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閑話 1938年初頭のカナリス提督の想い、考え

 この世界の1938年初頭時点のカナリス提督の想い、考えを描く閑話になります。


 尚、閑話中の日本の描写が偏見塗れ、と言われそうですが。

 実際に1945年8月の玉音放送まで、日本人の多くが一億玉砕を叫んでいた現実がありますし。

 私が調べる限りですが、現在の欧米市民の間では、この当時の日本に対して、このように見られる方が、圧倒的多数のようです。

 本当にどうして、こんな事態が起きたのだ。


 自分としては、考える程に理解不能としか、言いようが無い。


 自分が転生前に読んでいた創作物(小説や漫画等々)では、転生者の考えや思い通りに、周辺人物も動くのが当然だったような覚えがあるのだが。

 実際には、そんなことが起こる筈が無い。

 周辺人物にも、それなりに自分の考えや想いがあるのが当然だからだ。


 そこまで織り込んで、自分としては考えて行動して来た筈なのだが。

 自分が転生して来た日中戦争が、このような結末を迎えるとは、本当に自分には理解不能だ。

 

 自分としては、ゾルゲ事件が発覚しても、尾崎秀実の線でコミンテルンの一員云々等の攻撃は終わり、近衛文麿首相は、自分はコミンテルンの一員ではない、自分は完全潔白だ、と獅子吼して、日中戦争に更にのめり込むだろう、と考えていたのだ。

 更に言えば、その結果として、日中戦争は完全に泥沼化して、日本には対ソ戦の余裕が無くなり、日中戦争を打開しようとして、史実同様に南方方面への侵略を図ることになり、全く勝算皆無の対米英仏蘭戦争に突入するだろう、と自分としては考えていた。


 そして、日本の対米英仏蘭戦争突入が起きた時点で、自分はヒトラー総統に進言して、

「黄色人種の日本人の世界侵略は断じて許されない」

という声明をヒトラー総統に出して貰い、対日宣戦をドイツが行うことで、ドイツと米国が共闘する事態を引き起こして、第二次世界大戦のドイツ勝利をもたらすつもりだったのだが。


 まさか、近衛首相が自殺して、更に万里の長城以南の中国本土から、日本の民間人のみならず、日本軍全てが撤退する事態が起きるとは。

 本当に自分には理解不能の事態が起きている。


 私の記憶にある日本は、ドイツが降伏したことによって、世界中から孤立し、ソ連から宣戦布告を受けても、原爆2発が投下されても、「聖断」が下るまで、降伏を肯んじなかったのだ。

 そうしたことからすれば、日中戦争打開の為に、この世界の日本も南方方面への侵略を行い、対米英蘭戦争を行うだろう、と自分は予測していたのだが。


 だが、現実には、日本は万里の長城以南の中国本土から全面撤退し、更には万里の長城以南の中国本土への駐兵権を事実上は返上し、租界も事実上は放棄してしまった。


 そして、上海におけるユダヤ人を始めとする外国人や中国人を、「積極的対日協力主義者」、「漢奸」等として、弁護人ナシ、裁判官兼検察官による即決裁判(それでさえ、本当に行われたのか、極めて怪しいという情報が、自分の手元に届いている)で、数万人も中国国民党軍は殺戮してしまった。


 そのことで、米国等の諸外国の世論では、

「リメンバー・シャンハイ」

等の声が急速に高まり、反中国国民党政府の声が強まって、相対的に対日感情が和らいでいるようだ。


 そして、この「上海事件」に対する米英仏等の諸外国政府の厳重な抗議を前にして、中国国民党政府は、日本との間に完全な停戦協定を結ばざるを得なくなり、こうしたことから、上海近郊に展開していた日本軍4個師団を始めとする日本軍全てが、無事に日本本国や万里の長城以北に退くことに成功したようだ。


 とはいえ、実際のところは、万を超える死者を日本陸軍だけでも出しており、日本軍の本音としては助かった、といえるらしい。


 更に中国国民党政府内の一部では、排日に成功したといえることから、更なる排外主義、具体的には反英主義が鼓吹されているようだ。


 そうした状況を仄聞し、香港等を防衛する為に、英国政府は日本政府に接近を図っており、日本政府も国際的孤立打開の為に、これを歓迎しているらしい。

 本当にどうしてこうなったのだろう。

 

 カナリス提督は頭を痛めた。

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同じ日本人からすれば、何故カナリスが日本がそんな都合よく破滅の道を突き進むと判断したのか理解できない。日本人は熱しやすく冷めやすいから、初手で戦争が上手くいかなければ、(諦められる状況ならば)あっさり…
 カナリス提督は転生知識のアドバンテージがあったけどこの時代でもトップレベルに権謀術数の高いチートな存在ハイドリヒ氏が足を掬った形で【カナリス提督が望む世界】との乖離が始まってしまったのはなんともご愁…
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