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すると、何故かギャルルの部下達が泣きながらギャルルを止めに来た。
「アレをやろうとしてるんでしょ!?」
「ギャルル!ダメだよ!死んじゃう!?」
何を言っているのか理解出来なかったモーモは部下の獣人達に話を聞いた。
「すまない…君ら何言ってんだ?」
彼女らは口々にモーモにギャルルの事を伝えた。
「ううっ…ギャルルはね…皆んなの為に死のうとしてるの…」
「ギャルルはここ5年…魔力でアレを圧縮して一度もしてないんだよ?」
…伝えたが、モーモには一切理解出来ずすぐに諦めた。
「いや…わからん…もういいわ」
パンッ!
ギャルルは自身の頬を叩いた。
「もう良いっス…自分だけ生きてても仕方ないっス…最期にアイツらを消し炭にしてやるっス!!」
ギャルルは両手を前に伸ばすと魔族に向けて尻を突き出し呪文を唱えた。
「マキシマム……プー!!!」
プウーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
一帯にサイレンの様な音が鳴り響いた。
ギャルルは髪をなびかせるとマッチを取り出して火を付け後方に投げた。
ポトッ…
…ッドゴォオン!!!!!!!
直後、大爆発が起こり爆風で建物の屋根が吹き飛んだ。
クッサイに包帯を巻き終えたモーモが壁の外へと戻って来た。
モーモが魔族達の居た辺りを見渡すが、辺り一面焼け野原となり魔族は一体も居なかった。
「ギャルル…コレは一体…」
モーモがギャルルに話しかけると彼女は静かに振り向いた。
ギャルルの頬には幾筋もの涙が流れていた。
「自分はもう…(女子として社会的に)死んだっス…もうどこにも(お嫁に)行けないっス…」
その背にギャルルの部下達が寄り添って泣いていた。
壁の中から出て来た兵達が勝ちどきを挙げた。
「オオオ!!勝ったぞー!!」
「助かった!助かったぞ!」
人々はクッサイの負傷とギャルルの尊い犠牲によって救われたかに見えた。
…だが、そこに真の絶望を告げる音が鳴り響いた。
ドシッドシッドシッ…
遠方より近寄る不気味な音に皆が黙りそちらを向いた。
そこには先程の魔族達の倍近い一つ目姿の巨人達が真っ直ぐにこちらに歩いて来ていた。
勝ちどきを挙げた時の雰囲気からガラッと変わり絶望した者達は口々に責任をリンコに押し付け始めた。
「お、俺は死ぬんだ…糞の悪魔の家で魔族に殺されて…童貞のまま死ぬんだー!!」
「そうだ…全部コイツが来てからだ…魔族だってコイツが呼んだのに違い無い!」
「そうだ!!クソブスオンナのせいだ!」
リンコは皆を落ち着かせようと口を開いた。
「待って…皆んな落ち着いて…」
しかし、恐怖に煽られた人々の勢いは増すばかりであった。




