第18話 3人でのデート
私は最後に彼が目の前で死ぬのを見た時のことを覚えている。
それはあまりにも速すぎて、私にはどうすることもできなかった。
まるでデジャヴのように、あの瞬間が脳裏に蘇る。
だからこそ、今度こそ私は正しい行動を取らなければならない。
圭くんは、放課後に帰宅した後、こう言った。
「今度の日曜日、実は美慧と出かける予定なんだ」
——もちろん、私は笑顔で「問題ない」と答えた。
けれど、本当は分かっている。
私は彼について行くべきなのだ。
この世界ではまだ、何が変わるかわからないのだから。
その時、家には私たち二人だけだった。
彼が美慧と通話している間に、私はさりげなく詳しく聞いてみた。
意外だったのは、その約束が"二人きり"とは決まっていなかったこと。
私はその場で話を進め、結局、翌日一緒に行くことになった。
ただし、美慧には知らせていない。
彼女は、これは二人きりのデートだと信じている。
それは、圭くんと私の間で決めたことだから。
きっと、彼女は今日という日を心待ちにしているのだろう。
私は、美慧が圭くんに抱いている感情を知っている。
それでも——私は彼を譲るつもりはない。
今回こそ、時間を超えて彼を守らなくても、幸せになれる可能性があるのだから。
ベッドの上に寝転びながら、明日着る服を決める。
このイベントに介入するのは初めて。
だから、絶対にこの機会を活かさなければ——。
◇◆◇◆
そして、約束の日が来た。
白鳥も、私と一緒に美慧さんとの"デート"に同行することになった。
私はすでに階下で彼女を待っている。
朝食も済ませ、準備も完璧。
あとは白鳥が降りてくるのを待つだけ——。
やがて、彼女が階段を降りてきた。
しかし、その姿を目にした瞬間、私は言葉を失った。
……美しい。
あまりにも美しすぎて、何と表現すればいいのかわからない。
ただのカジュアルな服装のはずなのに——。
これがメイド服やドレスだったら、一体どうなってしまうのだろう?
彼女は慎重に、一歩ずつ階段を降りる。
私の視線は釘付けになり、その姿を目に焼き付ける。
まるで、人生で一度しか見られない"奇跡"を目撃しているような気分だった。
すると、彼女は私の前に立ち、微笑みながら問いかける。
「どう? 可愛く見える?」
不意を突かれ、返事に困る。
「えっと……すごく、よく似合ってるよ」
彼女は頬を赤らめながら、いたずらっぽく笑った。
「やだ、そんなに褒められると照れちゃう」
……いや、絶対わざとだ。
明らかにふざけた調子で言っている。
私の反応をからかって楽しんでいるのが見え見えだ。
……まぁ、今はそんなことをしている場合じゃない。
時計を見ると、すでに9時12分。
そろそろ、美慧さんと待ち合わせ場所へ向かわなければ。
「よし、行こうか」
彼女はうなずき、私たちは家を出た。
玄関の扉を閉めると、並んで歩き始める。
すると、通りすがりの人々が、まるで引き寄せられるかのように白鳥を見つめていた。
それは、まるで学校での彼女と同じ現象。
特に、若い人たちほどその影響を受けやすいようだった。
しばらく歩いた後、ついに待ち合わせ場所へ到着する。
私と美慧さんが約束したのは——
駅前の時計台の下だった。
もうすぐ待ち合わせの場所に着くところだったが、周囲の視線はまだ白鳥に向けられていた。
しかし、人混みの中で彼女は突然俺の腕を掴み、自分の体に押しつけてきた。
あまりにも急なことだったので、俺は思わずその感触に反応してしまった。
「勘違いしないでよ。ただ、人混みで迷子になりたくないだけだから。」
俺は頷いたが、それでもこの密着感には少し戸惑ってしまう。
そんな状態のまま、俺たちは美慧さんの待つ場所へと到着した。
美慧さんはすでに待っていたが、俺たちの姿を見るなり、その顔が一瞬で青ざめた。
彼女の表情を見ただけで、何が原因なのかすぐに理解できた。
……そうだ、俺はまだ彼女に伝えていなかったんだ。
当然、これが気まずくなるのも無理はない。
「おはよう、高宮くん…… それと、おはよう白鳥さん。」
「おはよう、美慧さん。言わなくてごめんね。白鳥が言わないでほしいって言ったから…… それに、彼女も一緒に行きたいってことで。」
そう言った直後、白鳥が自分の来た理由を説明し始めた。
「そうよ。私が圭くんに『連れて行って』って頼んだの。
それに、彼は『二人だけ』なんて一言も言わなかったでしょ? だからいいわよね?」
彼女の言うことは正しかった。
確かに俺たちは「二人だけで行こう」とは一度も決めていなかった。
……だが、正直、その方がよかったのかもしれない。
「まあ……仕方ないわね。」
美慧さんは、そう諦めたように言った。
その瞬間、白鳥は嬉しそうに微笑んだ。
まるで、初めてのグループデートが決まったかのような反応だった。
「美慧、まずはどこに行くの?」
美慧さんは少し考え込んだ。
もしかすると、彼女は今、予定を変更しようとしているのかもしれない。
「その服、カジュアルすぎる気がするけど…… まずは服を買いに行かない?」
その言葉を聞いた瞬間、白鳥の目が輝いた。
……まさか、買い物に対して妙なこだわりがあるのか?
「いいわね! どこに行くの? すっごく楽しみ!」
二人はまるで宝探しでもするかのように、服屋を探し始めたのだった。
店の中で、俺が二人の美少女を連れて歩いている姿を、他のご婦人方はどう見ていただろうか。
そんなことを考えながら歩いていると、ようやく二人が気に入りそうな店を見つけた。
それほど混んでおらず、二人も満足そうだった。
「さあ、行こう、圭くん!」
白鳥に腕を引かれ、そのまま店の中へと連れて行かれた。
俺はもう抵抗するのを諦めた。
……まあ、結局、俺も彼女たちの服を評価することになるんだろうな。
最初は白鳥の番だった。
彼女が選んだのは、またしてもカジュアルな服装だったが、今の服よりもさらに似合っていた。
「すごく似合ってるよ。」
そう言うと、白鳥は満足そうに微笑み、再び試着室へ戻っていった。
次は美慧さんの番だった。
正直、彼女はどんな服でも似合うから、どれを選んでも問題ない気がする。
……案の定、試着室から出てきた美慧さんの姿は、想像通り完璧だった。
カーテンが開くと、彼女の姿がよりはっきりと見えた。
「どう……? 似合ってるかな?」
彼女は少し肩をすくめながら、どこか緊張した様子で聞いてきた。
彼女の服装は、一般的な女性の服とは少し違い、パンツスタイルに少しボーイッシュな雰囲気があった。
だが、それが逆に彼女の魅力を引き立てている気がする。
「うん、すごく似合ってるよ。」
よく見れば、どことなくストリート系というか、ヒップホップっぽい雰囲気もある。
なるほど、そういうことか。
だが、次の瞬間、美慧さんが突然俺の腕を引っ張り、試着室の中へと引き込んだ。
「……!?」
白鳥には気づかれていない。
でも、なぜ美慧さんはこんなことを?
カーテンが閉まり、狭い試着室の中で、俺たちは二人きりになった。
……美慧さん、何を考えてるんだ?




