閑話 1940年7月末のカナリス提督の想い
閑話でカナリス提督視点の話になります。
カナリス提督としては、色々と現状については何とかなっているものの、究極だがドイツの敗北という運命が生じるのではないか、と諦観に近い想いがしてならない状況に陥っていた。
何しろ、自分がやった結果だ、と自責の念に駆られざるを得ないが。
明らかに史実よりも、祖国のドイツの現状は悪化しているとしか、言いようが無いのだ。
本当にどうしてこうなったのか、どうすれば、この事態を避けられたのか。
そういった想いが湧いてならない事態が引き起こされている。
それこそ、第一次世界大戦の結果からして、第二次世界大戦が起きるのは必然だった。
更には、ドイツが第二次世界大戦で敗北に至るのは必然で回避しようがない運命だったのだ。
その結果として、第二次世界大戦後に東西にドイツは分割されて、更にはドイツからのオーストリアの分離独立が引き起こされたのだ。
という陰謀論を、転生前に読んだ覚えが自分はアリ、更に言えば、何故にそう考えるのか、ドイツが第二次世界大戦を回避するなり、第二次世界大戦に勝利を収めるなり、する歴史の流れがあるのが、当然ではないか、と転生前のドイツ人の自分は考えていて。
転生後に自分の立場に気が付いた後、自分なりに色々と考えた。
第二次世界大戦が起きるのは、確かに必然だった、と自分も考えざるを得ない。
あれ程の苛酷な講和条約、史実のヴェルサイユ講和条約が、ドイツに突き付けられてしまっては。
何しろドイツの領土が失われ、更には支払い不可能としか思えない賠償金支払いが決まったのだ。
ドイツの国民の殆どが憤り、ヴェルサイユ条約破棄を考えるのが当然ではないか。
そして、自分の立場を考え合わせた上で、ヴェルサイユ条約がドイツに突き付けられるのは、とても阻止できないだろう。
更に自己保身を考えるのならば、第一次世界大戦前に自分は米国等に亡命すべきかもしれないが。
過去への転生に気付いた以上、我が祖国ドイツの勝利を目指すべきだ、と自分なりに考えて、日独伊三国同盟締結阻止等に奔走することにしたのだ。
具体的には、中独合作を推進して、米ソとドイツの友好関係を、それによって築いて、日中戦争に日本はのめり込んで、米ソを敵視する行動を日本は執るだろうから、中国国民党を介して、ドイツは米ソと連携すべきだ、と考えて、自分は行動してきたのだが。
何故に、このような現状に至っているのだろうか。
史実同様にポーランドとデンマーク、更にはベネルクス三国を、我がドイツが征服することは出来ているのだが。
ノルウェーは国土を二分しての対峙状況に陥っており、更に言えば、我がドイツ軍は、英仏日等の支援を受けたノルウェー正統政府軍に押されている。
又、重巡洋艦以上の大型水上艦全てが自国から失われたと言っても、過言ではない状況になっている。
フランスにしても、ノルマンディー、ブルターニュ半島を橋頭堡として確保した上での徹底抗戦の立場を崩しておらず、イギリス等もフランスを積極的に支援している。
又、イタリアも好意的中立と言えば、良いことのように聞こえるが、中立を維持しており、東欧諸国等も表面上はともかく、実際には中立を堅持しているとしか、言いようが無い。
本当に敢えて言えば、スロヴァキアが辛うじて属国、同盟国と言える状況の下、我が祖国のドイツは世界の国々の多くを敵に回して、世界の孤児なのに戦っているとしか、言いようが無い状況にある。
更に言えば、日本は完全にドイツに敵対して、陸海空の兵力を欧州にまで送って、参戦している。
こうした状況で、歴史が流れていくのならば、どう考えても我が祖国のドイツは敗北しつつある。
カナリス提督としては、どうにも悩まざるを得なかった。
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