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そこへ1人の男前な顔の作業着を着た男が歩み寄った。

「あ、ジュツーシャさん定時ですよ?後は僕がやっておきますのであがって下さい」


男は以前リンコに返り討ちに遭い復讐を誓うも仕事に精を出しすぎて目的を失った男…アータ・マワールイであった。


王国を追放された術者はニット帽とマスクで変装してアータ・マワールイの製紙工場にて勤務していたのだった。


「いや、工場長がまだ働いてるのに帰れないですよ!」

ジュツーシャと呼ばれた術者はアータだけに仕事はさせられないと返事をした。


「僕は良いんです…この仕事で助かってる人がいる、それだけで幸せですから…さ、上がって下さい」

と、アータが爽やかに微笑むと術者も微笑み帰って行った。


そんな平穏な日々を送るグランニッカ王国の人々を他所に、グランニッカより西へ海を跨いだ大陸の平野に堂々と佇む城の中の広間でワイングラスを手に立食する紳士達の姿があった。


白髪の美しい男がワインを口へ運ぶと、彼の前に立つ男へと口を開いた。

「オラオ様…グランニッカ王国に魔族が出たそうですよ?」


「何!?してグランニッカは!?」

黒髪の凛々しく猛々しい男がワインを一口で飲み干すと返事した。


「魔族をすぐに追い返し被害はほとんど無かったそうです」

白髪の男は黒髪の男の持つグラスへとワインを注ぎながら話した。


「ほぉ…あの剣士アータの率いる兵団であろうな…フン、中々やるな…」

黒髪の男は再びワインを飲み干し話した。


「いえ…追い返したのはたった1人の女だそうです」

白髪の男は先程同様にワインを注ぎ黒髪の男に耳打ちした。


「バ、バカな!?…いや、もし女であれば俺の嫁に欲しい…」

そう口にして男は手を叩くと従者が1人駆けてきた。


「オラオ•ラ•ワイールドゥ様…何用でしょうか?」

従者は片膝を着いた。


「今すぐに船を手配しろ…どんな醜悪な女だろうと構わんその遺伝子を我らがドンキフォー帝国へ!」

黒髪の男は従者に用を伝えるとワイングラスを掲げそう口にした。

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