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第14章―7

 実際に米内洋六少佐が、そう考えるのも当然のような事態が起きている。


 日本海兵隊はユダヤ人部隊等と協力して、オランダからベルギーを経由して仏本国へ、更にはノルマンディー、ブルターニュ半島周辺へと、オランダ、ベルギーから脱出を図った難民(その多くと言うよりも殆どがユダヤ人)を何とか庇護しつつ、この土地まで連れてくることに、かなりの程度は成功している。


 だが、それは余りにも苦汁を呑まざるを得ない事態を、様々に引き起こした末だった。


 例えば、日本海兵隊は、ノルウェー戦で1割近い損害、死傷者を出しており、本国からの補充を受けつつある状態だったのに、西部戦線、特にオランダの現状が良くないことを理由に、完全に補充再編制が完結していない状態だったのに、オランダ方面の戦線に最終的に投入される事態が起きたのだ。


 この辺り、どこまで実戦において影響があったのかは、様々に議論が後で起きるのだが。

 このオランダから、ノルマンディー、ブルターニュ半島周辺に日本海兵隊がたどり着くまでに、全体の約2割、約3000人の死傷者を日本海兵隊は出す事態が起きている。

(尚、その内の戦死者は約600人程で、捕虜は数十人程が出る事態が起きている)


 これはどう見ても大損害としか、言いようが無い話で、完全に後方での補充再編制が、本来ならば必要とされる状況なのだが、まだ他のベルギー方面から撤退して来た英仏両国軍主力よりも、士気等まで合わせ考えればマシな状況であるとして、カーン周辺での防御陣地構築を、日本海兵隊は行っているのだ。


 協働してオランダからの撤退作戦を展開したユダヤ人部隊、(通称)イスラエル師団も五十歩百歩の状態と言っても過言ではない。

 彼らにしても、表面上は未だに士気は高く、ベルギー方面から撤退して来た英仏両国陸軍の模範に成れそうな程の状況にはあるが。

 そうは言っても、日本海兵隊に勝るとも劣らぬ大損害を、この撤退作戦で被っている。

 

 そうしたことからすれば、とても反攻作戦を展開する等は夢の世界で、当面は補充再編制に努めざるを得ない、と自他ともに認めざるを得ないのが現状だった。


(尚、この際に余談に近い話をすれば。

 日本海兵隊やユダヤ人部隊と、オランダからの撤退作戦を共闘した仏第一軽機甲師団は、仏本国までの撤退を果たした後、日本海兵隊等とは別行動を執って、英仏両国軍主力がベルギー方面から撤退するのを援護するように、仏陸軍最上層部からの指示を受けて、そのように行動することになった。


 そして、追撃を行ってきたドイツ軍主力を阻止する一翼を担うことになり、その任務を完遂することが出来て、英仏両国軍主力の撤退作戦は成功したが、その代償として壊滅的打撃を被り、1940年6月の時点で表向きは改編、実際には解散と言う状況に、仏第一軽機甲師団は陥ることになったのだ。


(更に先走った話をすれば、1940年秋に米国からのレンドリースを受けた上で編制された(新)仏第一機甲師団の母体の一つに、仏第一軽機甲師団は成ることになった))


 だが、ユダヤ人部隊の方が、日本海兵隊よりも、表面上に近いという意見はあるが、補充再編制を行いやすい状況になっていた。


 何しろオランダ、ベルギーからの撤退を果たしてきたユダヤ人の多くが、ユダヤ人部隊に志願して、共にドイツ軍と戦おう、とする事態が起きたのだ。

 勿論、これまでに軍人経験の無いド素人と言って良い面々が、兵に志願したとして、どれだけの戦力になるのだ、という冷笑する意見が出るのも止むを得ないことかもしれないが。

 そうは言っても、数は数である。

 こうしたことが、ユダヤ人部隊の補充再編制を積極的に進める事態が起きたのだ。

 いわゆる諸般の事情により、ユダヤ人部隊の再編制は、相対的に有利に進む事態が起きます。


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― 新着の感想 ―
海兵隊もイスラエル師団も損耗率は相当大きいですね。師団としては壊滅判定じゃないかな。 ヨーロッパへ送られる補充と増援も暫くは停滞しそうですし、いっそのこと亡命してきた人から外国人部隊でもとは難しいか…
ユダヤ人部隊、難民の中の青壮年男子がこぞって志願し、充員補充は出来そう。後は訓練訓練。幸い、ノルマンディー・ブルターニュにも最小限必要な縦深はありそうなので、士気が高ければ有効に訓練できそう。(幸い、…
 母国は遥か極東なれば人的補充は至難のワザながら実戦経験はこの世界でも屈指の精鋭に研ぎ澄まされる日本海兵隊と避難民が同族な上に普段の生活を失わせたドイツへの反抗心から続々と志願者が押し寄せて練度はとも…
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