拓海が支援。凛花はデータを瞬時に解析し、微調整のタイミングを指示する。
数分間の緊迫の中、青白い光が徐々に落ち着き、瓦や水路の振動も安定していく。廃村は再び静寂に包まれ、外観上は何事もなかったかのように戻る。
「…危なかった」拓海が息を吐く。
「装置の力は計り知れないわ。完全に制御するのはまだ先ね」天音が装置を見つめる。
「でも、私たちが協力すれば、この国家を守れる」凛花が静かに言う。
「廃村国家は、試練を乗り越えるたびに強くなる」翼が未来を見据える。
瓦の軋み、水路のせせらぎ、風の音、そして装置の光――すべてが、国家としての危機を乗り越えた証として、廃村に静かに響いていた。




