64勤目
グゴォ…グゴォ…
翌朝、獣人とリンコ達が住まう建物内にイビキの音が鳴り響いていた。
リンコはそのイビキの音に不機嫌な顔で目を覚ました。
リンコが身体を起こし周囲を見渡すと音の出元で有る人間…ダーメオが仰向けで気持ち良さそうに寝ていた。
リンコが気分を晴らす為に外へと出ると、早朝にも関わらず牛の獣人モーモとサイの獣人クッサイは早くも穀物を収穫し始めていた。
「おはよう、リンコ今朝は早いな」
リンコはモーモに挨拶を返すと今し方自身が出て来た建物を眺めた。
「モーモさんにクッサイさんおはよう、こんな早くから仕事しなくても良いのに…」
クッサイが身体を伸ばすとリンコに答えた。
「朝の方が涼しくて捗るからな」
リンコは2人の方に向き直し口を開いた。
「ね、急だけどこの建物…もう少し大きく出来ないかな?ダーメオのイビキとか…」
モーモとクッサイはリンコが全てを語る前に同時に答えた。
「「賛成だ」」
続けてモーモが具体的な考えを述べた。
「それには大量に木が必要になるだろうから『神獣の森』へ入る必要がありそうだな…」
リンコは初めて聞く言葉に対して聞き返した。
「神獣の森?」
リンコの問いにモーモでは無くクッサイが答えた。
「ああ、伝説では何でも神獣が勇者の剣を守護してるって話だ」
リンコは神獣なる存在に興味を惹かれた。
「へぇ〜、ねぇ?今度その森行ってみない?」
クッサイはリンコの言葉に共感した。
「そうだな…わざわざこの荒野に長居する必要もないだろうしな」
同じく早朝のグランニッカ王国の城下町
人通りも疎な中、大通りには早くも馬車が行き交っていた。
そんな大通りから裏路地へと道を一本逸れると雰囲気はガラッと変わり、壁にもたれ掛かり眠る酔っぱらいやホームレス達がちらほらと目についた。
そこに大きな剣を携えて下着一枚で屈み込む1人の男前な青年が居た。
彼の名はアータ・マワールイ…大陸最強と謳われる剣士だ。
彼は下着姿では宿屋に泊まる事もままならず服屋が開くまで一晩野宿をしていたのだった。
アータの正面にあった建物のドアが開きメガネをかけた細身の男が姿を見せた。
アータは開店準備をする男に近寄るとその背に声をかけた。
「オイ…先に言っておく俺は変態では無い、マントを売ってくれ」
突如現れた半裸の男に自分は変態では無いと言われ恐怖する男性は理由を聞いた。
お、恐ろしい、きっと自分を客観視出来ないタイプの変態だ…
「えっと…何で下着姿なんですか!?」
「ああ、服を着ていないからだ」
アータは凛々しい顔で答えた。




