別世界のゴプニク(Быдло в другом мире)

英雄たちの冒険が始まる

詩織

足元の石の砕ける音、荒い呼吸、そして鈍い心臓の鼓動だけが、死のような静寂の中では、あまりにも大きく響いていた。

ヴィタリアとリネアはシオリの遺体を見下ろしていた。

彼女の真紅の目は閉じられ、顔は眠っているかのように穏やかだった。

しかし、胸に浮かぶ血、空気の空虚、いつも耳をつんざくような笑い声の不在――すべてがただ一つのことを叫んでいた。

彼女は死んでいる。

「こんな…こんなはずはない…」リネアは口を覆い、耳を頭に押し付けた。

ヴィタリアは動かなかった。彼の視線はシオリの胸の傷に釘付けだった。

「誰が…誰がこんなことをしたんだ？」

様々な仮説が生まれ、そして一瞬にして崩れ去った。

「怪物？…」

「いや、これは…これはきれいな傷だ、これは…」

「ダレク？…」

二人は視線を交わした。

いや。

彼ではない。

彼にはできなかった。

「第三者がいた…」ヴィタリアは拳を握りしめた。

ヴィタリアは身を乗り出し、シオリの冷たい体を抱きしめた。

彼女の頬に涙が流れ落ちたが、彼は気づかなかった。

「私たちが…私たちがあなたを運ぶ…」彼の声は途切れた。

リニャもそれに加わり、震える指でシオリの肩を支えた。

二人はゆっくりと歩いた。一歩一歩が苦痛だった。

リニャの涙は静かに流れ落ちた。

ヴィタリアは歯を食いしばったが、危険な湿気は依然として視界を曇らせていた。

廃墟の影が、まるで足を掴むかのように、二人に伸びてきた。

空気は悲しみで満ちていた。

二人は彼女を運んでいた――死体でも、肉体でもない…

二人は友を運んでいた。

二度と戻らない誰かを。

彼らの姿は廊下の闇の中へと消え、石の上に血の滴だけが残った。

この場所にシオリの痕跡が最後に残ったのは、静かに響く囁きだけだった。

*「さようなら…」*

しかし、彼らはそれを聞かなかった。

朝が冷たい光で彼らを迎えた。

キャンプは凍りついた。

その知らせは瞬く間に広まった――あまりにも速すぎた。

シオリはいなくなった。

そしてダレクもいなくなった。

テーブルは用意されていたが、誰も食べなかった。

火の煙は低くたなびき、まるで灰色の空に立ち上るのをためらっているかのようだった。

ヴィタリアは頭を下げて座っていた。両手でカップを握りしめていたが、飲まなかった。

レネヤは彼の隣に立ち、もし彼が手を離したら崩れ落ちてしまうのではないかと恐れているかのように、彼の手のひらに指を絡ませていた。

いつもダレクにぶつぶつ文句を言っていたあの老ドワーフが、隅に座っていた。

彼の髭は濡れていた。

「ちくしょう…ちくしょう、馬鹿野郎…」彼は袖で顔を拭きながら、かすれた声で言った。「どこへ消えたんだ…今はどこにいるんだ…ちくしょう…」

彼は泣いていた。

決して認めようとはしなかったが、泣いていた。

魔術師たちは静かにワインを注いだ。

騎士たちは帽子をかぶらず、地面を見つめていた。

普段は騒々しい冒険者たちは、静寂を破ることを恐れるかのように、静かにパンを回していた。

誰かが彼女の笑い声を思い出した。

誰かがダレクが我を忘れすぎた時に、彼女が彼の耳を噛んだことを思い出した。

誰かが彼女が最後にこう言ったことを思い出した。

*「あまり寂しがらないでね～」*

彼女は冗談めかして言った。

彼らはそれが真実だとは思わなかった。

ヴィタリアは立ち上がった。

カップが落ちて割れた。

誰も悪態をつかなかった。

誰もひるまなかった。

リネアだけが静かに彼の手を握った。

――「行こう…」

彼らは去った。

キャンプは残った。

彼らなしで。

彼女なしで。

彼なしで。

誰も煽らなかった火の灰だけが。

誰も拭い去らなかった涙だけが。

誰も忘れることのない思い出だけが。

### 二週間後。###

空は灰色で、まるで自然そのものが嘆き悲しんでいるようだった。

街の外では、シオリを知る人々が崖に集まっていた。彼女の母、イルシーラ夫人は棺の傍らに立ち、優雅な指で大理石の石棺の縁を強く握りしめ、指の関節が白くなっていた。

――「あの…あの悪党をあなたに渡すべきじゃなかった…」彼女の囁きは毒と苦痛に満ちていた。「あの…あの悪党がいなかったら、あなたはまだ生きていたのに…」

声が途切れ、彼女は両手で顔を覆ったが、指の間から涙が流れ落ちていた。

二人は少し離れたところに立っていた。黒いドレスを着たリネアは、無力に耳を押さえ、ヴィタリアの手をしっかりと握りしめていた。

ヴィタリアは青ざめていた。彼の視線は棺の傍らに立つシオリの肖像画に釘付けになっていた。

「彼女は…こんなことが全部嫌になるだろう」と彼は嗄れた声で言った。「こんな儀式、こんな…忌々しい男爵家の儀式…」

リネアは頷き、その目は輝いていた。

「彼女はもう、みんなが泣き言を言わないように誰かの指を噛んでいるだろう…」

二人は知っていた。

二人は覚えていた。

しかし、彼女はもういない。

儀式が終わると、客たちは解散した。

ヴィタリアは残った。

彼はポケットからダレクの血の瓶を取り出した。ダレクが留守の間、彼女に飲ませるために残しておいたのと同じものだった。

そしてそれを棺の中の、シオリの隣に置いた。

「彼は…あなたに彼女を…渡したかった…」

彼の声は震えていた。

リネアは彼を抱きしめ、召使いたちが棺を閉じるまで、二人はそのまま立っていた。

永遠に。

彼らが去る頃には、既に雨が降り始めていた。

イルシラ夫人は、憎しみと切望に満ちた目で、彼らを見送った。

「彼を見つけ出して…」と彼女は囁いた。「あの忌々しいダレクを見つけ出して…そして、私が彼の魂を奪い、地獄に送ると告げて。」

ヴィタリアは振り返らなかった。

二人はただ立ち去った。

雨の中。

喪失の重圧の中。

詩織のいない世界へ。

終わり。