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何か良い雰囲気になってんじゃん…
話しかけない方がいいな。
リンコがクッサイ達から目線を逸らした時1人の男が忍足でミスリルトイレの壁の間から外へと出ようとしていた。
男は髭面で樽の様な腹をした王族の服に身を纏った男だった…というかどう見ても国王クズメターボであった。
リンコはそこに歩み寄り腕を組んで話しかけた。
「アンタ…何か言う事ないの?」
「え?いや…何処かでお会いましたっけ?」
クズメターボはシラを切ろうとした。
「陛下!よくぞご無事で!」
その時、クズメターボの元に従者が走り寄った。
「いや、よくぞってお前ら儂の事置いてったじゃ無いか…」
クズメターボは置いて行かれた事を思い返して寂しそうに呟くと「王」である事をリンコの目前で認めた事に気がついた。
「で…何か言う事ないの?」
リンコはジッとクズメターボを見て質問した。
「いや…あのすいませんでした!いやもうめっちゃお金払います!」
クズメターボは冷や汗をかきながらリンコへ謝罪した。
「許してあげるし、お金も要らない…でも一つだけして欲しい事があるの」
リンコは落ち着いた声でクズメターボに話した。
それから、リンコを召喚した術者は魔界の門を召喚した罪を問われ王城より追放され、3か月の月日が流れた。
……………
……
…
「リンコさーん、ご飯まだぁ?」
老齢の牛の獣人がベッドに寝たまま口を開いた。
「もう少しでご飯の準備できますからね」
リンコが部屋を掃除しながら笑顔で返事した。
リンコは相変わらず老獣人の介護や清掃をして暮らしていた。
…ただ、変わっていたのは建物が大きくなった事と、それから何より大勢の老獣人達が入っている事だった。
リンコがあの日クズメターボにお願いしたのは王国の人間、獣人に問わず老いてから安心して暮らせる制度と施設を求めたのであった。
リンコの願いをクズメターボが国策として取り入れた事により、クズメターボは国民からの信頼を得て国力を増した。
こうして皆が幸せになった…かに見えたがリンコを召喚した術者だけはそうでは無かった様だった。
「おのれ〜糞の悪魔め!悪魔め!悪魔め!」
そう言って鋭い刃のついたレバーを何度も下に降ろしては上げるを繰り返していた。
こうして皆が幸せになった…かに見えたがリンコを召喚した術者だけはそうでは無かった様だった。




