77勤目
同じ頃、リンコを召喚した術者は周りを見渡し人が居ない事を確認してから茶色の紙袋より巻物を取り出すと地面に置き二、三十歩程離れた。
そこで両手でアルファベットのMを作ると呪文の様な言葉を唱え始めた。
「グラッコ…ロダーブ…ルチー…ズバーガ…スッキー!!」
巻物から電子音が鳴り響いた。
タラッタッタッター♬
すると今度は巻物を中心に大きな魔法陣が浮かび上がり地揺れと共に地面から大きな門が出て来た。
門がその全容を見せると術者は高らかに笑った。
「ハッハッハッ…魔界の魔族達よ!思う存分破壊と殺戮をするがいい!!」
門がゆっくりと開くと中からは悪魔の様な外観の手が見え門を更に開こうとした。
…がどうやら術者は誤って城壁側に出口を向けてしまった様で魔族達は上手く出られず何度も門と城壁を衝突させていた。
ガン…ガン…ガン…
ドゴォオ!!…ガラガラ…
魔族達は城壁を破壊してゾロゾロとその身を露わにした。
そして…中々門が開かなかった事に苛立っている様だった。
城壁の崩れ落ちる音に国王クズメターボは声を上げた。
「一体何の音じゃ!?敵襲か!?」
クズメターボの前に走り現れた兵が急ぎ事を伝えた。
「クズメターボ陛下!報告致します!大量の魔族です!早急にお逃げ下さい!」
「何!?魔族と!?待て…民を失って何が王か!ワシより先に民の安全を優先せよ!」
クズメターボは意外にも自身を後に回す様に口にした。
「兵達を集め侵攻を防ぎ、城内より一刻も早く民を避難させるのじゃ!」
更に城外へと指を向け指示を出した。
兵はハキハキとクズメターボに答えた。
「いえ!最初からそう考えていたので皆先に避難しております!ですから陛下が最後の1人です!」
「あ〜そう…うん…じゃ行こうか」
クズメターボはその後の避難中、一切口を開かなかった。




