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第14章―9

 そういったことが、ユダヤ人を巡って起きた一方、1940年6月中は、ノルマンディー、ブルターニュ半島を目指して退却を続ける英仏両国軍と、それに対する追撃を行うドイツ軍の戦いで、ほぼ終わることになった。

 

 そして、ドイツ軍もここまでの追撃を行った結果、それこそ様々な補給等の問題に苦しむようになっており、1940年6月末には、ここまで進撃を続けた代償として、大幅に補給網を再構築等する必要が生じることになり、進軍がほぼ止まらざるを得ない事態が起きた。


(尚、その過程の中で、パリやオルレアンといったフランスの中北部は、進撃して来たドイツ軍の占領下に置かれることになった。

 そして、ドイツ軍の占領下にあるフランスの土地では、ノルマンディー、ブルターニュ半島が固守されていることもあり、そこを主な後方拠点としたドイツ軍へのレジスタンス運動が、様々に展開されていくことになっていった。


 こうした状況を少しでも鎮めようと、ドイツ政府は親独主義者のラヴァルを首相とする傀儡政権をパリに樹立することで、ドイツ政府はフランスの独立を保とうとしているという姿勢をアピールしたが。

 その一方で、ドイツの本来の領土であるとして、アルザス、ロレーヌ地方の返還をラヴァル政権に対して、ドイツ政府は要求し、ラヴァル政権がその要求を呑んだことや、様々な物資等について、フランスからドイツへの援助を求め、それにラヴァル政権がしばしば応じたことから、所詮はドイツ政府の傀儡政権であると、多くのフランス人がラヴァル政権を支持しない態度を執ることになった。


 その為に、却ってラヴァル政権樹立後に時間が経つ程に、フランスのドイツ軍占領地域において、ドイツ政府、軍によるレジスタンス活動への弾圧が激しくなる事態が起きる程だった。

 当然のことながら、そういったことは更なるレジスタンス活動の高まりを引き起こした)


 話が先走り過ぎたので、1940年6月末の時点に話を戻すと、英仏両国軍の主力は、ノルマンディー、ブルターニュ半島で、ドイツ軍の侵攻を跳ね返せるだけの態勢を何とか整える時間的余裕を、ドイツ軍の攻勢が止まったことから得ることが出来ることになった。


 更にドイツ軍は、この侵攻作戦の結果として、北海沿岸から英仏海峡沿岸までの長い海岸線に対する英仏両国軍を主力とする攻撃に対処する必要性にも迫られることになり、少なくない将兵を、その警戒の為に割かざるを得ない事態が起きた。


 勿論、英仏両国、更にそれに味方する日蘭白等の国々の国力からして、それこそ数十個師団をこういった沿岸に上陸させる作戦を展開することは、当面は不可能だ、とドイツ政府、軍も考えていたが。

 これだけの長大な海岸線となると、監視網に穴が開いて、そこからレジスタンス運動の為の兵器等が揚陸され、又、いわゆるコマンド部隊が上陸作戦を展開して、それによる後方破壊作戦が大規模に展開される危険を、ドイツ政府、軍は考えざるを得ず、それに対処する為の部隊が必要だ、とも考えざるを得なかったのだ。


 ともかく、こうした後方警備、治安維持に部隊を回さざるを得ない事態が起きたことも、ドイツ軍の進撃を止める一因となった。

 後方警備、治安維持任務なので、精鋭部隊は必要なく、それこそ予備役、後備役の部隊を当てれば充分なので、そう負担にはならない、という見方をする者も、ドイツ軍内部にさえ、それなりにいたが、そうは言っても、それなりにドイツ軍の占領地域は、ベネルクス三国の本国領域も含めて、それなりに広大な状況になりつつある。


 そして、その配置をどうするかにも、頭を痛める現実があり、ドイツ軍はこの時期、止まらざるを得なかった。

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― 新着の感想 ―
ラヴェル氏はペタン元帥のいないパリの親独フランス政府を引っ張るわけですから、かなり無理しそうですね。それに史実での1941年での暗殺未遂事件で負傷してますから此方の世界では暗殺されるのかと考えると思う…
史実の対ソビエト戦よりはマシですが、泥沼ですね。フランス海軍はブレスト政権(正統フランス政府)が掌握しているでしょうから、北海・大西洋・地中海の制海権は完全に英日仏が抑えているでしょう。 史実のヴィ…
 兵站能力の破綻から攻勢限界点に達したドイツ軍( ̄∀ ̄)電撃的な機動戦をやるには必要な物資量がハンパ無いですから道路や鉄道などインフラ整備の先進地フランスでもそれを十全に支えるのには限度がありますもん…
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