78勤目
魔族に追われ避難するグランニッカ王国の民と兵達は皆荒野の方へと逃げていた。
そんな中何も知らぬリンコ達は食事を始めていた。
「リンコさん!今日のご飯美味しいね〜!でも…おばあちゃん達も同じご飯?」
ウィルは誰が食事を作ったか知らずに口を開いた。
「そうだねー?いつものご飯は煮た物ばかりだったからね?」
リンコは必要以上にニコニコしながら返事した。
ギャルルはリンコの不自然な喋り方が気になった。
「どうしたんスか?もしかして拗ねてんスか?」
「ん?なんて〜?」
モーモはギャルルにリンコを挑発しない様に注意した。
「オイ、ギャルルやめろ!…リンコも機嫌直せって〜」
「え?別に機嫌悪くなんてないよ?」
リンコはぎこちなく微笑み答えた。
ダーメオは困った顔でリンコに提案した。
「リンコ…働きすぎなんだし、ギャルルがやるって言ってるなら甘えればいんじゃ無いの?」
リンコは目も向けずに返事した。
「ダーメオは仕事してから口開いて…」
「…はい、すんません」
ダーメオは小さくなってしまった。
そこでクッサイがダーメオの意見を活かそうと話した。
「だがリンコ…ダーメオの言う通り仕事は分配した方が…」
リンコはクッサイを遮り話した。
「ん?クッサイさんはギャルルのご飯が良いって事ね?」
「ん?ち、違うぞ、俺は仕事の分配をだな…」
ギャルルはクッサイの横で静かに頬を染めていた。
ここで珍しくウィルが口を開いた。
「えーと…僕はギャルルさんにリンコさんからご飯の作り方を習って欲しいと思うな…」
その声に皆がウィルへと視線を移した。
「だって、僕らはともかくおばあちゃん達のご飯は…そのやっぱりリンコさんじゃ無いと消化が…生意気言ってごめんなさい」
ウィルは申し訳無さそうに続けた。
「ウィルは何も…」
リンコはウィルの皆を思う気持ちを耳にして恥ずかしくなり話し出した時、ギャルルが被せる様に話した。
「イキって悪かったっス…リンコ…役に立ちたいからご飯の作り方教えて欲しいっス」
ギャルルも老人がいる事を思い出し、協力を申し出た。
「うん…アタシこそ…」
リンコはギャルルと握手をした。
…その時外から数多くの助けを呼ぶ声や悲鳴が聞こえた。
「助けてくれー!!」
「魔族よ!逃げてぇ!!」
その声にいち早く反応したのはクッサイだった。
「一体…何の騒ぎだ?」
クッサイは立ち上がると徐に外へと足を運んだ。
クッサイの目に飛び込んで来たのは逃げ惑う者達と後方からその背を追いかけて来ているドス黒い人の形をした『何か』だった。




