76勤目
グランニッカ王国からの襲撃の翌日。
リンコとモーモにクッサイ、残る男達は建物の前にある昨晩に勝利をもたらした壁…いやミスリルトイレを眺めていた。
モーモは何か思い悩む様な表情でリンコに話しかけた。
「なぁリンコ実は考えない様にしてたんだが…」
リンコは眉頭を上げて聞いた。
「うん、モーモどうしたの?」
モーモは壁を見つめ微笑みリンコに思いを語った。
「このトイレ…消す事は出来るんだよな?」
リンコは小さな声で答えた。
「たぶん…出来ない」
2人は顔を見合わせた。
「…どうする?」
取り囲み守り切ったまでは良かったが、出口が無い上頑丈な事もありよじ登らないと出られない…
そこに居た全員が今後よじ登って出入りする所を想像し黙り込んだ。
「…」
だっりー…。
そんな中、クッサイが沈黙を破った。
「…やるしかねーだろ?向こう側に先に布を敷いてから1箇所のトイレを全員で倒す、それから引きずって出口を作る、コレで行くぞ?」
クッサイの言葉に男達は行動を開始した。
「わかった」「了解」
その後クッサイにモーモ、男達全員で小1時間を掛けてやっとの思いでトイレを1つ倒して出られる様になった。
「皆んな本当ありがと!アタシ居ても役に立たないから中の事してるね?」
リンコは男達に礼を口にして食事を作るため建物へ戻った。
そこでいつの間にか居候となり何もしていなかったギャルルが目に入った。
ずっとここに居るなら料理くらい手伝って貰わないとね〜…断りそー…
「ね、ギャルル?ここ居るんなら料理手伝ってよ?」
「え?良いっスよ?」
ギャルルはワガママを言うだろうと踏んでいたリンコであったが意外にも素直に要求に応じて手伝いにかかった。
「じゃあ、カボチャとサツマイモ火にかけておいてくれる?」
リンコは笑顔でギャルルに伝えた。
「むしろ、リンコ忙しいだろうから料理は全部やっとくスか?」
表情を変えずにギャルルはリンコへと気を使った。
そんなギャルルへとリンコは考察した。
絶対アレだ…この流れメシマズキャラだ…
でも、ここまで言ってからは失礼だから…。
「え?じゃ…じゃあ頼もうかな?」
って、まだ決まったわけじゃ無いしね!
その間にとりあえず掃除とクッサイのお母さんの入浴しちゃお!
「命を運ぶ者、発動!」
『ユニークスキル『命を運ぶ者』を起動します。』
ブゥウン
ナレートの声がリンコの脳内に流れた。
その後リンコが介助を終えてキッチンへ向かうと男達が群がって居た。
「何だこの香り!?」「めちゃくちゃ美味そうだな!」
ギャルルはパイの様な料理とスイーツまで用意して平然と洗い物もしていた。
「まだダメっスよ?リンコがご飯って言ってからっス」
クッサイもそこに来た。
「ギャルル、飯作れたのか?香ばしくて甘い香り…美味そうだな?」
ギャルルは下を向きクッサイに皿を向けた。
「ひ、一口だけっスよ…」
「オイ!獣人差別だろ?」
獣人の1人が怒りを口にする中、モーモがその背を手で押し外へと連れ出した。
「まぁまぁ…良いじゃねーか…俺らは向こう行ってよーぜ?」
「それに…あんまり過度に反応するとリンコが…」
モーモが前に視線を戻すと笑顔のリンコが立っていた。
「ん?全然気にして無いよ?」
毎日毎日…介助や家事の合間に一生懸命作ってたのに!
…リンコは簡単に拗ねた。




